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第293話「ディーノは、まるで……」

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 フォルミーカ迷宮地下50階層……

 ここは合成魔獣どもが支配するフロアである。


「ディーノ」

「ディーノ君」


「はあ」


「お前、いつもと全然違うな」

「ええ、あいつらには、まともに突っ込まないのね?」


「はい、実は俺、すご~く、ずるい男なんです」


 そう……

 ディーノの戦法が、ずるがしこく変わっていた。

 襲って来た合成魔獣キメラ3体相手に、戦友のみで、戦わせている。


 オーガ、ミノタウロス、ゴーレム……

 いわゆる脳筋トリオの時には、「力には力で対抗だ」と宣言。

 自ら先頭に立ち、真っ向から突撃をかけていたのに……


 今回は控えて3番手におり、ファイ、ケルベロス、オルトロスが突出して戦うのを、距離を取り、見守っている。


 キメラの武器である炎も、火の攻撃を受けると逆に活性化するファイアドレイクには効果が無い。

 また、冥界の炎まで無効化する魔獣兄弟にも全く通用しなかった。


 並の攻撃を受け付けない頑丈なキメラの身体も……

 ケルベロス、オルトロスの岩をも裂き噛み砕く、鋭い爪と牙の前には無力であった。


 間を置かず、戦友3人は難なくキメラを絶命させた。


 仕上げは、不死者アンデッドにならぬよう、ファイが猛炎を吐き、死骸を塵にした。


 キメラが塵になるのを見届けたウッラとパウラは、「何を言ってる」とばかりに辛辣しんらつな言葉を戻す。


「ずるい男? ふん! ディーノ、ど下手な嘘だな」

「うふふ、そうそう! 真赤な嘘ね!」


「……………」


「どうせ、戦友に突っ込まれたんだろう」

「ええ、ファイちゃん達から、ぶうぶう文句を言われたのね。たまには俺達にも戦わせろって」


「……………」


「ははは! 図星のようだな」

「戦友に戦わせ、欲求不満を解消させ、その上、自分が戦いやすいよう、相手の動きを観察して見切る。……ほんと策士ね、ディーノ君」


「……………」


「何とか言え、ディーノ、お前は勝利の為に手段を選ばん奴だ」

「沈黙は肯定こうていあかしでしょ?」


 容赦なく責め続けるウッラとパウラだが、顔は笑っている。

 つまりディーノをいじっている。

 

 そして、戦友達の不満を自分達の本音に置き換えていた。

 体力、魔力を、吸血鬼戦まで温存するという理屈は分かっていながら……

 双子姉妹も、たまには戦いたいのだ。


 全てを見抜いたディーノは苦笑し、とうとう言葉を発した。

 

「ノーコメントっす。……という事で、新たな敵が出現したようです。ご期待に沿うよう行って来ますよ」


 ディーノの言う通り、敵の気配が伝わって来る。

 現れたのは3体。

 ……キメラどもの新手だ。


 ディーノが感じた敵襲を、ウッラも感じ取っている。


「お、ディーノ、今度はいよいよ出撃か」

「ふふ、キメラの力を完全に見極めたってわけね」


「ふう」


 にやにやする双子姉妹の声を受け、ディーノは軽く息を吐いた。

 続けて、出撃の声を発する。


「いっきま~す!」


 小さく頷いたディーノは、迷宮の床を蹴り、駆け出していたのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 ウッラ、パウラの言う通りであった。

 ファイ達戦友の戦いで、キメラの動き、速度、癖を、ディーノは完全に見切っていた。


 ディーノはキメラが吐き散らすオレンジの炎を軽々かわすと、即座に攻撃へ転じる。


 まずは風の魔法剣を放ち、そして剣の斬撃、最後には拳をキメラの顔面へぶち込んだ。


 身体を刻まれ、斬られ、顔面が陥没……

 キメラ3体は呆気なく斃れ、すかさずディーノは風の魔法剣で死骸を粉々に砕き、最後は火の魔法剣で塵にした。


 脳筋トリオを倒したより、遥かに鮮やかな手際である。

 積み重ねて行く戦いの経験値が、ディーノを更に凄まじい強さへと押し進めていた。


「うむ!」

「やるぅ!」


 ウッラとパウラは頼もしそうに、ディーノの戦いを見届けた。


 不思議な感情がウッラとパウラに生まれていた。

 ……これまで姉妹ふたりきりで生きて来た。


 他人を信用せず、クランを組んだ事など無い。

 当然、リーダーを据え、指示を仰いだことも無い。


 信頼し、尊敬出来て、好ましく思える他人など皆無だったからだ。


 ひょんな事でディーノと出会った。

 自分達をしつこくナンパした冒険者と話していたディーノを見て……

 どうせ同じ穴のむじなだと思い、とがめたのだ。


 しかしディーノは、そんな軽い男ではなかった。


 ディーノはまだ若い。

 若干15歳の少年である。

 自分達より冒険者としての経験も全然浅い。


 だが強い。

 底知れぬ強さだ。

 人間離れした身の動き、剣技、格闘、そして魔法……

 全てにおいて秀でている。


 落ち着き払い、強敵が現れても簡単に動じない。

 本当に頼もしい!


 それなのに、ディーノはおごらず偉ぶらない。

 誠実で、ひどく優しい。

 細かく気遣いもしてくれる。


 だから、一緒に居て……温かい……心地良い。

 甘えたくなる。

 戦いに明け暮れた殺伐とした心を……癒して欲しくなる……


 ディーノはまるで……伝説の若き勇者……

 

 けして他人を認めなかった美しき双子姉妹は……

 初めて信じ、尊敬出来る仲間、否、素晴らしいリーダーを得たのであった。

いつもご愛読頂きありがとうございます。


※当作品は皆様のご愛読と応援をモチベーションとして執筆しております。

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