第81話「ステファニー様、襲来③」
⛤『魔法女子学園の助っ人教師』
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まともに顔面を殴られたディーノは、呆気なく吹っ飛んで、民家の壁に叩きつけられた。
周囲の通行人がびっくりしてディーノとステファニー、双方を見つめている。
大変だ!
喧嘩だ!
と大声で叫ぶ。
慌てて衛兵を呼びに行く者も居る。
しかし、ステファニーは全然動じたりはしていない。
「ひそひそ」話す通行人など完全無視。
威風堂々という文字がぴったりな態度で、鼻を鳴らした。
「ふん、口が過ぎるわ。しばらく会わないうちに、随分生意気になったじゃない」
しかし、「ぴくり」とも動かないディーノを見て、美しい眉をひそめる。
「まあ、ちょっと力が入り過ぎたわ。骨が何本か、折れたかしら?」
だが……
ディーノはむくりと起き上がった。
首を左右に軽く振り、汚れた服の埃を払う。
「相変わらず、無茶しますね、ステファニー様」
にっこり笑ったディーノの顔は、まるで何事もなかったかのように、
晴れやかである。
けろっとしたディーノ。
対して相変わらず仁王立ちのステファニー。
この様子を見て、騒いでいた野次馬達の興味が急速に失せて行く。
恋人同士の痴話喧嘩がエスカレートしただけと見たようだ。
人の輪があっさり崩れ、四方に散って行く。
そんな中、ディーノを見つめるステファニーは訝し気な表情をした。
ディーノがほとんど『ノーダメージ』という雰囲気で起き上がったのが、とても不可解であった。
怒りに任せて……
思わず拳をふるってしまった。
だが……
オークならばいざ知らず……
これほど力を入れて、人間を殴った事はない。
当然ディーノに対しても、今迄は平手打ち5連発くらい? にとどめていた。
「へえ……あんた……平気なの? 私のパンチ受けても」
「ええ、まあ……何とか」
そう言いながら、ディーノの顔に殴られた跡さえもついていない。
まじまじとディーノを見たステファニーは、
「ふ~ん……久々にあんたと会った時から、違和感を覚えていたけど」
「違和感ですか?」
「そう、違和感……やっぱり、あんた今迄とは違う」
「違いますか?」
「ええ、以前のディーノとは違う、大違いだわ」
「そうですか」
「ふ~ん……」
何事もなかったかのように……
淡々と話すディーノを見て、ステファニーは何か思うところがあるようだ。
これまで気合が入り過ぎていたのが、少し脱力しているかもしれない。
「……とりあえず、ペンディングね」
「ペンディング?」
「あんたとの結婚よ。悔しいもの、正面切って、ときめかないなんて言われちゃ」
「すみません」
「別に謝らなくても良いわ」
「いいんですか?」
「貸しにしといてあげる。さっきの一発だけじゃ、超むかついたのは到底収まらないからね」
「ステファニー様の貸しって……俺にとって借りという事ですか……うっわ! 後が怖いですよ、それ」
「ふん! せいぜい怯えてなさい。それよりとりあえず戻ろうよ」
「ええ、さっきの店……英雄亭へ戻りましょう。残して来たカルメン達がどうしているのか、気になりますから」
そう……
ステファニー同様、カルメンも怒っていた。
カルメンが、マドレーヌ達に対し、どのように振る舞うのか、
ディーノはとても気になっていた。
ステファニーは、そんなディーノの胸中を見抜いたかのように、
にやりと笑った。
「英雄亭に居た……あんたの取り巻き女子って、これから私の部下になる子達でしょ?」
「多分3人はそういう事になります。ひとりは違いますけどね」
「まあ……カルメンが作ったクランの隊規で、男とのデート禁止とか……私はそこまで細かい事言わないけど……」
「…………」
「カルメンは鷹揚に見えて、結構細かいところもあるから、今頃はクランの子達へ厳しく説教してるんじゃない?」
「なら俺がカルメンを説得します。何かしようとしたら絶対に止めます。彼女達を強引に誘ってデートした俺の責任ですから」
一緒に居た女子達を擁護するディーノ。
以前は怖がっていたカルメンに対し、臆せず堂々としている。
ステファニーは納得したように、頷く。
「……ふ~ん、成る程ね」
「何ですか? 成る程って?」
「やっぱ、あんた、変わったわ」
「ですか……じゃあ、とりあえず戻りましょう」
こうして……
寝技で結婚させられそうになったディーノは、絶体絶命の危機を何とか回避し、
ステファニーと共に、英雄亭へ戻る事となったのである。
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