第265話「ポジションすり合わせ」
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ウッラとパウラに先導され、ディーノはフォルミーカにおけるねぐらとなる宿、
『探求亭』へ到着した。
探求……
つまりフォルミーカの『顔』といえる迷宮を探索し、レアなお宝を求める冒険者から命名したベタな名前なのだが……
上級ランカーのウッラとパウラが定宿にしているだけあって、
フォルミーカでは到ってまともな宿である。
そして、「女性客が多い」という傾向もあった。
この探求亭は3階建てだ。
1階が受け付けカウンターにロビー、食堂もある。
2階と3階が宿泊用の客室となっていた。
ディーノはフォルミーカが初めてだ。
探求亭へ泊まるのも当然初めてである。
勝手が全く分からないので、ディーノはウッラ達の指示に従う。
パウラが主にやりとりしたが……
ウッラとパウラはふたりでひと部屋、ディーノはひとりでひと部屋だ。
ひとりひと部屋1泊で銀貨5枚だという。
食事が朝の1食だけ付く。
部屋には魔力でお湯が出る洗面台と風呂が付いていた。
セントヘレナ、ロフスキなど王都で泊まるよりは安い。
だが、これまで泊まった各村の倍近い宿泊料である。
長期割引もあり、7日で銀貨30枚相当の金貨3枚。
14日ならば金貨5枚。
これらを一括で前払いすれば若干は安くなる。
ディーノは14日泊まると探求亭の主人へ告げ、金貨5枚を出した。
更にジャンが一緒なので、金貨1枚を余分に、都合6枚払った。
前払いで笑みを浮かべる宿の主人の機嫌が一層良くなった。
ディーノが宿泊の手続きを終えると、ウッラとパウラが話しかけて来る。
「おい! 後でお前の部屋へ行く」
「ディーノ君、今後の打合せをしよう」
「了解っす!」
いくら宿の部屋とはいえ……
女子の泊まる部屋に、知り合って間もない男子を入れるのは嫌なのだろう。
ウッラとパウラは魅力的な女子ではある。
だが、押しかけで無理やり闖入して来た上……
単なる冒険者仲間としてしか見ていないディーノは、
彼女達のプライベートに興味はない。
元々、ひとりで旅をしたかったから尚更である。
まあ、あちらも同じであろうが。
ウッラとパウラの部屋は3階、ディーノは2階となった。
ジャンを連れ、部屋へ入ったディーノはようやくひと息ついたのであった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ディーノは荷物を手早く片付け、さくっと風呂に入って、汗を流した。
愛用の剣、鎧の清掃、手入れをし終わった時、部屋の扉がノックされた。
チェックインして1時間も経っていないが……
約束通り、ウッラとパウラが打合せの為、訪れたのであろう。
しかしこの世界では、宿でも強盗などのリスクは常にある。
ディーノが改めて波動を探れば、来たのは間違いなくウッラとパウラである。
「ウッラさんにパウラさん?」
「そうだ! さっさと開けろ!」
「打合せに来たわ」
ディーノが扉を開けると、相変わらずしかめっ面のウッラ。
そしてパウラの姿があった。
部屋へ入ったウッラが鼻を「ひくひく」させる。
「ふん! 石鹸の香りだ。風呂へ入ったのか?」
すかさずパウラが笑顔でフォロー。
「うん! 良い事ね。清潔なのは、女子の得点が高いわよ」
「成る程、清潔なのは女子に好かれる……勉強になります」
こんな時は殊勝に答えるのが賢明である。
自慢するのはデメリットしかない。
ウッラとパウラに長椅子を勧め、ベッドに座ったディーノ。
3人は早速、打合せを始める。
通常は相手の能力、ポジションを考慮してクランを組む。
基本、不足しているポジションを補う人材を迎え入れるのが一般的である。
先述したが、武道をたしなむ者は手の内を簡単にはさらさない。
冒険者もほぼ同じである。
助け合い、依頼を完遂する為、担える能力をある程度明かす。
だが、奥の手までは仲間にも告げない。
ディーノがまず、カミングアウトする。
当然いくつかある奥の手は明かさない。
「では改めまして! 俺ディーノは魔法剣士です。風と火の魔法剣を使います。後は召喚魔法をそこそこです。それと、回復魔法は使えません。基本的には攻撃役だと認識してください」
ディーノの物言いに反応したのは姉ウッラである。
「おい、ディーノ! まだまだ隠してる能力があるだろ! 全部吐け!」
結構な剣幕で迫るウッラ。
しかしディーノは全く動じない。
「良いですよ。その代わり、ウッラさんも持てる力を全部教えてください。それならば答えるのを検討します」
「むうう~」
ディーノが切り返すと、姉のウッラは唸り、言葉を戻さない。
ここで、はい!と 妹のパウラが手を挙げる。
「あは、完全にディーノ君の勝ちね。じゃあ私も、自己紹介行くわ」
「はい、パウラさん、お願いします」
「私パウラも、ディーノ君と同じく魔法剣士。但し属性を剣へ付呪させた魔法剣は使えない。剣技と体術で戦うの。魔法は回復魔法と葬送魔法を少々たしなむわ」
「成る程、攻撃役兼回復役ですね」
「その通り!」
パウラが頷くと、今度はウッラが身を乗り出す。
「よし、最後は私ウッラだ。基本は剣技と体術で戦う戦士でお前と同じ攻撃役だ。但し、シーフの技法を習得していて、索敵の魔法を使う。敵の察知、罠の探知、解除は私が担う。宝箱の開錠は任せてくれ」
「了解です。おふたりとも凄いです。ちなみに矢面に立つ盾役は俺に任せてください。こう見えても頑丈さには自信があります」
「うむ、頼むぞ」
「期待してる!」
「じゃあ、そういう事で。明日の午前中、冒険者ギルドへ行きましょう。ギルドマスターに会ってから、段取りを組んで、早速迷宮へ入ろうと思いますから」
ディーノがフォルミーカのギルドマスターへ会うと聞き……
何故か、ウッラとパウラは顔を見合わせ苦笑した。
ふと、ディーノはロフスキを出発する際に告げられた、
ギルドマスター、ラディムの言葉を思い出す。
『幸いフォルミーカのギルドマスターとも俺は顔馴染。だから、紹介状を書いておこう。はっきり言って相当な変人だが、ランクAの登録証を見せれば、万事OKだと思うよ』
「あのぉ……」
「何だ、ディーノ」
「何か、聞きたい事があるの?」
「ええ、ロスフキのギルドマスターから、紹介状を預かりました。彼から、ここフォルミーカのマスターはキャラが立った人みたいな事を言われましたが」
「キャラが立つか……ああ、確かにあいつは変わった奴だ」
「ズバリ変人ね。そして、ちゃっかりしているから、便利屋みたいに使われないよう、気を付けないとダメ」
「成る程……」
ウッラとパウラもラディムと同じ見解だった。
短く言葉を返したディーノも、微妙な顔付きで頷いたのである。
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『辺境へ追放された勇者は、銀髪美少女と新たな国を創る。気が付いたら魔王と呼ばれていた?』
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