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第83話「ステファニー様、襲来⑤」

⛤『魔法女子学園の助っ人教師』

◎コミカライズ版コミックス

(スクウェア・エニックス様Gファンタジーコミックス)

☆最新刊『第3巻』発売決定しました! 6月27日発売予定!※予約受付中です!

何卒宜しくお願い致します。

「私から見たら、『しなびた野菜』のような覇気はきのないディーノへ、どうしてそこまで執着するのか分からない。ステファニー様のお気持ちが全く分からないのだ!」


「ちょっと! 『しなびた野菜』って何ですか! ディーノさんに失礼です!」


 と、再び怒ったニーナが抗議した、その時。


「本当に失礼だ。相変わらず口が悪いな、カルメン」


 英雄亭の入り口にふたつの人影があった。

 ひとりは男、ひとりは女のようだ。


 そう!

 ずるずる引きずられて行ったディーノが、引きずったステファニーと共に、

 ちょうど戻って来たのである。


 戻って来るのが早すぎると感じたのであろう。

 カルメンが尋ねる。


「ステファニー様! 式はもう挙げられたのですか?」


 カルメンの声に反応した者が2名居た。

 当然、ニーナとマドレーヌである。


「式?」

「式って、何の式ですか?」


 まだ状況が分からない、見えない。

 そんな苛立ちが、カルメンの語気を荒げる。


「たわけ! 結婚式に決まっているだろうが!」


「結婚式!?」

「そんな!」


 ディーノとステファニーの結婚式!?


 驚くニーナとマドレーヌへ、

 カルメンはきっぱりと言い放つ。


「愛し愛される婚約者同士が教会へ行ったんだ。他にどんな用事がある?」


「…………」

「…………」


 ショックからか、固まり、無言となってしまったニーナとマドレーヌ。

 しかし、ここでディーノが抗議の声をあげた。


「おい、ちょっと待て、カル公!」


「な、カル公だと!? ふざけるな! しなびた野菜の癖に!」


「誰がしなびた野菜だ。それに愛し愛される婚約者同士って何だ? 根も葉もない事を言うんじゃない」


 と、ここで口を挟んだのがステファニーである。


「カルメン!」


「はい! ステファニー様!」


「式は挙げなかったわ」


「な、何故!」


「こいつに結婚するのを断られたの。私にはときめかないって」


 敬愛するあるじがふられた!?

 それもとんでもなく女子に失礼な断り方で。

 生意気な!


 カルメンの驚きと怒りは当然ディーノへと向けられる。


「な、なんですと~っ! ディーノ、てめぇ~っ!」


「何だよ、カル公」


「貴様! ウチのメンバーに手を出した挙句、許婚いいなずけであるステファニー様に心のDVまで振るうとは! ゆ、許さんぞぉ!」


 怒る狂うカルメンに対し、ディーノは冷静である。

 苦笑までしていた。


「おいおい、メンバーがメンバーなら、リーダーも……いや、今は元リーダーか。あまり流言飛語りゅうげんひごを広めるな。……心のDV? 何じゃそりゃ?」


「ぐぬぬ……貴様、いたいけなステファニー様の心を弄ぶとは……殺してやる!」


「どこがいたいけだ。お前の心の目は腐ってるんじゃねぇのか、カル公」


 ここでまた「ストップ!」をかけたのは、ステファニーである。


「もう、良いよ、カルメン。この借りは絶対に返すから」


「だから私が!」


 なおもディーノへ天誅を下そうとするカルメンへ、

 ステファニーが一喝する。


「もう黙れって言ってるの! こいつとは私が決着つけるのよ!」


 まさに鶴のひと声。

 カルメンは直立不動となり、「びしっ」と敬礼する。


「は、はい~っ! わっかりました~っ!」


 敬礼するカルメンを一瞥いちべつし、「ふん!」と鼻を鳴らしたステファニー。

 次にニーナとマドレーヌを「ぎろり」と睨み付ける。


「おい、そこのふたり!」


「私達……」

「ですよね?」


 ニーナとマドレーヌは、ステファニーのあまりの迫力にたじろいだ。

 しかしステファニーの話にはまだ続きがあるらしい。


「こいつに……」


「???」

「???」


本気マジじゃないなら、さっさとコースアウトして!」


「え?」

「コースアウト?」


 ステファニーの言葉が呑み込めないふたりは、戸惑い、首を傾げる。

 対して、ステファニーは「びっ」と、ディーノを指さす。


「こいつは私の男よ! お前達は手を挙げてバンザイ! つまり降参して他の男を探せって事!」


「えええっ!」

「むむむむ!」


 口ごもるニーナとマドレーヌへ、ステファニーはきっぱりと言い放つ。


「私はまどろっこしいのが大嫌いなの。ほのかな想いとか、曖昧あいまいな態度を取らず、この場ではっきりしてくれる?」


 話がどんどん進んで行く。

 ディーノの意思とは全く無関係に……


 当然、ディーノは「ストップ」をかける。


「おいおい、ステファニー様。何、勝手に話を進めているんですか?」


 しかし、ステファニーは意に介さない。


「勝手に? あんたの都合なんかどうでも良いわ。今は女同士の話をしてるんだから!」


「女同士って……」


「それよりディーノ!」


「は、はい!」


「絶対、あんたをときめかせるからね!」


 遂に出た。

 誰にでも分かるステファニーの求愛宣言。


 だが、ここで大きな決断をした者が居た。

 ニーナである。


「……ステファニー様!」


 呼びかけられたステファニーは怪訝けげんな顔をする。

 さすがに存在は認識していたが、彼女にとってニーナはアウトオブ眼中。

 全くのモブキャラ扱いである。


「あんたは? ……そう言えば、まだ名前聞いてなかったわ」


「ニーナです!」


「ふうん……ニーナって言うの」


「私、本気です」


「おう、見事に言ったね。しかと聞いたわ」


「絶対! ステファニー様に……負けません!」


「あはは、あんた、私好みよ……良~く覚えておくからね」


 しかし!

 ディーノへの『告白』はまだ終わらなかった。

 大きな決断をした者がもうひとり!


「ステファニー様!」


「あんたは……ウチのクランの……マドレーヌ……かな?」


「そうです! わ、私も! ステファニー様に、けして負けませんっ!」


「了解! まあ、ふたりともせいぜい頑張って、……無駄だと思うけどね~」


 と、ここでおずおずと遠慮がちに手を挙げる者が居た。

 ……タバサである。


「ええっと……ステファニー様、私も……エントリーかなっ?」


「はあ? タバサまでもぉ? あ~もう! 仕方ない! まとめてかかって来なさ~いっ!」


 こうして……

 ディーノには何と!

 

 彼の夢のひとつ……

 生涯を共にする伴侶。

 追い求める『想い人』の候補?が、

 一度に4人も出現したのであった。

いつもご愛読頂きありがとうございます。


※当作品は皆様のご愛読と応援をモチベーションとして執筆しております。

宜しければ、下方にあるブックマーク及び、

☆☆☆☆☆による応援をお願い致します。


東導号の各作品を宜しくお願い致します。


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お持ちのスマホでお気軽に読めますのでいかがでしょう。


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