第237話「魔法の言葉」
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ディーノがオークカーネル以下、オークどもを全て討伐した夜……
ヒルデガルドの伯父、リーリウム村長カスパルの主催で祝勝の宴が開かれた。
村の中央広場には、たくさんの作業台が出され、様々な料理が供された。
趣味の域で組んだという村の私設楽団も出張り、
郷土色豊かな音楽がにぎやかに流された。
赤々と燃やされたかがり火を中心に、村民達は飲み食べ、にぎやかに喋り、そして楽し気に踊った。
そんな喧噪の中にディーノ達も居た。
宴が開始された直後、カスパルの挨拶に続き、ディーノが短く挨拶をすると、
改めて村民は大いに盛り上がった。
祝いの宴とはいえ、油断せず、今夜も夜回りをする自警団のメンバーから、 ディーノが単身古城へ突っ込み、無双してオークどもを倒した事が伝えられていたからだ。
ディーノ達は数多の村民から握手を求められ、礼を告げられた。
ヴィオラ村においてもそうであったが……
グレーヴはともかく、エレオノーラとシグネは改めて平和の来訪を実感していた。
なんやかんやで、村民達のアプローチがようやくひと段落すると……
頃合いを見ていたかのように、ヒルデガルドが歩み寄って来た。
当然笑顔で、その上昼間行った『女子会』の効果なのか、
エレオノーラとシグネに対しても気安くなっている。
「おい、エレオノーラ、シグネ。ちょっとディーノを借りるぞ」
「うむ、ヒルデガルド。今のうちにディーノへ愛を告白しておけ」
「そうそう!」
シグネはともかく、これまでのエレオノーラからすれば、信じられないセリフである。
『女子会』で、一体何があったのかと、ディーノは思う。
「ふっ」
一方、軽く笑ったヒルデガルドは手を伸ばすと、ディーノの腕をつかんだ。
「ぐいぐい」と広場の片隅、ひと気のない場所へと連れて行く。
そしてディーノに先に地面へ座るように言い、自分も隣に腰を下ろした。
「ディーノ」
「おう!」
「お前と改めてゆっくり話したいと思ってな」
「そうか」
「エレオノーラとシグネから、いろいろと話は聞いた。お前の生い立ち、そして今まで何をして来たかと……」
やはりシグネの言葉通り、ディーノの話がネタにされていた。
こんな時、ディーノの返す言葉は決まっている。
「ああ、こつこつとやって来たよ」
「こつこつとか……戦いを見て感じたが、認識したよ。お前は凄い! 本当に凄い奴だと!」
「そうか」
「はは、お前の物言いは相変わらずあっさりしている。今まで来た冒険者の奴らなら、手柄を大々的に自慢して、挙句の果てに俺を口説いていた」
「ふっ、そうだろうな。お前は素敵な女子だもの」
ディーノがそう言うと、ヒルデガルドは、はにかんだ。
「ふふ、お前はそう言うが、エレオノーラとシグネは同性の俺から見ても凄く綺麗だ。さすが洗練された王都の女子だ。ふたりは敢えて言わないが、多分貴族の娘だろう」
「……………」
「片や俺は地味な村娘。お前より4つも年上の19歳。がさつで乱暴だし、魅力なんかありゃしない」
ヒルデガルドは自分を誇らない。
激しい気性だが、自分を偽らない。
まっすぐな性格、美貌、スタイル、そして芯の強さ。
自分の価値を分かっていない。
だが、ディーノは却って好ましいと思う。
「そんな事ない。何度も言わせるなよ、ヒルデガルドは本当に素敵な女子さ、大丈夫、自信を持て」
「大丈夫、自信を持て……か。お前がかけてくれたその言葉が、俺の心を癒し、身体に力をみなぎらせる。凄い魔法の言葉だ」
ヒルデガルドの言葉を聞き、ディーノも実感する。
……自分に対し、自信が全く無かった。
己が無力な存在だと、信じ込んでいたディーノを、
魔法の言葉を告げ、何人もの人が励まし、後押ししてくれた。
「ヒルデガルド……俺もいろいろな人から何度も言われたよ。お前なら大丈夫、自信を持てって」
「そうか! 俺はな、お前が単身城へ乗り込む姿を! そしてくれたこの大切な言葉を! 一生忘れない! 絶対に忘れない!!」
ヒルデガルドは叫ぶように誓うと、身を寄せ、ディーノの唇にキスをした。
そして、びっくりしたディーノを見て、照れたように笑った。
「ム、ムードも何もないが……俺の初めてだ。貰ってくれ」
勇気を振り絞り、自らアプローチしたヒルデガルドのファーストキス。
ディーノは彼女のいじらしさに心が温かくなる。
「ありがとう。俺も一生忘れないよ、お前の事は」
「ふふ、ありがとう。お前はまた旅に出るのだろう?」
「ああ、多分な」
「俺には分かる。この世界には俺みたいな奴がいっぱい居る。難儀し、助けを求め手を伸ばしている奴がたくさん居るんだ」
今まで出会った者同様、ヒルデガルドも同じ事を告げて来る。
だがディーノは、無言で応えるしかない。
「……………」
「本当は俺もお前と一緒に旅立ちたい。多くの人々を助けたい!」
「……………」
「だが無理だ。……俺はやはり故郷から離れられない。このリーリウム村を守るのが俺の使命なのだ」
ヒルデガルドは、やはりまっすぐ、そして真摯だ。
ディーノの生き様を見て、感じ、人を助ける使命感にかられたに違いない。
しかし、この村は最も大事なふるさと。
村も、彼女を大いに必要としている。
「……………」
「俺はこのリーリウム村から、ディーノ、お前の無事を願ってる!」
「……ありがとう」
「ははははは! 俺は正直言ってお前と別れるのが寂しい! またいつか村へ来てくれ。気が向いたらで構わない!」
「分かった! また来る!」
「……その時、互いに独身だったら……結婚しよう!」
何と!
ヒルデガルドからのプロポーズ。
エレオノーラとシグネが告げた「意味深コメント」はこれだったのだ。
エレオノーラとシグネ、そしてステファニー、
……更にセントヘレナに在住する女子達の顔が浮かんだ。
正直ディーノはヒルデガルドが嫌いではない。
それにこの先、未来はどうなるのか、分からない。
ここは、彼女の気持ちを害しない為にもOKした方が良さそうだ。
「分かった!」
「ディーノ! もうひとつお願いだ。俺の名を呼び、しっかり抱きしめ、キスしてくれ! そしてあの魔法の言葉を力強く、俺の心へ刻み直してくれ!」
ヒルデガルドの……最後の願いだろう。
ディーノも拒むつもりはない。
「ヒルデガルド! 大丈夫、自信を持て!」
「ディーノ! 俺もお前の心へ刻もう! お前なら大丈夫、自信を持て!」
ふたりは固く抱き合い、魔法の言葉を交わし、そして熱くキスをした。
やがて……
抱擁が解かれると、ヒルデガルドはダンスを誘って来る。
「ディーノ! 踊ろう!」
「俺、ダンス下手だぞ」
「大丈夫、自信を持て! お前なら、何でも出来る! 俺がリードしてやる!」
ディーノとヒルデガルド。
ふたりは勢い良く立ち上がると、村民達が躍る輪の中へ飛び来んで行った。
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