第233話「地獄へ行け!」
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左奥の塔から感じるオークカーネルの気配。
いよいよオーク討伐の最終決戦だ。
塔内へ入ったディーノは、所々崩れているらせん状の階段を上って行く。
はっきりと気配を感じる……
目標は登り切って最上階、司令官の部屋だった場所。
つまり首魁オークカーネルが居ると思われる場所だ。
他にオークが居る気配はない。
ディーノは古城のオーク100体余の99%以上を既に倒した。
つまりこのオークカーネルが最後の一体なのだ。
部下が、仲間が、倒され斃れ続けているのに、
大将たるオークカーネルは、塔にこもりっぱなしで、
姿を現そうとしなかった。
このような行動は、私情をはさまず、冷静な指揮官と言えるかもしれない。
だが、簡単に仲間を見捨てるなど、ディーノには許せなかった。
徐々に気配が、相手の放つ魂の波動が強くなって行く。
これは怒りの波動だ。
となれば、現在の状況は把握しているはずである。
自分が最後の一体だという事も……
遂にディーノは階段を上り切った。
そこにオークカーネルは居た。
村長の言う通り、やはり上位種だけあり、
オークサージェントとは全く違う体躯を有している。
身長は軽く5mを超えていた。
体重も500㎏は優に超えているだろう。
石柱のようなごつい両腕を持ち、
オークサージェントを遥かにしのぐ……
分厚い筋肉の鎧で身体中が覆われていた。
オークカーネルは逞しい戦士とは程遠いディーノを見て、
「これは意外だ」とでも言うように、「ふん」と鼻を鳴らす。
そして、何と!
念話を使い、人語でディーノへ、己の意思を告げて来る。
『ナンダ、トンデモナイヤツダトオモッタラ、タンナルニンゲン! シカモコゾウカヨ!!』
圧倒的な体躯。
見下したような物言い。
しかしディーノは全く動じない。
『ああ、俺は単なる小僧だ。それよりてめぇが地獄へ行く覚悟は出来たのか?』
『ハッ! イクラ、ブカヲタオシテモ、ムダダ! ショセン、コノオレニハカテヌ』
部下と自分とは、全く違う。
比べるな。
舐めるな。
おこがましい!
そんな驕り高ぶった感情の波動がディーノへ向かって来る。
『はは、自分は手下とは全然違うってか? ほざいてろ。すぐ地獄へ送ってやる』
『ワレガ、ジゴク? ドッチガダ! エサノクセニ、ナマイキダゾ、コゾウ!』
『はは、餌か? お前ならそう言うと思った。だが違うぜ』
『ナンダ、チガウトハ』
『お前はオークの上位種、俺は人間、傍から見れば確かに捕食者と餌だ。しかしそんな摂理はすぐ逆転する』
『ゲハハハハハハハハハハッ!! スグ、ギャクテンダト! ワラワセル!』
下品に高笑いするオークカーネル。
しかしディーノは「ふっ」と鼻で笑う。
『笑いたいだけ笑え。だがすぐに分かる』
『ゲハハハハハハハハ! ナニガワカルトイウンダ? コゾウ! オマエガシヌコトカ?』
『まだ分からんのか? 俺はお前より遥かに強い。餌になるのはお前の方だ』
『ワレガエサ? フザケルナ!』
『はっ、ふざけちゃいないさ。不味そうなお前を喰うのはごめんだがな』
全く動じず、不敵に言い返すディーノ。
オークカーネルは違和感を覚えたようだ。
『ナ、ナニ!!』
『しかし、お前との戦いは確実に糧となる。経験値となり、俺を成長させる』
ディーノはそう言い放つと、活動の根幹たる体内魔力の圧力を一気に上げた。
殺気も同じく上げる。
さすがにオークカーネル、ディーノが「ただの人間」ではないと、
完全に察したようだ。
『キ、キサマ!』
『……死ねよ、外道。安心して俺に喰われるが良い』
『クッソ! コゾー、キサマコソ、シネ~ッ!!!』
しかしやはりオークカーネルはディーノを舐め切っていた。
これまで出会った、経験した人間との戦いを基準にしていたのだ。
「脆弱な人間如きに、武器を使わなくとも素手で十分!」と思ったに違いない。
石柱の如き腕から繰り出される、なすび色の巨大な拳が、
左右両方、ディーノへ向かって振り下ろされた。
強靭なオークカーネルは武器など使わず、
脆弱と侮ったディーノを、一気に殴殺しようとしたのである。
しかし、ディーノは何と!
左右それぞれの手で、オークカーネルの拳を「がっし!」とばかり、
しっかりと受け止めた。
さすがにオークカーネルは動揺した。
持っていた『人間との戦いの経験則』が役立たずな過去の遺物と化して行く。
『ナ、ナンダト!? バ、バカナ! エ、エサゴトキ、ニンゲンガ!!』
『ふん、お前の力はまあまあというところか? でも、低レベル、雑魚敵だ。』
『テ、テイレベル!? ワ、ワレガザコォ!? フ、フザケルナァ!!』
『ははは、おい、外道! 餌の力を……人間の底力を思い知ったか?』
『ソコヂカラダト!? ヌヌヌ、キサマコソ、テガフサガッテイルゾ! コレデハ、オレヘ、コウゲキデキマイ!』
『甘い!』
オークカーネルの拳をつかんだディーノの指がゆっくりと動いて行く。
指先が、オークカーネルの拳に「がっ!」と食い込んだ。
ぶしゅうううううう~~!!
瞬間!
嫌な音を立て、オークカーネルの手の甲があっさり破れた。
ぐじゃ!
という不気味な音も聞こえた。
ディーノの小さな手により、オークカーネルの巨大な拳が、
原型を留めぬほど破壊されたのだ。
先ほどのオークサージェントと同じ青い血が大量にまき散らされる。
「ギャアアアアアアアアアアアアア~~ッ!!」
拳から激痛が全身を走ったオークカーネルは、万歳をする格好で、
ぺたんと床へ座り込んでしまった。
無様に座ったオークカーネルを、ディーノは冷たい眼差しで見下ろしている。
『おいおい、悲鳴は念話ではなく、肉声か?』
『……………』
『お前があの世へ行けば……』
『……………』
『ひとりの少女の無念が晴れ、彼女は人生をリスタート出来る』
ディーノはそう言うと、心の中でヒルデガルドの名を唱える。
形勢は完全に逆転した。
片や、もうディーノの言葉など聞こえていないに違いない。
座り込んだまま、恐怖を目に浮かべたオークカーネルは震え出し、
何と、命乞いを始めた。
「タ、タスケテクレェ! モ、モウ、テイコウシナイッ!」
しかしディーノはずいっと一歩踏み出した。
無抵抗?
だから許す?
そんな甘ったるい感情は一切ない。
情など交えず敵を倒す。
外道ならば、尚更である。
「……外道の鳴き声は一切聞こえん」
「ヒイイイイイイイイイイイイィッ!!」
「命乞いした人間を、お前らは散々殺し、餌としてむさぼり喰らって来た」
「ヤヤヤヤヤ、ヤメロォォォォ!! シ、シニタクナァイィィ!!!」
「……地獄へ行け!」
ディーノは淡々と言い放ち、再び心の中でヒルデガルドの名を呼ぶ。
そして、這いずり逃げようとするオークカーネルの肉体へ、
思い切り拳を打ち込んだのである。
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