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第233話「地獄へ行け!」

☆今週10月17日土曜日に、

スクウェア・エニックス様の刊行雑誌

月刊「Gファンタジー」11月号が発売されます!

『魔法女子学園の助っ人教師』コミカライズ版最新話が掲載されております。

ぜひ読んでみてください。

巻末目次ページには、東導のコメントもありますので何卒宜しくお願い致します。


東導 号 書籍化作品⛤『魔法女子学園の助っ人教師』

◎小説版《ホビージャパン様HJノベルス刊》

第1巻~7巻大好評発売中。


◎コミカライズ版《藤本桜先生作画》

スクウェア・エニックス様の雑誌月刊「Gファンタジー」に大好評連載中!

Gファンタジーコミックス

第1巻~3巻大好評発売中!

※第1巻、第3巻は『重版』


☆書籍小説版、コミカライズ版ともども、書店様、通販サイト様でぜひお取り寄せください。

 左奥の塔から感じるオークカーネルの気配。

 いよいよオーク討伐の最終決戦だ。


 塔内へ入ったディーノは、所々崩れているらせん状の階段を上って行く。

 

 はっきりと気配を感じる……

 

 目標は登り切って最上階、司令官の部屋だった場所。

 つまり首魁オークカーネルが居ると思われる場所だ。


 他にオークが居る気配はない。


 ディーノは古城のオーク100体余の99%以上を既に倒した。

 つまりこのオークカーネルが最後の一体なのだ。

 

 部下が、仲間が、倒され斃れ続けているのに、

 大将たるオークカーネルは、塔にこもりっぱなしで、

 姿を現そうとしなかった。


 このような行動は、私情をはさまず、冷静な指揮官と言えるかもしれない。

 だが、簡単に仲間を見捨てるなど、ディーノには許せなかった。


 徐々に気配が、相手の放つ魂の波動が強くなって行く。

 これは怒りの波動だ。

 となれば、現在の状況は把握しているはずである。

 自分が最後の一体だという事も……


 遂にディーノは階段を上り切った。

 そこにオークカーネルは居た。

 

 村長の言う通り、やはり上位種だけあり、

 オークサージェントとは全く違う体躯を有している。 


 身長は軽く5mを超えていた。

 体重も500㎏は優に超えているだろう。

 石柱のようなごつい両腕を持ち、

 オークサージェントを遥かにしのぐ……

 分厚い筋肉の鎧で身体中が覆われていた。


 オークカーネルは逞しい戦士とは程遠いディーノを見て、

 「これは意外だ」とでも言うように、「ふん」と鼻を鳴らす。

 

 そして、何と!

 念話を使い、人語でディーノへ、己の意思を告げて来る。


『ナンダ、トンデモナイヤツダトオモッタラ、タンナルニンゲン! シカモコゾウカヨ!!』


 圧倒的な体躯。

 見下したような物言い。

 

 しかしディーノは全く動じない。


『ああ、俺は単なる小僧だ。それよりてめぇが地獄へ行く覚悟は出来たのか?』


『ハッ! イクラ、ブカヲタオシテモ、ムダダ! ショセン、コノオレニハカテヌ』


 部下と自分とは、全く違う。

 比べるな。

 舐めるな。

 おこがましい!


 そんな驕り高ぶった感情の波動がディーノへ向かって来る。


『はは、自分は手下とは全然違うってか? ほざいてろ。すぐ地獄へ送ってやる』


『ワレガ、ジゴク? ドッチガダ! エサノクセニ、ナマイキダゾ、コゾウ!』


『はは、餌か? お前ならそう言うと思った。だが違うぜ』


『ナンダ、チガウトハ』


『お前はオークの上位種、俺は人間、傍から見れば確かに捕食者と餌だ。しかしそんな摂理はすぐ逆転する』


『ゲハハハハハハハハハハッ!! スグ、ギャクテンダト! ワラワセル!』


 下品に高笑いするオークカーネル。

 しかしディーノは「ふっ」と鼻で笑う。


『笑いたいだけ笑え。だがすぐに分かる』


『ゲハハハハハハハハ! ナニガワカルトイウンダ? コゾウ! オマエガシヌコトカ?』


『まだ分からんのか? 俺はお前より遥かに強い。餌になるのはお前の方だ』


『ワレガエサ? フザケルナ!』


『はっ、ふざけちゃいないさ。不味まずそうなお前を喰うのはごめんだがな』


 全く動じず、不敵に言い返すディーノ。

 オークカーネルは違和感を覚えたようだ。

 

『ナ、ナニ!!』


『しかし、お前との戦いは確実にかてとなる。経験値となり、俺を成長させる』


 ディーノはそう言い放つと、活動の根幹たる体内魔力の圧力を一気に上げた。

 殺気も同じく上げる。


 さすがにオークカーネル、ディーノが「ただの人間」ではないと、

 完全に察したようだ。


『キ、キサマ!』


『……死ねよ、外道。安心して俺に喰われるが良い』


『クッソ! コゾー、キサマコソ、シネ~ッ!!!』


 しかしやはりオークカーネルはディーノを舐め切っていた。

 これまで出会った、経験した人間との戦いを基準にしていたのだ。


 「脆弱な人間如きに、武器を使わなくとも素手で十分!」と思ったに違いない。

 

 石柱の如き腕から繰り出される、なすび色の巨大な拳が、

 左右両方、ディーノへ向かって振り下ろされた。

 

 強靭なオークカーネルは武器など使わず、

 脆弱と侮ったディーノを、一気に殴殺しようとしたのである。


 しかし、ディーノは何と!

 左右それぞれの手で、オークカーネルの拳を「がっし!」とばかり、

 しっかりと受け止めた。


 さすがにオークカーネルは動揺した。

 持っていた『人間との戦いの経験則』が役立たずな過去の遺物と化して行く。


『ナ、ナンダト!? バ、バカナ! エ、エサゴトキ、ニンゲンガ!!』


『ふん、お前の力はまあまあというところか? でも、低レベル、雑魚敵だ。』


『テ、テイレベル!? ワ、ワレガザコォ!? フ、フザケルナァ!!』


『ははは、おい、外道! 餌の力を……人間の底力を思い知ったか?』


『ソコヂカラダト!? ヌヌヌ、キサマコソ、テガフサガッテイルゾ! コレデハ、オレヘ、コウゲキデキマイ!』


『甘い!』


 オークカーネルの拳をつかんだディーノの指がゆっくりと動いて行く。

 指先が、オークカーネルの拳に「がっ!」と食い込んだ。


 ぶしゅうううううう~~!!


 瞬間!

 嫌な音を立て、オークカーネルの手の甲があっさり破れた。

 

 ぐじゃ!

 という不気味な音も聞こえた。


 ディーノの小さな手により、オークカーネルの巨大な拳が、

 原型を留めぬほど破壊されたのだ。


 先ほどのオークサージェントと同じ青い血が大量にまき散らされる。


「ギャアアアアアアアアアアアアア~~ッ!!」


 拳から激痛が全身を走ったオークカーネルは、万歳をする格好で、

 ぺたんと床へ座り込んでしまった。


 無様に座ったオークカーネルを、ディーノは冷たい眼差しで見下ろしている。


『おいおい、悲鳴は念話ではなく、肉声か?』


『……………』


『お前があの世へ行けば……』


『……………』


『ひとりの少女の無念が晴れ、彼女は人生をリスタート出来る』 


 ディーノはそう言うと、心の中でヒルデガルドの名を唱える。


 形勢は完全に逆転した。


 片や、もうディーノの言葉など聞こえていないに違いない。

 座り込んだまま、恐怖を目に浮かべたオークカーネルは震え出し、

 何と、命乞いを始めた。


「タ、タスケテクレェ! モ、モウ、テイコウシナイッ!」


 しかしディーノはずいっと一歩踏み出した。

 

 無抵抗?

 だから許す?

 

 そんな甘ったるい感情は一切ない。

 情など交えず敵を倒す。

 外道ならば、尚更である。


「……外道の鳴き声は一切聞こえん」


「ヒイイイイイイイイイイイイィッ!!」


「命乞いした人間を、お前らは散々殺し、餌としてむさぼり喰らって来た」


「ヤヤヤヤヤ、ヤメロォォォォ!! シ、シニタクナァイィィ!!!」


「……地獄へ行け!」


 ディーノは淡々と言い放ち、再び心の中でヒルデガルドの名を呼ぶ。


 そして、這いずり逃げようとするオークカーネルの肉体へ、

 思い切り拳を打ち込んだのである。

いつもご愛読頂きありがとうございます。


※当作品は皆様のご愛読と応援をモチベーションとして執筆しております。

宜しければ、下方にあるブックマーク及び、

☆☆☆☆☆による応援をお願い致します。


東導号の各作品を宜しくお願い致します。

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も宜しくお願い致します。

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