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第253話「1対1」

「ええ、今夜ここでディーノ君と会ったのも何かの縁。もう一度、言う。3人で組み、ファイアドレイク討伐へ挑んでみない?」


 そんなパウラの申し出を断り、宿泊する部屋へ帰った後……

 ディーノはケルベロス、オルトロスを召喚、ジャンを加えた3人へ、

 ファイアドレイク討伐へ単独で挑む事を告げた。


 たったひとりで挑むなど危険すぎる!

 当然ながら3人は猛反対する。

 

 だが、ディーノは頑として意志を曲げなかった。

 自分の力がどこまでのものか試してみたい、

 ファイアドレイク討伐を物差しに、限界へ挑戦したいと切に願ったのだ。


 仕方なく3人は、付近で見守る事で妥協する。

 この条件だけは、ディーノもOKせざるを得なかった。


 そんなこんなで……

 きっぱり言って、さっぱりしたのか、ディーノはその夜ぐっすり眠れた。


 ……たっぷりと睡眠をとって翌朝6時、ディーノは起床する。

 今日は朝一番で出撃し、ファイアドレイク討伐に挑むのだ。


 目覚めも良く、ディーノは冷たい水で顔を洗った。

 気合が心と身体にみなぎって来る。


 朝7時、朝食を摂ると……

 ヨハンナへ討伐へ行くと断り、ジャンを連れ、狐亭を出た。

 心配するヨハンナからは、絶対無理しないでと念押しされた。

 ちなみにケルベロスとオルトロスは一旦異界へ還してある。

 目標地点の手前で、召喚するつもりだ。


 さてさて!

 その目標地点、ファイアドレイクが出没する場所は、アラウダ村から徒歩で3時間余、約15㎞も離れた場所である。

 ギルドのロフスキ支部で貰った地図に印がついていた。


 馬車で移動なら楽なのだが、ディーノは敢えて使わなかった。

 万が一の際、馬が巻き込まれたら可哀そうだし、下手をすると足手まといにもなりうるからだ。


 街道をそれ、森の中を足取り軽く歩くディーノはすぐ気付いた。


 少し離れた場所に……

 身を隠したウッラとパウラの双子が後をつけて来るのだ。

 単身で挑むディーノへ対する興味本位、そしてファイアドレイク討伐の顛末を見届けたいに違いない。


 苦笑したディーノは気付かないふりをして、いきなりダッシュ。

 ウッラとパウラを引き離しにかかった。

 ふたりは必死に追いかけて来るが、到底ディーノに敵うはずがない。


 頃合いを見て、ディーノは転移魔法でジャンともに跳んだのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 ファイアドレイクの出没する場所は、森がとぎれた荒野である。


 この荒野は一種の砂漠といえよう。

 南方の砂漠のように砂はあまりない。

 だが、植物は殆どなく、巨大な岩だらけの荒涼とした風景である。


 ディーノが見渡しても、動くモノは見当たらない。

 ファイアドレイクが猛炎を吐き散らすので、魔物や動物もほぼ近付かないと聞いている。


 この出没地点――砂漠の少し手前へ、ディーノは転移魔法で跳んでいた。

 

 さすがにウッラとパウラはまだ現れない。

 彼女達が追いつくのにもうしばし、時間を要するだろう。

 この間にと、ディーノはケルベロスとオルトロスを召喚した。


 現れた『犬兄弟』はジャンとともに再度、クラン戦闘の『提案&説得』をして来るが、単独戦を希望するディーノの決意はゆるがない。


 「命は絶対大切にする」という約束を強制し、3人の戦友は離れて行った。


 やがて……

 ウッラとパウラが現れる。

 何故、ディーノが自分達を差し置き、このように早く『現場』に着いたのか、不可解だという波動が伝わって来る。


 やはりというか……

 岩陰に隠れ、すぐ逃げられるような態勢で、ディーノの様子を「じっと」うかがっていた。


 逆にディーノは考える。

 ウッラ、パウラは走って来た。

 しかしここまでの所要時間を考えると、常人の1/3程度しか、かかっていなかった。

 やはり、ふたりは『ただ者』ではない。


 ディーノは息を軽く吐き、改めて歩き出す。


 先ほどから感じている異様な『重圧プレッシャー』が、徐々に強くなって来る。

 ディーノの目の前に大きな岩山がそびえていた。

 そう、あの大きな岩山を超えた向こうに、目標のファイアドレイクが居るのだ。


 ディーノは慎重に進んだ。


 ウッラとパウラは後方100mと少し離れた場所からついて来る。

 ジャンから聞いたファイアドレイクの必殺技、《炎の嵐》の範囲外の距離を保っている。

 既に彼女達は『洗礼』を受けているに違いない。


 《炎の嵐》の発動に入る動作の特徴、所要時間だけでも、

 ウッラ達へ聞いておけば良かったのかとディーノは思う。

 

 だが、思うだけで後悔しているわけではなかった。


 そうこうしているうちに、ファイアドレイクの巨体が目に飛びこんで来る。

 とても大きい。

 やはり体長は30m近くありそうだ。

 

 まだ300mは離れているが、どうやらディーノを認識したようである。


 がはああああああああああああああああああああああああああっっ~~~!!!


 こちらを向き、ディーノを一瞥したらしいファイアドレイクは、

 凄まじい声で咆哮した。


 さあ、いよいよ決戦だ。

 油断大敵、ヒットアンドアウェイ。

 ディーノの戦法は基本変わらない。

 強敵ならば尚更だ。


 おもむろに、ディーノは剣を抜き放つ。

 至宝オリハルコンと融合した無敵の剣ディーノの剣が、

 陽の光を浴び、きらりと輝いた。


 瞬間!


 どん! という擬音が聞こえるが如く、ディーノは大地を蹴っていたのである。

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