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第77話「記念すべき初デート②」

⛤『魔法女子学園の助っ人教師』

◎コミカライズ版コミックス

(スクウェア・エニックス様Gファンタジーコミックス)

☆最新刊『第3巻』発売決定しました! 6月27日発売予定!※予約受付中です!

何卒宜しくお願い致します。

 タバサが一行を連れて行ったのは、衣料店であった。

 しかし扱っているのは新品ではない、古着オンリーの衣料店である。


 この世界では、衣服はイージーオーダーが主流である。

 そもそも既製服を作る店が皆無に等しいのだ。

 1着1着、注文を受けて作る仕立て屋しかないのである。

 個々のサイズに合わせた特別仕様だから自然と高価になる。

 

 対して、一般庶民が着る服は安価な中古服が殆どである。

 でも中古服がそこまでの数になるのかという疑問も出て来るだろう。

 

 実は……

 高い金をかけて作っても、すぐに飽きて処分する貴族や上級クラスの市民は多い。

 その服を廃棄すると偽り、こっそり古着屋へ売却する使用人がたくさん居るのだ。

 

 こうして……

 王都にある数多の古着屋は成立し、サイズを少し手直しすれば、

 庶民にも手頃な値段で良質の服が行き渡るという仕組み。


 今回タバサが一行を連れて来たのは、結構な大型店の古着屋である。

 楽しく買い物が出来るよう、オブジェや小物も置かれ、内装も洗練されている。


 扱っているのは男女用共に、センスが良いお洒落なブリオー、カッコいい法衣ローブがメイン。

 種類もサイズも豊富に取り揃えていた。

 

 つまり……

 冒険者で魔法使いのタバサが、公私で欲しい衣服ばかりなのだ。


「わあ~、相変わらず欲しい服がい~っぱい! どれにしようかなあ! たくさん買っちゃおう!」


 と、ここで、買い物に燃えるタバサにストップがかかる。


「ちょ~っと、待ったあ!」

「そうです、待ちなさい、タバサ!」


 そしてストップをかけたのは、意外ともいえる組み合わせのふたりである。


「え? ニーナさん、マドレーヌ姉、な、何?」


 そう、ニーナとマドレーヌが制止、射抜くような視線でタバサを見ているのだ。


「タバサさん、買い物をするのは結構ですし、自由です。それに関しては止めません」

「そうですよ、タバサ! 但し自分のお金で買うのです」


「え? 自分のお金?」


 ポカンとするタバサに対し、ふたりの追撃は緩まない。


「そうです、自分のお金を使いなさい!」

「絶対、ディーノに、たかってはいけません。そんな事をしたら問答無用で、途中退場させます!」


 厳しい表情のニーナとマドレーヌに、タバサはたじろぎ、圧倒される。


「あ、あはは……い、嫌だなあ……じ、自分の着る服は自分で買う、そ、そ、そんなの当たり前じゃない、ですかぁ」


 しかし、ここでニーナとマドレーヌ、ふたりの表情は一変。

 にやにや笑っている。


「うふふ、タバサさん、額に汗が滝のように流れてますよ」

「悪だくみが図星でしょ? すっごく、噛んでるしね」


「あはは……そんなぁ……で、でも何で急にニーナさんとマドレーヌ姉が、け、結束したんですか?」


 タバサにとっては尤もな疑問である。

 何故、今迄交流がなかったふたりが、こんなに息の合うところを見せるのか?


「当たり前です! マドレーヌさんとは同志ですから!」

「そう! 戦友ですから!」


 実は……

 先ほど、ディーノとマドレーヌが会話してから……

 マドレーヌからニーナへ、『タバサのたかり癖』の話が行った。

 

 優しいディーノに迷惑をかけたくない。 

 ふたりは同意した上、意気投合したのだ。

 

 女子は恋の気配に鋭いという……

 互いにディーノに対し、好意を持つ者という雰囲気を感じた故、

 共同戦線を張ろうという約束を交わしたのである。


「同志……戦友」


 と、呟くタバサ。

 意味不明だという顔付きであった。


 しかし、ここでディーノが声を張り上げる。

 何か、伝えたい事があるようだ。


「みんな、聞いてくれ! 全部とは言えないが、どのような服でも1着分お金を出そう! だから好きな服を買ってくれ、俺のおごりだ!」


 ディーノから発せられた衝撃の発言。

 折角、タバサの悪だくみをいさめ、止めたのに……

 

「ええええっ?」

「ディーノ」


 びっくりするニーナとマドレーヌ。

 ふたりを他所よそに、ディーノは、同じく呆然としているタバサへ話しかける。


「タバサ」


「な、何?」


「俺、女子とのデートは生まれて初めてだし、こんな素敵な店にも来たことなくてさ。ありがとな、連れて来てくれて」


「…………」


 ディーノから、想定外の『礼』を言われたタバサは、返す言葉が見つからない。

 そんなタバサをディーノは見つめ、優しく微笑む。


「お前の言う通り、カッコいい服がいっぱいあるよな。……俺も買うから皆で一緒に買おうぜ」


「ディーノ……」


 しかしまだ、ディーノの提案は終わらない。

 このような時に、稼いだ金を有効に使おうと考えたのだ。


「それと、この後のランチは全て俺のおごり、食べ放題、飲み放題だぞ」


「え?」


 食事までと、驚くタバサにディーノは、


「但しひとつだけお願いがある。ランチの店は英雄亭にしてくれないか? 普段、お世話になっているから、少しでも売り上げに貢献したい」


 ディーノの言葉を聞いていたジョルジエットも、拳を高々と突き上げる。

 彼女の本音は最初「好きな服が、ただで買えてラッキー」程度だった。

 だが、ランチの話を聞き、今は大いに感動していた。


「大賛成! さっすがディーノ君、男はやっぱ、いきなのが一番だよねっ!」


 と褒め、女子達へ向かって、


「みんなぁ! 彼のお言葉に甘えて、好きな服を選ぼう! その後は英雄亭で、大宴会だぁ!」


 こうして……

 ディーノ達5人デートの第一弾、『ショッピング』は大いに盛り上がったのであった。

いつもご愛読頂きありがとうございます。


※当作品は皆様のご愛読と応援をモチベーションとして執筆しております。

宜しければ、下方にあるブックマーク及び、

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最後に、連載中である

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