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第89話「依頼の真相」

⛤『魔法女子学園の助っ人教師』

◎コミカライズ版コミックス

(スクウェア・エニックス様Gファンタジーコミックス)

☆最新刊『第3巻』発売決定しました! 6月27日発売予定!※予約受付中です!

何卒宜しくお願い致します。

「おおお、美味し~~っ! 美味し~っよ~っ!!」


 昼のランチ、開店前の英雄亭……


 ディーノに連れて来られた栗毛&ポニーテールの少女は、

 ニーノによって運ばれた料理をガツガツと食べていた。


 少女が食事をするテーブル席から、少し離れた同じくテーブル席で、

 ディーノとニーナはそっと見守っていた。


 ニーナはひと通り、ディーノから簡単に事情を聞いた為、

 さすがに取り乱しはしなかったが、「ほう」と軽く息を吐いた。


「ディーノさん」


「何でしょう、ニーナさん」


「もう少し事情を詳しくお聞きしても構いませんか」


「ええ、何でも聞いてください」


「ステファニーさん、カルメンさんと3人で冒険者ギルドへ行ったんですよね?」


「ええ、確かに付き添いで行きましたよ」


「それが何故、見ず知らずのあの子と一緒に戻って来るのですか? ステファニーさん達は?」


「多分、まだギルドでしょう」


「ステファニーさんのご気性から、絶対待っていろって……言われていませんか?」


「言われました。必ず待ってろって」


「え? 約束したのに彼女を置いて来たのですか? 呆れた……というか、ディーノさんから聞いた事情と、この様子じゃあ、仕方ありませんよね?」


「ええ、……ステファニー様にはお守り役でカルメンが付いていますから、多分大丈夫でしょう」


「まあ、そうですよね」


 ディーノが再び見やれば、少女はまだ食事を続けていた。

 ニーナは気を利かせ、食後のお茶を持って行った。

 香りの良い、ニーナお気に入りの紅茶である。


 少女が紅茶をひと口飲んだところで、ディーノはゆっくりと立ち上がり、

 彼女の座る席まで歩いて行った。


「落ち着いたかい?」


「…………ええ、ありがと。昨日の夜から何も食べてなくて……」


 礼を言う少女へディーノは話をするよう促す。

 傍らにはニーナがそのまま立っていた。


「じゃあ、報酬の事はさておき、君が出す依頼の内容を教えて貰えるかな?」


「……分かったわ 。私は楓村のエミリー。村長の孫娘なの」


「俺はディーノ、ご存じの通り王都の冒険者さ。君はエミリーっていうのか、楓村? 聞いた事があるな」


「ええ、楓村は文字通り、メイプルシロップが名産の村。王都から北、ロドニアへ向かう街道沿いにある小さな村なの」


「だな! 確か、そういう話を聞いた事がある。でも、その楓村がどうしたんだ?」


 ディーノが尋ねると、エミリーの表情が暗くなった。

 やはり良い話ではないらしい。


「最近、人喰いゴブリンが大量に出るようになって、村の人がもう何人も犠牲になったの」


「そうか……気の毒に。でも領主は? 王国に要請して、討伐の騎士隊を出動して貰ったら」


 ディーノは当たり前な事を告げた。

 しかし、エミリーは首を横に振った。


「領主は……この王都のさる伯爵様なんだけど、村民の陳情をほぼ無視」


「無視? 酷いな」


「ええ、僅かな、はした金を送って来て、この金で強い冒険者を雇えって。だから私、たまたま村に来ていた護衛付きの商隊にくっついて王都へ来たの」


「成る程。ところで、はした金っていくらだい?」


「たった金貨30枚ぽっちよ。冒険者ギルドへ行って内容を話したら、おとといおいでって言われたわ」


「本当にひで~な、それ」


 ディーノは金額を聞いて、肩を大袈裟にすくめた。

 鬼畜のような領主である。

 楓村の村民を『見殺し』にしていると言って過言ではない。


「ええ、ギルド曰はく、上位クランを複数雇い、最低でも金貨1,000枚以上支払うのが相場だって。金貨30枚じゃ、せいぜい低ランクのお人よしな冒険者ひとり雇えるくらいが関の山だって、吐き捨てるように言われたわ」


「まあ、そう言われるだろうなあ……」


「という事で、途方にくれていたら、貴方を見かけて、つい声をかけたの」


「ふ~ん、エミリーさんには俺がその、お人よしな冒険者に見えたのかい?」


「うん! それに、ディーノは綺麗な女の人と一緒だったでしょ? 彼女はず~っと嬉しそうに笑顔だったから……女子には優しい人かなって」


 嬉しそうにした笑顔の綺麗な女の人?

 ……多分ステファニーだろう。

 

 外見だけは可憐な美少女だから。

 しかしその実態は……


 ディーノはステファニーの暴虐ぶりを思い出し、苦笑。

 エミリーへ、更に状況を聞いてみた。


「俺はあまり優しくないと思うけど……まあ、良いや。君の話は見えて来た。それで大量の人喰いゴブリンって、数はどれくらい居るんだい?」


「ええっと……」


 何故か、口ごもるエミリー。

 ディーノは適当に数字を言ってみた。


「100頭くらいかい?」


「もっと……」


「じゃあ……倍の200頭」


「もっと……」


「思い切って……500頭。でも絶対、無理ゲーだぞ、そんな数」


 500頭というのは、思い切って多めに数を言っただけ。

 ディーノは「まさか」と思う。


 だが、エミリーはあっさり否定。


「ううん……その倍」


「な!? 1,000頭かよ!」


「うん、それにほんの少しおまけが付くの」


 おまけ?

 1,000頭を楽に超えるって事?


 とんでもな状況を認識し、ディーノは大きくため息を吐く。


「成る程……ギルドの言う通り、金貨30枚じゃ、引き受ける奴は居やしねえだろうなあ」


「だからよ」


「だから?」


「忘れたの? ディーノには最初に言ったじゃない? 私を買ってって」


 エミリーから改めて出た不可思議な言葉。

 気になる言葉に対し、まずニーナが反応する。


「な! そ、それ? エミリーさん、どういう意味?」


 驚くニーナの問いかけに対し、エミリーは少し口ごもりながら、


「ええっと……ディーノが引き受けて、ゴブリンどもと戦ってくれたら、金貨30枚に加えて、私をあげる。……貴方の奥さんになってあげるわ」


「な、何、それえ!!!」

「何ですってぇ!!!」


 エミリーから発せられた衝撃の発言。


 開店前の英雄亭には、ディーノとニーナ、

 ふたりの大声が店内中に、響き渡っていたのである。

いつもご愛読頂きありがとうございます。


※当作品は皆様のご愛読と応援をモチベーションとして執筆しております。

宜しければ、下方にあるブックマーク及び、

☆☆☆☆☆による応援をお願い致します。


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