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第46話「流言飛語、再び!」

 皆様はご存じだと思うが……

 経済の中で流通している貨幣を通貨という。

 そして貨幣の価値を一定量の金に求めた通貨制度を、金本位制という。


 ヴァレンタイン王国を含むこの世界の通貨制度は金本位制及び十進法に基づいている。

 補足すると小銅貨から始まり、銅貨、銀貨、金貨、白金貨、王金貨、竜金貨、神金貨、8種類の通貨があるのだ。


 閑話休題。


 冒険者での打合せ終了後、ミンミはブランシュに命じ、ディーノの報酬を用意させた。

 金額はディーノにとって予想を遥かに上回る大金となった。

 バスチアン及び配下の山賊どもの捕縛料だけで金貨700枚を超えたのだが、

 加えて、砦内に蓄えられていた宝物をミンミ達が回収し、ギルドとして謝礼金を受け取ったのだ。

 

 略奪された為、所有者不明のモノが多々あったのと、

 第一優先権をディーノが保有する事もミンミは考慮してくれた。

 こちらの謝礼が何と金貨800枚にもなり、ディーノは計1,500枚の金貨という大金を受け取った。

 ちなみにこの王都で金貨1,500枚があれば……

 豪邸とはいかないが、そこそこの家が購入可能であり、1年間使用人を雇えるほどである。


 さてさて!

 ディーノは浮き浮きして英雄亭へ戻った。

 ポケットには、金貨が10枚だけ入っていた。


 報奨金はギルドに預ける事が可能で、登録証の提示で引き出す事が出来る。

 多角化経営な冒険者ギルドは銀行、保険会社の役割も果たしている。

 ディーノは残金をギルドへ預けて来たのだ。

 今夜は得た金貨5枚をダレンに支払い、残りの金貨5枚で、

 閉店後、ニーナ達と宴会でもしようと考えていた。 

  

 ちなみにディーノは、多忙で宿を探す暇がなく、王都へ来てからは、

 ず~っと英雄亭の空き部屋で寝泊まりしている。


「ただいま、もっどりましたぁ!」


 ディーノは大きな声で、帰還を宣言し、英雄亭へ入った。

 厨房に居るダレンはともかく、ニーナを始めとした英雄亭給仕スタッフ女子が元気良く迎えてくれると思いきや……


 反応が全く無い……

 完全に放置プレイであった。


「あれ?」


 ディーノが帰って来たのを知っているはずなのに。

 しかしスタッフ女子達は誰も近寄って来ないのだ。


 何か、これって……以前も同じ事があったな。

 既視感デジャヴュに囚われたディーノが思わず「ぼけっ」としていると……

 

 ようやくニーナだけが近付いて来た。

 前回同様、表情が険しい。

 

 今回もヤバイ状況なのではと、思いながらも……

 ディーノは、相変わらずニーナは可愛いと思ってしまった。


「ど、どうしたの?」


「どうしたの? じゃないですよ!」


「は?」


「ディーノさんは……やっぱり! 酷い人……だったんですね?」


「やっぱり!? ひ、酷い人って……」


「貴方は! やっぱり……嘘をついていたんですね?」


「は!?」


「ディーノさん、この前はうやむやになりましたが……やっぱり貴方には婚約者がいらっしゃるんでしょう?」


「はぁ!? こ、婚約者ぁ!?」


「はい、マドレーヌさんとは全く違う方からもお聞きしました。ディーノさんは遠く南の地へ婚約者を残し、王都に出て来たって、きっぱりと断言されておりました」


「な!?」


「ディーノさん! 創世神様に誓ってください。今度こそ真実を話すと!」

 

「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくださいっ!」


「嘘はいけません、嘘は! 教えて頂いた方も、ディーノさんは悔い改め、心の底から懺悔しなさい、そう仰っています」


「ニ、ニーナさぁん! スタ~ップ!」


「何ですか? 今更……」


「あの、今回も俺には全然話が見えなくて……わけが分かりません」


「今回も? 話が見えない? わけが分からない?」


「ええ、改めて断言します。俺には婚約者など居ません!」


「え? でも親同士が、幼い頃のディーノさんとほぼ同じ年齢の婚約者さんとの結婚を決めたって……」


「ち、違いますよ! い、一体、だ、誰ですか、またまたそんな大嘘おおうそをほざいているやからは!」


「輩? はい、あそこに居らっしゃいます」


「は?」


 ニーナは店内の一画を指さした。


 ディーノが見やれば、テーブル席にふたりの女性が居た。

 

 ひとりは栗毛で髪型はショートカット。

 濃紺の革鎧を着込んで、腰から剣を提げている。

 見た目は冒険者という出で立ち。

 彼女には見覚えがある。

 先日流言飛語を広めた……マドレーヌだ。

 

 でも何かマドレーヌの様子が変だ。

 ずっと俯いて座っている。

 緊張の波動が伝わって来て、身体全体も硬くなっているようだ。 


 そしてもうひとりは……

 深緑の法衣ローブを着用した司祭風の女性である。

 金髪碧眼の細面で、美しい顔立ちをしていた。


 ディーノは凝視したが……

 マドレーヌの時同様、全く見覚えがない顔である。


 しかし今回も赤の他人が、何故そのような偽りを話し、広めようとするのか……

 今回も直接話せば、はっきりするだろう。


 それに超が付く緊張気味のマドレーヌが一緒だという事は……

 女性の正体も大体見当がつく。 


「俺……今度こそ! きっちり話をつけます。そう何度も何度もでたらめを広められては困る!」


「今度こそ? 何度も何度もでたらめ? じゃあ!」


「はい! 際限なく懲りずに言いますが、俺には婚約者など居ません! そんな話は完全なデマです。ニーナさん、流言飛語りゅうげんひごに騙され踊らされてはいけません」


 ディーノはまたまた、憤懣ふんまんやるかたないという表情で、

 マドレーヌ達の居るテーブル席へ向かったのである。

いつもご愛読頂きありがとうございます。


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