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第248話「一生の付き合い」

 夢魔法で、セントヘレナの少女ニーナと話してから2週間後……

 ディーノはロドニア王国王都ロフスキを出発した。


 各所へはちゃんと連絡をした。

 特にセントヘレナの女子達とは『夢魔法』を使い、しっかりと話し合った。

 

 ニーナの言う通りであった。

 楓村の村娘エミリーは「大好きなふるさとから離れてもエモシオンへ行く覚悟をした!」

 と言い切った。


 クラン鋼鉄の処女団(アイアンメイデン)の女子達も同様であった。

 

 シーフのマドレーヌは「一生ついて行く」、元聖女のジョルジエットも「年下が大好きだ!」と言い切り、魔法使いのタバサは相変わらず、「永遠にご馳走して!」と笑顔で返して来た。


 彼女達は全員が偽らず、本気でディーノへの気持ちを告げたに違いない。


 だがもしも……

 彼女達に、他に好きな相手が出来ても仕方がないと、ディーノは考えていた。

 本当に女子達が大事なら、すぐに彼女達の下へ迎えに行くべきなのだから。


 しかしディーノは自分の使命を果たす事を……

 否、可能性に挑む事を選択した。

 そんなわがままな自分に、素敵な女子達を縛る資格などない。


 それはエレオノーラとシグネ、そしてステファニーに対しても同じである。


 さてさて!

 数日前に、ガイダル邸では壮行会が催された。

 その席で何と、シグネは堂々とディーノへキスをおねだりした。


 グレーヴは苦笑、エレオノーラも複雑な顔、使用人達の驚きの視線の中で、

 ディーノとシグネは熱くキスを交わした。


「うふふ、ディーノちゃんは、シグネの《想い人》だから!」


 キスの後、そう言い切って、シグネは晴れやかに笑った。

 その直後、対抗するかのようにエレオノーラがキスを求め、ディーノが応えたのは自然の成り行きであった。


「ははははは、衆人環視の中、完全に既成事実が出来ちまったな」


 暗に、無事で帰って来い!

 というような、グレーヴのエールも、ディーノの心にしっかり刻まれていた。


 ……出発の際は、全員でガイダル邸の正門から送ってくれた。

 ロフスキの正門では「別れ難くなる」という、グレーヴの判断である。


「行って来ます!」


 ディーノはたったひと言叫び、手を大きく打ち振った。

 そして改めてレンタルした荷馬車の馬に合図をし、走り出す。

 荷台には戦友の妖精猫ファザーガット、ジャンの姿もある。

 ちなみにケルベロスとオルトロスの兄弟は異界へ還してあった。


 遠ざかるディーノの背には、『父』グレーヴ、

『想い人』エレオノーラとシグネ、そしてすっかり親しくなった大勢のロドニア若手騎士達、ガイダル邸の使用人達も、別れを惜しみ、

大きな声で名を呼び、送り出してくれたのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 しばらく走り、ロフスキの正門を出ると……

 ディーノは再び旅に出たという実感が湧いた。


 ヴィオラ村、リーリウム村への旅とも趣きが違う。

 ヴァレンタイン王国王都セントヘレナを出たのと同じ感覚である。


 早速ジャンが話しかけて来た。

 無論、念話だ。

 ディーノとは、ひさしぶりにゆっくり話せるとあって、いろいろ尋ねて来る。


 ジャンが最も驚いているのは、やはりステファニーの大変貌である。

 そして、地界王アマイモンの愛娘ヴィヴィの仕切りにも。


『ディーノ』


『何だ?』


『ホントびっくりしたぜ、あのメスライオンの変わりようには、素敵な女子になっちまった』


 対して、ディーノは苦笑するしかない。


『はは、俺もびっくりしたよ』


『さすがヴィヴィ様にゃ。凄腕猛獣使いと呼んでも良いんじゃにゃいか。それと、まさか、ステファニーとエレオノーラを直接会わせるとは思わなかったにゃ! でも万事が上手く行ったにゃ!』


『だな!』 


『にゃがよ、ディーノ。9割がたというか、お前の行く末はほぼ見えたよ、俺様にはにゃ』


『何だよ、俺の未来がどう見えたんだよ』


『決まってるじゃにゃ~か! お前はあのふたり&数多の女子と結婚し、一種の別居婚になるにゃ』


『一種の別居婚? 何それ?』


『何だ、知らね~のかにゃ。別居婚というのは、結婚しているのに同居していない結婚スタイルの事にゃぞ』


『まあ、それは何となく分かってた。俺の身体はたったひとつだ。さすがに、エモシオンとロフスキ同時には住めない』


『でもお前は、ヴィヴィ様の加護を受け、転移魔法を習得してるにゃ。だから魔法でエモシオンとロフスキを自由自在に行き来する事になるにゃ』


『う~ん。このままで行けば、そういう事になるだろうなぁ……思ってもみなかったけど』


『うひひ、もろ、素晴らしきダブルハーレムじゃにゃいか! 全員すっごく良い女揃いだにゃ、この幸せもん! 俺様と同じにゃぞ』


『おいおい、ジャンと同じなのか?』


『ああ、普通の猫は多夫多妻制にゃ。にゃけど俺様ファザーガット、ジャンは一夫多妻にゃ! 嫁が数百居るにゃ!』


『数百!? すげ~な!』


『歴代のファザーガットに比べれば少ない方にゃ。数千なんてのも居たからにゃ』 


『うっわ! 想像もつかん。俺には到底無理だ』


『まあ、ディーノの女難も解消して、決着がついたし、万々歳にゃ!』


『ああ、ハーレム云々は置いといて、俺が今、幸せなのは否定しない。全員素敵だし、大好きな女子達だもの』


『はははは、のろけやがって! どちらにしてもお前には帰るところがあるにゃ! 後は思う存分、自分の可能性を試すだけにゃ!』


『だな!』


『俺様と犬兄弟は、お前が幸せな人生を全う出来るよう、死ぬまで全面協力するまでにゃ』


『おお、死ぬまでって、じゃあ一生の付き合いって事か。改めて宜しくな!』


『今更にゃ! 水臭い事を言うもんじゃないにゃ! 女子達じゃないが、お前には、とことん付き合う。犬兄弟も多分、いや絶対に同じ気持ちだにゃ!』


『ありがとうジャン!』


『へへ、任せろにゃ!』


 ディーノは自分の心に結ばれた数多の深い絆を感じる。

 その絆が、ディーノの心身をますます強くしていく事に、

 彼はまだ気づいてはいなかったのである。

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