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第240話「ステファニーとエレオノーラ①」

☆10月17日土曜日に、

スクウェア・エニックス様の刊行雑誌

月刊「Gファンタジー」11月号が発売されました!

『魔法女子学園の助っ人教師』コミカライズ版最新話が掲載されております。

ぜひ読んでみてください。

巻末目次ページには、東導のコメントもありますので何卒宜しくお願い致します。


東導 号 書籍化作品⛤『魔法女子学園の助っ人教師』

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 ここはロドニア王国王都ロフスキのガイダル邸エレオノーラの私室である。

 シグネを同席させ、ディーノと話していたエレオノーラであったが……


 何と!

 いきなりヴィヴィとステファニーが一緒に現れた。


 ヴィヴィは笑顔で、自分とステファニーを紹介をする。


「はじめまして、エレオノーラちゃん、シグネちゃん、ヴィヴィでっす。こちらはステファニーちゃんよ」


「……初めまして、エレオノーラ様、シグネ様。ヴァレンタイン王国クロード・オベール辺境伯の一子ステファニー・オベールと申します。ディーノ・ジェラルディの旧主です」


 部屋に満ちたヴィヴィの巨大な魔力。


 そして一瞬の沈黙。


 しかし、その沈黙はすぐに破られた。


「わあああああああっ!」

「うわああああああっ!」


 突如現れた不可思議且つ可憐な少女、

 野性味あふれた、自分と同じくらいの年齢と思われる美しい少女……


 ふたりは名乗った。

 しかし、混乱したエレオノーラとシグネが、

 落ち着いて受け止められるわけがない。


 一体、このふたりは誰!? そもそもどうやって入って来た!!


 驚愕し、絶叫するエレオノーラとシグネ。

 ヴィヴィはにやっと笑い、「ぱちん」と指を鳴らした。


「沈黙!」


 エレオノーラとシグネから言葉が、声が失われた。

 「ぱくぱく」と虚しく口を動かすのみだ。


「ど、ど、どうしました? エレオノーラお嬢様!」


 と、ここで扉の向こうから、侍女頭が声をかけて来た。

 エレオノーラ達の絶叫を聞き、驚いてすっ飛んで来たらしい。


「いや、問題ない。少し気合を入れたくて、大声を出しただけだ」


「そ、そうですか? だ、大丈夫ですか?」


「ああ、全く大丈夫だ。しばらく放っておいてくれ。他の使用人にもそう伝えてくれないか」


「わ、分かりました、お嬢様」


「うむ! 宜しい」


 何と、応えたのはヴィヴィであった。

 エレオノーラそっくりの声色を擬態、落ち着いた声で、

 「しれっ」と言葉を返したのである。


 そして笑顔のまま、再び「ぱちん」と指を鳴らす。


「防音! これで会話は外に漏れない! よっし、沈黙解除!」


 またも指が鳴らされ、ようやくエレオノーラとシグネの口に声と言葉が戻って来た。

 強張っていた身体も柔らかくなった。

 ふたりは立ち上がり、走り寄って、ヴィヴィとステファニーへ迫った。


「お、お、お前達はぁ! だ、だ、だ、誰だぁ~~っ!!」

「ななな、何者でっすかぁ~~!!」


 しかし、ヴィヴィは全く動じない。

 ステファニーも、無言で微笑んでいる。

 

「うふふ、その様子だと、簡単な自己紹介だけじゃ無理ね。ほいダーリン、補足説明してくれるぅ」


 ディーノはいきなりヴィヴィ達が出現したショックは既に抜けていた。

 先ほど聞いたエレオノーラの決意に既視感デジャヴュを覚えていた。


 そしてヴィヴィがステファニーを連れ、現れたという事は……

 考えていて、答えが出た。


 なので落ち着きを取り戻している。


「はあ……ヴィヴィ様、了解です」


 ディーノは頷き、エレオノーラとシグネとシグネへ向き直る。


「エレオノーラ、シグネさん。ふたりとも、落ち着いて聞いてください。深呼吸でもして」


「ぬうう~」

「ふうう~」


 深呼吸をし、エレオノーラとシグネが落ち着くのを待ち、

 ディーノはまずヴィヴィを紹介する。


「この方は、ヴィヴィ様です」


「ヴィヴィ?」

「ヴィヴィ様?」


「ええ、ヴィヴィ様は人間ではなく精霊です。転移魔法でこの部屋へ来たのです」


「せ、精霊ぇ!?」

「て、て、転移!? 魔法!?」


「はい、ヴィヴィ様は高貴なる地界王アマイモン様のご息女です。つまり地の最上級精霊なのです」


「ち、地の!?」

「さ、最上級!?」


 ディーノがきちんと『最上級』と告げた事で、

 ヴィヴィは満足そうに「うんうん」と笑顔で頷いていた。

 

 苦笑したディーノは次にステファニーを紹介する。


「はい、そしてもうひとりは人間族で、以前俺が仕えていたヴァレンタイン王国貴族オベール家のご令嬢でステファニー様です」


 昔の癖が出た。

 ディーノは、ついステファニーへ尊称を付け、呼んでしまった。


 当然、ステファニーからは教育的指導が発せられる。


「こら、ディーノ、様は不要よ」


「はい、ステファニー」


「じゃ、じゃあ! 貴女が! ディーノが以前仕えていたヴァレンタイン貴族家の!」


「はい、先ほどからディーノの旧主だと申し上げております。貴女がご存じかどうか、知りませんが、私ステファニーは12歳で初めて出会った時からディーノが好きでした」


「な、何! 貴女は出会った時から、ディーノが!?」


「はい!」


 12歳で初めて出会った時からディーノが好き。

 ……いきなりのカミングアウト。

 それも、ひとめぼれとは、何というロマンティックなお話。


 しかし出会った時、貴族令嬢のステファニーは

 平民のディーノを完全に無視していたはず。

 

 これはフェイクニュースでは?


「いや、ステファニー。それは、違うんじゃ……あの時は、視線も合わさず、完全に無視していたと思うけど」


 ディーノがストップをかけようとしたが……

 無駄だった。


「シャラップ! 私はディーノとの出会いに運命を感じました。そして、彼とお互いに心身を鍛えました。ディーノの基礎を作ったのは私です」


「な!? ディーノの基礎を作ったのが?」


「はい、ディーノを一人前の男子にしたのは、私ステファニーだと断言します! そして見込んだ通り、ディーノは覚醒し、今や素晴らしい存在となりました。私は将来ディーノと結婚する為、私自身が女性辺境伯としてオベール家当主を継ぐべく、日々、修業中なのです」


「うぬぬぬぬ……わ、私だって! は、初めて出会った時に! う、運命を感じたのだぞっ!」


 自分と同じくディーノとの結婚を希望する異国の貴族令嬢。

 しかも女性当主を目指すのも全く同じ。


 いきなり強力なライバルが現れ、立て板に水の通告。

 完全にステファニーのペースである。

 

 防戦一方のエレオノーラに対し、ヴィヴィの高笑いが響く。


「あはははははは! エレオノーラちゃん、分かったぁ? ステファニーちゃんと貴女は全く同じ立ち位置なの。ライバルとして燃えるでしょ?」 


「う~……同じ立ち位置! 彼女が! わ、私のラ、ライバルだとぉ!!」


「ですね! エレオノーラ様とディーノの出会いから今迄の経緯は、ヴィヴィ様から全てお聞きし、存じ上げております。貴女とは、今後とも良きライバルとして、切磋琢磨して行きたいと考えております。どうぞお手柔らかにお願い致します」


「う~!」 


 「ばちばち」とぶつかり合う、ステファニーとエレオノーラの視線。

 苦笑するシグネ。

 ため息をつくディーノ。

 

 ただひとりご機嫌なヴィヴィは、

 「もう最高!」という満面の笑みを浮かべ、Vサインをしていたのである。

いつもご愛読頂きありがとうございます。


※当作品は皆様のご愛読と応援をモチベーションとして執筆しております。

宜しければ、下方にあるブックマーク及び、

☆☆☆☆☆による応援をお願い致します。


東導号の各作品を宜しくお願い致します。

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も宜しくお願い致します。

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