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第324話「混沌のフロア⑪」

東導 号 書籍化作品

⛤『魔法女子学園の助っ人教師』

特報!

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 悪魔からの誘いを受け入れる……

 

 ガルドルド魔法帝国公爵で枢機卿アルフォンソが不死王ノーライフキングと化したのは、

 心の隙をついて来た悪魔との契約によるものだった。

 

 話は核心へ近付きつつある。


 ディーノは、気合を入れ直した。


『遂に……私は、悪魔と契約してしまった……』


『………………』


『気が付けば……私は朽ちた肉体のまま、生きる存在、人々から忌み嫌われる存在、不死王ノーライフキングになり果てていた……』


『………………』


『持っていた自我は失われ、鋼鉄の如く硬いと信じていた己の意志も否定され、私の魂は、悪魔により完全に(とら)われ、支配された。そして私は奴の使い魔に成り下がった……』


『………………』


『不死王へ堕ちて以来、この穴蔵の奥で、数多あまたの人間を殺し、奪った魂を悪魔へ奉げて来た……意思と志を失った私は本当に生ける屍であった……』


『………………』


『だが、ディーノ』


『はい!』


『君が、私の(しば)られ、(とら)われていた魂を解放し……負の連鎖をすっぱりと断ち切ってくれた。それも我が同胞、強き騎士として、立派に人生を全うしたブレーズ・シャリエの奥義で……そして、我らガルドルド帝国人の崇高な想いも継いでくれていたと知った』


『………………』


『もう、思い残す事はない!』


『………………』


『ディーノ』


『はい』


『君は悪魔と向き合った事が……正面から、対峙(たいじ)した事はあるのか?』


『あります』


『ふむ! そ、そうかっ!……そ、それでどうなったのだっ!』


『………………』


 アルフォンソの問いに対し、ディーノは無言だった。

 すぐにアルフォンソは察した。


『……いや、愚問だった。今の君を見れば分かる! 全くの正気、魂は(けが)れてなどいないっつ! 私と違い、おぞましき誘惑を拒否したのだな?』


『……はい、俺はきっぱりと悪魔の提案を拒否しました』


『そうか……きっぱりと拒否か、君は素晴らしいな。人間として立派だ』


『いえ、そんな事は……ありません。 では俺が悪魔と対峙した時の事をお話しします』


『た、頼む……』


『枢機卿様の同胞ブレーズ様が長き流浪の果て、最後に住まわれた村。その村を害そうとしたゴブリンども。奴らを倒した際、その黒幕が悪魔でした』


『ほう……』


『その悪魔はゴブリンを使って、村民を殺し、魂を集めるつもりだったのです。俺が駒となる配下のゴブリンを倒した事で、相当怒っていました』


『ふうむ……駒を倒され、怒っていたか』


『はい。悪魔は俺に服従するよう取引きを持ちかけて来ました。お前の所持するルイ・サレオンの魔道具を渡せ! 従わずば、殺すと……奴は魔界の王になろうとしていたと思います』


『ふむ、従わずば、殺すか……そして魔界の王を目指す悪魔か……そいつはかなりの大物だ。……君は、怖くはなかったのか?』


『ええ、凄く怖かったです。召喚していた戦友もあっさり自由を奪われましたし、俺も命を奪われると覚悟しました』


『そうか……』


『しかし、枢機卿様もご存じの通り、俺にはそのルイ・サレオンの魔道具、そして、ブレーズ様から授かった奥義ゼロ迫撃がありました。悪魔は、魔道具の持つ力を意識し、本体たる魂を斬られる事を怖れ、退却しました』


『そうだったのか……私にも君のような強さ、そして意思の強さがあれば、な……』


 アルフォンソは、自嘲気味に笑った。

 しかし、ディーノはアルフォンソを気遣った。


『いえ、こんな俺が言うのもなんですが、枢機卿様の場合は、仕方がないと思います。極限状態でしたから』


『………………』


『俺だって、もしも自分が生きるか死ぬか、そして己を守り、戦う(すべ)がなければ、……悪魔に屈し、魂を(とら)われていたと思います』


『………………』


 黙り込んだ、アルフォンソへ、ディーノはきっぱりと言い放つ。


『枢機卿様! 俺からもお願いします!』


『ディーノ。君から、お願い?』


『はい! ぜひ俺へ、ブレーズ様同様、枢機卿様のご遺志と、人生を懸けて磨いた奥技を託してください。俺、しっかりと受け継ぎますからっ!!』


『む! 良いのか? こんなに弱き私でも……本来、悪魔から人々を守り、退ける役目を負った聖職者たる者が、逆に誘惑され、闇へ堕ちたのだ。……君は軽蔑(けいべつ)しているのではないのか?』


『とんでもないっ! 俺こそ元々、流されるまま、底辺に生きていた人間なんです』


『ディーノ……』


『俺は自分に自信が全く無く、前向きに生きる覇気(はき)も無く、人生の目的も何も無しに、ただ年をとって死んでいく。そう思っていたんです!』


『ディーノ……』


『俺は旅に出て、いろいろな方と出会い、そして別れを重ねました』


『ふむ……』


『自分の生き方を見つめ直した俺は、旅を重ねる中で、導き継ぐ者として、今は亡きその方々から、多くのこころざしを、そして磨いた技を受け継ぎました』


『うむっ!』


『俺は、これからも旅を続けます。出会った皆さんのご遺志を継ぎ、世の難儀なんぎする人々を助け、生きていきますっ!』


『おお、ディーノっ! それが君の生き様か! 人生の目標かっ!』


『はい! そうです! これが俺の生き様です! 人生の目標ですっ!』


『おお、ディーノ、君は……何という……前向きな! 我が人生の、旅路の最後に、君に会えて良かった!』


『枢機卿様っ! こんな俺で良ければっ! 枢機卿様も、持てる全てを託してくださいっ!』


『分かったぁ!! 私アルフォンソ・バンディニの持てる全てをっ! ディーノ! 君に託し、天へ(かえ)ろうっ!!』


 アルフォンソは最後の最後でディーノに邂逅し、満足して()くと言い放った。

 放つ魔力も、もはや悪魔に支配された不死者(アンデッド)のものではない。

 まさに!

 前向きに生きる人間として輝く、誇らしく崇高なものであったのだ。

いつもご愛読頂きありがとうございます。


※当作品は皆様のご愛読と応援をモチベーションとして執筆しております。

宜しければ、下方にあるブックマーク及び、

☆☆☆☆☆による応援をお願い致します。


東導号の各作品を宜しくお願い致します。


⛤『魔法女子学園の助っ人教師』

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また「Gファンタジー」公式HP内には特設サイトもあります。

コミカライズ版第1話の試し読みも出来ます。

WEB版、小説書籍版と共に、存分に『魔法女子』の世界をお楽しみくださいませ。


マンガアプリ「マンガUP!」様でもコミカライズ版が好評連載中です。

毎週月曜日更新予定です。

お持ちのスマホでお気軽に読めますのでいかがでしょう。


最後に、連載中である

「帰る故郷はスローライフな異世界!レベル99のふるさと勇者」《連載再開!》

「ぜひ!ウチへ来てください!好条件提示!超ダークサイドなパワハラ商会から、超ライトサイドな魔法女子学園に転職した、いずれ最強となる賢者のお話」


も何卒宜しくお願い致します。

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