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第96話「作戦会議」

⛤『魔法女子学園の助っ人教師』

◎コミカライズ版コミックス

(スクウェア・エニックス様Gファンタジーコミックス)

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※6月6日付けの活動報告に書影公開の情報を掲載しましたので、宜しければご覧くださいませ。


何卒宜しくお願い致します。

 村民達が、人喰いゴブリンとの戦いに身を投じる決意をした後……

 ディーノ達一行は、楓村村長アンセルム自宅へ、打合せの為に移動していた。


 居間のテーブル上に2枚の地図が置かれ……

 それをディーノとステファニー、クラン鋼鉄の処女団(アイアンメイデン)のメンバー、そしてアンセルムと孫娘のエミリーが、凝視していた。


 打合せの議長兼進行役はステファニーである。


 本来、依頼の受諾者はディーノなのだが……

 生まれ持ってのリーダー的な性格なのだろう、

 クランの新リーダー『大嵐テンペスト』ことステファニーが、

 ガンガン仕切っていた。


 先ほど、ステファニーからほんの少しだけではあるが、

 気を遣う言葉をかけて貰ったので、ディーノはとりあえず静観する事にした。


「爺さん、エミリーからひと通り話は聞いたわ。だから……再度、同じ話を聞くのは時間が勿体ない」


「な、成る程」


「だから、こちらから順序だてて簡潔に話す。認識に相違があったら、訂正。または必要があれば補足してくれる?」


「了解したよ、ステファニー様」


 アンセルムが同意し、頷いたので打合せは開始された。


「じゃあ、行くわよ、爺さん。敵は、人喰いゴブリン。出没開始は、2か月と少し前から。最初は小群だったけどあっという間に増えて、現在は約1,000頭を超える。農作業中の村民に何人か、犠牲者が出た。最近は村へも頻繁に襲撃して来る……こんなものかしら?」


 先の言葉通り、ステファニーは経緯と状況を簡潔に述べた。

 アンセルムは再び頷いた。


「うむ! おおむねOKだ」


「おおむね?」


 言葉尻を捉え、ステファニーが聞き直す。

 対して、アンセルムは答える。


「頭数だけは……違う。もっと多いと儂は思う」


「多い? 根拠は?」


「村民の目撃情報や被害現場の検証等で、儂の推定じゃ」


「ふうん……」


 アンセルムの説明を聞いたステファニーは分かったような、

 分からないような曖昧な反応をした。


 と、ここでディーノが手を挙げ、発言を求める。


「ちょっと」


「何よ? ディーノ」


「俺も同意見です。村長の推定は……当たっている。既に確認したけど、ゴブリンの数は1,000頭どころじゃない。その数倍は居るでしょう」


 ディーノが断定した事にステファニーは、


「へえ! いつ確認したの? 及びその根拠は? 爺さんみたいに推定なんて言わないでよ」


「ええ、事実です。俺の戦友からの報告だから」


「戦友? 何、戦友って! どこに居るのよ?」


 ステファニーの言う通りである。

 ディーノが言う『戦友』らしき者の姿は周囲にはなく、気配すら無い。


 しかしディーノは、改めて言い放つ。


「俺が召喚した戦友がこの村の周囲を巡回しています。実は、俺達がこの村へ到着するまで護衛をさせていました」


「召喚? ディーノ、あんた召喚魔法を使うの?」


「ええ、ほどほどに」


「ほどほどって……ふうん、少し驚いたわ。で、使い魔くらい呼んだの?」


「いや、使い魔じゃないです」


「使い魔じゃないって……そうか! 護衛役なんて使い魔には到底無理だものね!」


 ……この世界における使い魔の定義とは、異界に棲む自我を持つ精神体の総称である。

 召喚魔法を習得した者が、最初に呼ぶのは彼等が多い。

 

 犬や猫、鳥などの小動物の精神体が殆どであり、持つ能力もメッセンジャーや簡単な偵察、軽い荷物のお運びをする事くらいだと認識されている。


「ステファニー様が馬車の中で押さえつけて、ず~っと毛をいじくってた黒猫もそうです」


「え? あの黒猫も召喚したの? 村に着いたら何故か、すっとんで一目散に逃げたけど」


「あはは、多分ステファニー様が怖くて、逃げんたんでしょ」


「はあ、何言ってるの! 失礼な事言うとぶっ飛ばすわよ!」


「華麗にスルー。ちなみに、あの猫は魔族ですが、召喚で呼んだのではありません。テイムしました」


「テイム? 何それ? あんたテイマーでもあるの?」


 テイムとは、魔法で異界から呼び出す召喚とは違い、

 現世に存在する魔族を手なずける事である。

 テイマーとは、そのてなずける技に長けた者だ。

 

 妖精猫ケット・シーのジャンが戦友になった経緯は少々違うが、

 面倒なので、ディーノはテイムと伝えたのである。 


 しかし……

 このまま話が進めば、興味を持ったステファニーにより、

 いろいろ突っ込まれた上に『打合せも』滞るに違いない。

 

 この場で、ケルベロス達の説明を詳しくするわけにはいかなかった。

 だからディーノは、さりげなく話題を変える。 


「まあ細かい事は置いといて、俺の戦友からの報告では、楓村へ向かう森林で合わせて2,000頭近く、目撃したそうです」


「2,000……か。それは少し手間取るわね」


「いや、奴らの本拠……多分この近くに巣穴がある。だから、間違いなくその数倍は居るはずですよ」


 ディーノは全員へ『現実』をズバリ告げた。

 カルメンは無言で聞き流し、マドレーヌ、ジョルジエット、タバサ、

 そしてアンセルムとエミリーは表情を暗くしたが……


 唯一、ステファニーだけは目をギラギラさせ、不敵に笑う。


「わお! だったら下手すりゃ、1万頭? これは面白くなって来たわね」


「面白いって……ステファニー様らしいですね。怖くはないんですか?」


 と、ディーノが苦笑すれば、


「怖いわけないわ! 面白いのは当然でしょ! たった6人で延べ1万頭のゴブリンを相手にするのよ! 最初から勝てると分かった戦いなんて全然面白くないじゃない!」


「成る程」


「負け戦は絶対に嫌! だけど、どきどきしない、高揚感皆無の戦いなんて、もっと嫌!! 全然つまらないわ!」


 と、ここで口を開いたのがカルメンである。


「それでこそ、ステファニー様です。ウチのメンバーの持ち味はご説明した通りです。盾役タンクは私にお任せを」


「了解! 王都までの道中、あんたから散々聞かされたから、マドレーヌ達の能力は把握してる」


 ステファニーはそう言うと、再びディーノへ向き直る。


「初戦は必勝が条件! 結構な数のゴブを血祭りにあげ、村民達の士気をより高める事が必要。……ディーノ、あんたには妙案がありそうね」


「はは、分かります?」


「分かるわよ、あんた、やけに落ち着いてるから」


「…………」


「よっし! 愛する妻として、あんたの顔を大いに立ててあげる。作戦を提案してみて!」


「あ、愛する? つ、妻!? ステファニー様がディーノさんの!?」


 驚いたのはアンセルムである。

 他の者は表情を変えず、無言である。

 エミリーを含めた女子達は、既にステファニーから散々聞かされていたから。


「いえいえ、絶対に愛する妻じゃありませんって。……では、作戦をお話します」


 首を振り、ステファニーの発言を否定したディーノは、

 自分が考えた作戦の段取りを話し始めたのである。

いつもご愛読頂きありがとうございます。


※当作品は皆様のご愛読と応援をモチベーションとして執筆しております。

宜しければ、下方にあるブックマーク及び、

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