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第237話「魔法の言葉」

☆10月17日土曜日に、

スクウェア・エニックス様の刊行雑誌

月刊「Gファンタジー」11月号が発売されました!

『魔法女子学園の助っ人教師』コミカライズ版最新話が掲載されております。

ぜひ読んでみてください。

巻末目次ページには、東導のコメントもありますので何卒宜しくお願い致します。


東導 号 書籍化作品⛤『魔法女子学園の助っ人教師』

◎小説版《ホビージャパン様HJノベルス刊》

第1巻~7巻大好評発売中。


◎コミカライズ版《藤本桜先生作画》

スクウェア・エニックス様の雑誌月刊「Gファンタジー」に大好評連載中!

Gファンタジーコミックス

第1巻~3巻大好評発売中!

※第1巻、第3巻は『重版』


☆書籍小説版、コミカライズ版ともども、書店様、通販サイト様でぜひお取り寄せください。

 ディーノがオークカーネル以下、オークどもを全て討伐した夜……

 ヒルデガルドの伯父、リーリウム村長カスパルの主催で祝勝の宴が開かれた。


 村の中央広場には、たくさんの作業台が出され、様々な料理が供された。

 趣味の域で組んだという村の私設楽団も出張り、

 郷土色豊かな音楽がにぎやかに流された。


 赤々と燃やされたかがり火を中心に、村民達は飲み食べ、にぎやかに喋り、そして楽し気に踊った。


 そんな喧噪の中にディーノ達も居た。


 宴が開始された直後、カスパルの挨拶に続き、ディーノが短く挨拶をすると、

 改めて村民は大いに盛り上がった。


 祝いの宴とはいえ、油断せず、今夜も夜回りをする自警団のメンバーから、   ディーノが単身古城へ突っ込み、無双してオークどもを倒した事が伝えられていたからだ。


 ディーノ達は数多の村民から握手を求められ、礼を告げられた。

 ヴィオラ村においてもそうであったが……

 グレーヴはともかく、エレオノーラとシグネは改めて平和の来訪を実感していた。


 なんやかんやで、村民達のアプローチがようやくひと段落すると……

 頃合いを見ていたかのように、ヒルデガルドが歩み寄って来た。

 

 当然笑顔で、その上昼間行った『女子会』の効果なのか、

 エレオノーラとシグネに対しても気安くなっている。


「おい、エレオノーラ、シグネ。ちょっとディーノを借りるぞ」


「うむ、ヒルデガルド。今のうちにディーノへ愛を告白しておけ」

「そうそう!」


 シグネはともかく、これまでのエレオノーラからすれば、信じられないセリフである。

 『女子会』で、一体何があったのかと、ディーノは思う。


「ふっ」


 一方、軽く笑ったヒルデガルドは手を伸ばすと、ディーノの腕をつかんだ。

「ぐいぐい」と広場の片隅、ひと気のない場所へと連れて行く。


 そしてディーノに先に地面へ座るように言い、自分も隣に腰を下ろした。


「ディーノ」


「おう!」


「お前と改めてゆっくり話したいと思ってな」


「そうか」


「エレオノーラとシグネから、いろいろと話は聞いた。お前の生い立ち、そして今まで何をして来たかと……」


 やはりシグネの言葉通り、ディーノの話がネタにされていた。

 こんな時、ディーノの返す言葉は決まっている。


「ああ、こつこつとやって来たよ」


「こつこつとか……戦いを見て感じたが、認識したよ。お前は凄い! 本当に凄い奴だと!」


「そうか」


「はは、お前の物言いは相変わらずあっさりしている。今まで来た冒険者の奴らなら、手柄を大々的に自慢して、挙句の果てに俺を口説いていた」


「ふっ、そうだろうな。お前は素敵な女子だもの」


 ディーノがそう言うと、ヒルデガルドは、はにかんだ。


「ふふ、お前はそう言うが、エレオノーラとシグネは同性の俺から見ても凄く綺麗だ。さすが洗練された王都の女子だ。ふたりは敢えて言わないが、多分貴族の娘だろう」


「……………」


「片や俺は地味な村娘。お前より4つも年上の19歳。がさつで乱暴だし、魅力なんかありゃしない」


 ヒルデガルドは自分を誇らない。

 激しい気性だが、自分を偽らない。

 まっすぐな性格、美貌、スタイル、そして芯の強さ。

 自分の価値を分かっていない。

 だが、ディーノは却って好ましいと思う。


「そんな事ない。何度も言わせるなよ、ヒルデガルドは本当に素敵な女子さ、大丈夫、自信を持て」


「大丈夫、自信を持て……か。お前がかけてくれたその言葉が、俺の心を癒し、身体に力をみなぎらせる。凄い魔法の言葉だ」


 ヒルデガルドの言葉を聞き、ディーノも実感する。

 

 ……自分に対し、自信が全く無かった。

 己が無力な存在だと、信じ込んでいたディーノを、 

 魔法の言葉を告げ、何人もの人が励まし、後押ししてくれた。


「ヒルデガルド……俺もいろいろな人から何度も言われたよ。お前なら大丈夫、自信を持てって」


「そうか! 俺はな、お前が単身城へ乗り込む姿を! そしてくれたこの大切な言葉を! 一生忘れない! 絶対に忘れない!!」


 ヒルデガルドは叫ぶように誓うと、身を寄せ、ディーノの唇にキスをした。


 そして、びっくりしたディーノを見て、照れたように笑った。


「ム、ムードも何もないが……俺の初めてだ。貰ってくれ」


 勇気を振り絞り、自らアプローチしたヒルデガルドのファーストキス。

 ディーノは彼女のいじらしさに心が温かくなる。


「ありがとう。俺も一生忘れないよ、お前の事は」


「ふふ、ありがとう。お前はまた旅に出るのだろう?」


「ああ、多分な」


「俺には分かる。この世界には俺みたいな奴がいっぱい居る。難儀し、助けを求め手を伸ばしている奴がたくさん居るんだ」


 今まで出会った者同様、ヒルデガルドも同じ事を告げて来る。

 だがディーノは、無言で応えるしかない。


「……………」


「本当は俺もお前と一緒に旅立ちたい。多くの人々を助けたい!」


「……………」


「だが無理だ。……俺はやはり故郷から離れられない。このリーリウム村を守るのが俺の使命なのだ」


 ヒルデガルドは、やはりまっすぐ、そして真摯だ。


 ディーノの生き様を見て、感じ、人を助ける使命感にかられたに違いない。

 

 しかし、この村は最も大事なふるさと。

 村も、彼女を大いに必要としている。


「……………」


「俺はこのリーリウム村から、ディーノ、お前の無事を願ってる!」


「……ありがとう」


「ははははは! 俺は正直言ってお前と別れるのが寂しい! またいつか村へ来てくれ。気が向いたらで構わない!」


「分かった! また来る!」


「……その時、互いに独身だったら……結婚しよう!」


 何と!

 ヒルデガルドからのプロポーズ。

 エレオノーラとシグネが告げた「意味深コメント」はこれだったのだ。


 エレオノーラとシグネ、そしてステファニー、

 ……更にセントヘレナに在住する女子達の顔が浮かんだ。


 正直ディーノはヒルデガルドが嫌いではない。

 それにこの先、未来はどうなるのか、分からない。

 ここは、彼女の気持ちを害しない為にもOKした方が良さそうだ。


「分かった!」


「ディーノ! もうひとつお願いだ。俺の名を呼び、しっかり抱きしめ、キスしてくれ! そしてあの魔法の言葉を力強く、俺の心へ刻み直してくれ!」


 ヒルデガルドの……最後の願いだろう。

 ディーノも拒むつもりはない。


「ヒルデガルド! 大丈夫、自信を持て!」


「ディーノ! 俺もお前の心へ刻もう! お前なら大丈夫、自信を持て!」 


 ふたりは固く抱き合い、魔法の言葉を交わし、そして熱くキスをした。


 やがて……

 抱擁が解かれると、ヒルデガルドはダンスを誘って来る。


「ディーノ! 踊ろう!」


「俺、ダンス下手だぞ」


「大丈夫、自信を持て! お前なら、何でも出来る! 俺がリードしてやる!」


 ディーノとヒルデガルド。

 ふたりは勢い良く立ち上がると、村民達が躍る輪の中へ飛び来んで行った。

いつもご愛読頂きありがとうございます。


※当作品は皆様のご愛読と応援をモチベーションとして執筆しております。

宜しければ、下方にあるブックマーク及び、

☆☆☆☆☆による応援をお願い致します。


東導号の各作品を宜しくお願い致します。

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も宜しくお願い致します。

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