第299話「助けてあげれば良いのよ②」
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フォルミーカ迷宮地下50階層小ホール……
ディーノ、ウッラ、パウラの3人は、この小ホールでキャンプを張り、夜明かしをしている。
いろいろあって眠れなかったディーノは、地の精霊ヴィヴィの急な来訪を受けた。
ヴィヴィ曰はく、ディーノの予測通りフォルミーカ迷宮の王は悪魔メフィストフェレスだという事。
またメフィストフェレスに勝利する為に、ディーノへ更なる覚醒の必要性を告げた。
そしてその方法も……
意味ありげな言葉を告げるヴィヴィは悪戯っぽく笑っている。
ちなみに見張りに立った戦友達4人は見て見ぬふりをしていた。
新参のファイも、ヴィヴィを味方だと認識しているようだ。
ヴィヴィの言葉を聞き、ディーノは問う。
事実関係は不明だが、心当たりがあるからだ。
『ウッラさん、パウラさんの宿命を受け止めて助ければ、俺は更に覚醒し、大悪魔メフィストフェレスにも勝てる、そういう図式ですね』
対して、ヴィヴィは簡潔に肯定する。
『うん、そういう事』
『ウッラさん達を助けて、何が起こって、結果どうなるから俺が魔人を超える……というロジックがいまいち分かりませんけど……』
『そのうち分かるわ』
『そうですか』
『ええ、導き継ぐ者たるダーリンと、地界王の娘たる私の邂逅、空気界王オリエンス様、火界王パイモンとの更なる出会い。それらに伴う数々の出来事、そして双子ちゃんの意味深なコメントとか、ね』
『成る程。様々な因果関係が絡む……という事ですね』
『うふふ! 難しい言い方をすれば、その通りよ』
『了解。何となく分かります』
『うんうん、ダーリンは、双子ちゃん達を大事にすれば良いのよ。そして助けてあ
げるの。さっきみたいなバカ男どもの撃退を含め、いろいろな意味でね』
『はい、可能な限りの努力をします。さっきヴィヴィ様から浮気云々言われましたけど、実際、俺はウッラさん、パウラさんが好きですし』
『ふううん。ダーリンは双子ちゃん達とダブルエッチしたいの?』
『うっわ、ストレート。いえいえ、そうじゃなく、何か近しい雰囲気っていうか、ふたりは姉さんみたいなんですよ』
ディーノの言葉を聞き、ヴィヴィはにっこり笑う。
『うふふ、双子ちゃん達が姉さんか……なら頑張れるわよね。今の言葉信じてるから』
『ええ、確約は出来ないですが、ふたりを救う為、全力を尽くしますよ』
出会いの時こそいろいろあった。
しかしウッラとパウラは素敵な女子達である。
心と心が触れあい、魂の絆が深まってから、尚更そう感じる。
もし助けを求めてくるのなら、全身全霊で応えたい……そう思う。
そんなディーノの気持ちと決意をしっかり感じ取ったのだろう。
ヴィヴィは大きく頷いた。
『よっし! 今のコメント聞いて安心した!』
『安心すか?』
『うん! じゃあ、私そろそろ行くから』
ヴィヴィは「引き上げ」を告げて来た。
ディーノは意外であった。
否、ヴィヴィが居れば心強いというのが本音だろう。
その本音は、はっきり言葉に出た。
『え? もうっすか?』
『うふ、寂しい?』
『ええ』
『嬉しいっ!』
ヴィヴィは、ばっと跳び、ディーノへ抱き着いた。
そして頬へ熱くキスをした。
それもぺろりと舌を出して舐めるベロチューである。
『わお! びっくりしました』
驚くディーノを見て、ヴィヴィは楽しそうに笑う。
『あははっ! 私もいろいろ忙しいのよ』
『確かに、お忙しそうですね』
『うん! 地母神見習いの勤めもあるし、ステファニー達、エレオノーラ達の面倒もみなくちゃいけないしね。誰かさんが、可愛い女子達をほったらかしだから』
おおっと!
「ちくっ」と蜂のひと刺し。
確かにヴィヴィの言う通りだ。
ディーノは、自分の目的を果たす為、ステファニー達を放置している。
ひと言も返せない。
そして、ケアしてくれるのもありがたい。
ここは素直に、ヴィヴィへ礼を述べた方が良いだろう。
『すんません、ヴィヴィ様にはお手数かけます』
『うふふ、構わないわ、あの子達、可愛いから! そうそう、ダーリンが出発してから、ステファニーとエレオノーラは殆ど連絡をして来ないでしょ?』
『確かに連絡がないっす』
『うふふ、ダーリンに愛されたくてさ、連絡取るのを我慢して、女子達全員が必死に修行してるのよ』
『そうなんですか』
『ええ、ふたり以外の子達も、持っているスキルを磨きつつ、他に何か可能性はないかと一生懸命、頑張ってるよ』
ディーノはステファニー、ニーナ、エミリー、鋼鉄の処女団のヴァレンタイン王国チーム。
エレオノーラ、シグネのロドニアチームの面々を思い浮かべた。
ひどく懐かしい気がする。
そして自分の為に努力していると思うと健気且つ愛おしい。
『女子達の面倒を見ているお礼の代わりにぃ、今度は私と迷宮デートしようねぇ~。じゃあダーリン、ばっはは~い!』
手を打ち振ったヴィヴィはそう言うと、現れた時同様、空中へジャンプ。
「くるり」と一回転し、ぱっと消えてしまった。
ヴィヴィが去った後、ディーノは残して来た女子達を想い、安心すると同時に……
改めてウッラとパウラについて考えてみた。
言われずとも、ディーノだって感じていた。
明るい性格のウッラとパウラだが、ふたりともどことなく陰があると。
時折、辛そうな顔を見せる事もある。
そしてパウラからも言われている。
……以前、このようなやりとりがあった。
「君なら……いいえ! 貴方なら、出来るかもしれない」
「出来るって、何をですか?」
「私達姉妹を忌まわしい呪縛から解き放ってくれるかもしれない」
ウッラとパウラが囚われた忌まわしい呪縛とは……
一体何だろう?
でも自分が……導き継ぐ者の力が、ふたりを救えるのなら、救いたい。
ふたりが眠るであろうテントを見ながら……
ディーノは改めて決意したのである。
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最後に、連載中である
「帰る故郷はスローライフな異世界!レベル99のふるさと勇者」《連載再開!》
「【改訂版】辺境へ追放された勇者は、銀髪美少女と新たな国を創る。気が付いたら魔王と呼ばれていた?」
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