第308話「ゴーレムの弱点」
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フォルミーカ迷宮70階層から魔導昇降機は設置されてはいない。
しかし、とんでもなく広大に、且つ自然の洞窟風に趣きは変わろうとも、迷宮の仕様はほとんど変わらない。
ディーノ達一行はフォモール族と連戦し撃破。
四方が通路でつながれた迷宮の休憩スペース、89階の『小ホール』へたどり着いていた。
ふたりで攻略するより、遥かに負担が少ないここまでの探索。
ディーノの戦友達やゴレ吉軍団の大きなフォローはあったのだが……
弱音を吐かず強がりを言うウッラと、冷静沈着で表情をあまり変えないパウラに多少疲れが見られた。
それゆえディーノは下層攻略の打合せも兼ね、ここでキャンプを張る事としたのだ。
ディーノが懐中魔導時計を見れば、時刻も夕方の17時過ぎとなっていた。
まもなく夜。
時間的にも丁度、頃合いであろう。
ディーノにとって迷宮のキャンプも二度目であり手慣れたものである。
戦友達を護衛の配置に就かせた後……
キャンプの支度をするべく、『搬出』と魔法の言霊を唱え、
まずテントを取り出した。
そして前回同様、大きめの円形テーブルに椅子3つも取り出して並べた。
更に飲み水がたっぷり入った樽をひとつ。
様々な調理用具、そして多くの食材も取り出した。
笑顔でてきぱき準備をするディーノを、ウッラとパウラは満足そうに眺めていた。
誤解のないように言えば、双子姉妹も料理はそこそこ得意である。
だが、ディーノの手際と料理の腕が素晴らしいので、つい任せてしまうという次第。
「フォモール族との戦いで身体もほぐれて来たのに休むのか?」
「うふふ、姉さんたらお腹が空いている癖に」
「うっさい、パウラ! それよりもディーノがそうやって、楽しそうにサクサク食事の支度をすると、まるで地上で行う普通のキャンプだ」
「うふふ、その通りね」
ここで念の為、ディーノから質問。
「ウッラさん、パウラさん、本日もお疲れ様でした。夕食メニューもお任せで良いっすか?」
「ああ、ディーノ、OKだ。どうせ何を作るのか、お前は決めているのだろう?」
「私もOK! 姉さんと同じくディーノ君にお任せします。ちなみに何を作るの?」
「えっと、今夜の夕食は豚と鶏のパテ、鹿肉と野菜のラグー、それと新鮮野菜のサラダっす。パンは買い置きのライ麦パンっすね」
補足しよう。
まず『パテ』とは肉や魚等の具材を細かく刻み、ペースト状あるいはムース状に練り上げた料理である。
一方、『ラグー』とは煮込むという意味の言葉だ。
文字通り、肉、魚貝、野菜等を煮込む料理である。
ちなみにミートソースもラグーの範疇へ入る。
ディーノの言葉を聞き、ウッラとパウラの目が「ぱああっ」と輝いた。
口の中に唾があふれて来る。
「何だ、それ、凄く美味そうだ」
「ホント! ワインがないのが残念ね」
やがて、料理は完成し、パテの載った大きめの平皿がひとつ、そしてラグーが入った大きなスープボウルがひとつ。
そして各自の取り皿と小さな椀が、テーブルの上に並べられた。
「ちょっち、一瞬、待ってください。戦友達へも夕食の肉をあげます」
ディーノは収納の腕輪から大きな獣肉の塊を取り出し、ケルベロス達戦友に渡す。
即座に、戦友達は歓声をあげ、ぱくつき始める。
「お待たせしました。さあ、食べましょう」
「うむ、遠慮なく頂くぞ」
「おいしそ~!」
こうして……
ディーノ達は迷宮内における二度目の夕食を無事、迎えたのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
翌朝は1階下、地下90階層へ降りる。
強敵メタルゴーレムが支配する領域である。
大好評の夕食は終わり、食後の紅茶を飲みながら……
ディーノと、ウッラ、パウラは作戦会議を開始する。
議題は当然、メタルゴーレムの攻略法だ。
「おい、ディーノ。メタルゴーレムはさすがに強敵だぞ。先にも言ったが、私達姉妹は無理に戦わず大体スルーした」
「ええ、あいつらに魔法はあまり効かないし、神銀の剣でも難儀するから」
「ですね」
「ディーノ、ゴーレムどもと、どう戦うつもりだ」
「ええ、戦法を知りたいわ」
「はい、基本的には変えません。手を増やします」
「基本は変えない? なのに手を増やす?」
「イミフね、具体的に教えてくれる?」
「はい、ゴレ吉軍団を増強します。2体追加し、前面に3体、最後方に1体配置で行きます」
「はあ? 何じゃそりゃ? ゴーレム4体だとぉ!」
「ディーノ君、貴方一度にそこまでゴーレムを使えるの? 召喚した戦友だって使っているのに……」
ウッラとパウラが驚く間もなく、ディーノは更に驚くべき事を告げる。
「まあ、何とか……盾役を増やした上で、ゴーレムの弱点を攻めてみたいと思います」
「何? ゴーレムの弱点? 言うのは簡単だが、そんなのあるのか?」
「う~ん、私が思う限り、メタルゴーレムを倒すには、魔法ならば火属性の上位魔法による超が付く高熱で素材の金属ごと溶かすとか、もしくは物理攻撃でも想像を絶するパワーでバラバラに破壊しないと無理だと思うけど……」
双子姉妹の疑問に対し、ディーノは二ッと笑う。
「おふたりとも、俺がゴレ吉達を戦闘不能にした事をお忘れですか?」
「おお、そう言えば、そうだ。ゴレ吉達はほぼ無傷だな」
「確かに! ディーノ君が素手でゴーレムを破壊するという、とんでもない荒業を披露したから、ショックのあまり忘れていたわ」
「と、いう事で、ネタバレになるから、あまり詳しくは言えませんが、メタルゴーレムにも、どこぞの術者がかけた縛りを破壊します」
ここで補足しよう。
ディーノのいう『縛り』とは……
ゴーレムを生成し、起動するさいに術者が刻む『真理』という魔法文字である。
全てのゴーレムにはこの魔法文字が身体のどこかに刻まれている。
ディーノはゼロ迫撃で、その魔法文字を削り取り無効化、ゴーレムを可動不能とした。
その上で、己の魔法文字を刻み、我が従士としたのである。
念の為……
理論上では可能だが、この方法でゴーレムを倒す者は殆ど居ない。
上級レベル術者の魔法文字をデリートするのは、それを数倍上回る魔法レベルではないと到底無理なのだ。
「はあ? 縛りを破壊? 何じゃそりゃ?」
「も、もしかして! 術者とゴーレムが結んだ契約の理を解除するとか、そういうの?」
「ええ、パウラさんの推測通りっす。もしも上手く行かない場合は速攻で逃げます。アヴァートゥアクラァィシィス、危機回避で行きますよ」
ディーノはそう言うと、再び不敵に笑ったのである。
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「帰る故郷はスローライフな異世界!レベル99のふるさと勇者」《連載再開!》
「【改訂版】辺境へ追放された勇者は、銀髪美少女と新たな国を創る。気が付いたら魔王と呼ばれていた?」
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