表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

97/337

第97話「名も無き英雄①」

⛤『魔法女子学園の助っ人教師』

◎コミカライズ版コミックス

(スクウェア・エニックス様Gファンタジーコミックス)

☆最新刊『第3巻』発売決定しました! 6月27日発売予定!※予約受付中です!


※6月6日付けの活動報告に書影公開の情報を掲載しましたので、宜しければご覧くださいませ。


何卒宜しくお願い致します。

 ここは楓村、村長アンセルムの自宅である。

 打合せが終了し、ディーノ達が吐き出されて来た。

 これから各自が、配置につくのである。


 いろいろと議論は交わされたが……

 何とか、ディーノの考えた作戦の説明が終わった……


 立案された作戦に、マドレーヌ、ジョルジエット、タバサはおおむね賛成。

 アンセルム、エミリーも同意した。


 ステファニーだけが、弱気だとか、慎重すぎないかと若干難色を示したが……

 渋々という感じでOKした。

 意外にも……

 ディーノの作戦を最も強く推したのは、カルメンであった。


 意外というのは理由がある。

 そもそもカルメンはディーノとは馬が合わない。

 彼女は覇気がない男が大嫌いだ。

 というか、闘志が前面に出るタイプがとても『好み』なのである。


 ステファニーに仕えていたディーノは大人しく、感情はフラットだ。

 というか、気持ちを内に秘めるタイプである。

 

 王都に来て、ディーノを見て思った。

 少しは変わったかもしれない。

 だが、本質的には変わっていないと。


 しかし……

 ディーノの作戦は秀逸だった。

 村民に戦いを見せ、勝利を事実とはっきり認識させ、

 明日への希望を持たせるという趣旨にピッタリであった。

 なお且つ、主ステファニーの、身の安全もある程度は担保される、

 という大きな理由もある。


 確かにステファニーは、自身が豪語するようにとても強い。

 武技、乗馬に優れ、人間離れした身体能力を誇る。

 カルメンは、彼女の大器たる素質に惚れ込んでもいる。


 だが……『量』は『質』を凌駕する場合が多々ある。

 万が一のアクシデントが起こる可能性はゼロではないのだ。


 巷には、一騎当千という言葉がある。

 たったひとりで、千人もの敵に対抗可能なほど強い例えである。

 あるいは、常人以上の技術や経験を有する事でもある。


 実際、ひとりで1,000人もの敵と戦えるのかといえば話は別だ。

 ステファニーは先日、オーク200体以上を倒した。

 しかしカルメンの援護に加え、様々な複合的な好条件が重なっての戦果なのである。


 オークの方が、ゴブリンよりも強い。

 それはゆるぎない事実だ。


 しかし冒険者として、カルメンの経験上、

 ゴブリン10,000頭は半端な数ではない。


 対してこちらはたった計6人。

 もしも戦力が分断され、ステファニーが孤立無援状態ととなった場合……

 彼女は確実に死ぬ。


 そんな懸念が払しょくされるのだから、

 カルメンがディーノの作戦を推すのは当然である。


 但し、たったひとつ心配がある。

 それはディーノの提案した作戦が上手く機能するかどうかだ。


 ステファニーが冒険者登録をする際……

 カルメンは冒険者としてのディーノの評判をついでに聞いてみた。


 結果は……予想に反して、上々であった。

 意外にもマスターのミンミも、サブマスターのブランシュも、

 ディーノを褒めちぎったのだ。


 剣技こそ、まあまあとの事であったが……

 ディーノの膂力、身のこなしは相当なものであると。


 『炎の飛燕』マスターのミンミとは模擬試合で引き分けたという。

 英雄亭における事件の顛末も聞いた。


 こうなると……

 カルメンが知る以前のディーノとは全く違う。

 原因は不明だが、急成長を遂げたらしいのだ。


 それを実証したのが、ステファニーの拳を喰らって、ほぼダメージ無く、

 起き上がったという『事実』である。

 カルメン自身は、ステファニーとの模擬試合を行い、

 一発でKOされた事があるから。

 

 頑健な自分でさえそうなのに、ディーノが同じ拳を喰らい、

 ノーダメージというのは、信じられない。


 だがステファニーを嘘を付く性格ではない。

 彼女が実際に殴った上で、目撃もしている。

 ディーノは、耐久力も並外れているらしい。


 そして何と!

 ディーノは召喚魔法まで使う。


 それも使い魔などではない、『戦友』とまで言い切った。

 であれば……ディーノが召喚したのは中級以上の人外、

 いわゆる『魔族従士』に違いない。


 『魔族従士』を召喚可能な者は、上級以上の召喚魔法を会得した者……

 それほどの上級魔法使いは、そう居ない。


 膂力、体術、耐久力に優れた戦士兼上級魔法使い……

 一体、あいつは何者?

 と考えて、カルメンはハッとした。


 ディーノの隠された才能が花開きつつある結果だとしたら……

 やはりステファニーは稀に見る大器。

 人の才能を見抜く素質まであるという事になる。


 そしてディーノがとてつもない才能を秘めた、

 まだ無名の『名も無き英雄』であり、

 『大器』ステファニーが、その『英雄』と結婚し結ばれた場合……


 ステファニーに仕える自分の人生も大きく変わる!

 劇的に変わるに違いない!


 カルメンは一流冒険者から上級貴族に仕える従士となった……

 次は一体何者に!? 

 それって! ……凄くワクワクする!


 歩きながら……

 つらつら考え、想像していたカルメンであったが……


「何、にやにやしてんのよっ! こら、カルメン!」


「は、はい! ステファニー様」


 そんな思いは、ステファニーの怒声により破られた。

 ゆっくりとしていた足並みも、強引に押されたように、速足となる。


「あんたまで村民と一緒に腑抜けになって、どうすんのっ! 仕方がないわねっ! ったくう! さっさと門へ向かいなさいっ」


 カルメンを叱りつけたステファニーがふと見れば、

 ディーノが『何か』に祈りをささげている。


 ステファニーが訝し気な表情で見やれば……

 ディーノが祈りを捧げていたのは、遥か昔に造られた人間の石像らしい。

 ほぼ等身大だと思われる。


 風雨にさらされ、傷み朽ちてはいるが……

 どうやら石像の『意匠』は男性のようだ。


「ディーノもよっ! ぐずぐずしないでっ!」


「…………」


 ステファニーは促したが、ディーノは両手を合わせ、跪き、祈りを捧げていた。


「ほら、ディーノ、何ぼうっとしてるのよ!」


 焦れたステファニーが、再び促せば……

 ディーノはようやく「反応」する。

 

「あ、ああ……ステファニー様か」


「ああ、じゃないわよ! あんたが立てた作戦でしょ? 先頭に立って私達を引っ張りなさい!」


「了解!」


 尻を強烈に叩かれたような形となり……

 苦笑しながら立ち上がったディーノは、改めて石像へ一礼したのであった。

いつもご愛読頂きありがとうございます。


※当作品は皆様のご愛読と応援をモチベーションとして執筆しております。

宜しければ、下方にあるブックマーク及び、

☆☆☆☆☆による応援をお願い致します。


東導号の各作品を宜しくお願い致します。


⛤『魔法女子学園の助っ人教師』

◎小説版第1巻~7巻

(ホビージャパン様HJノベルス)

大好評発売中!


◎コミカライズ版コミックス

(スクウェア・エニックス様Gファンタジーコミックス)

☆最新刊『第3巻』発売決定!6月27日発売予定!※予約受付中!

第1巻~2巻も大好評発売中!


※月刊Gファンタジー大好評連載中《作画;藤本桜先生》

☆6月18日発売の月刊Gファンタジー7月号に最新話が掲載されます。

また「Gファンタジー」公式HP内には特設サイトもあります。

コミカライズ版第1話の試し読みも出来ます。

WEB版、小説書籍版と共に、存分に『魔法女子』の世界をお楽しみくださいませ。


マンガアプリ「マンガUP!」様でもコミカライズ版が好評連載中です。

毎週月曜日更新予定です。

お持ちのスマホでお気軽に読めますのでいかがでしょう。


最後に、連載中である

「帰る故郷はスローライフな異世界!レベル99のふるさと勇者」

も宜しくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ