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第231話「人間の底力を②」

東導 号 書籍化作品⛤『魔法女子学園の助っ人教師』

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 ディーノが決意を言い放った後、綿密に作戦が練られた。

 とは、言っても作戦は単純簡単だ。


 多分ヒルデガルド達が見守るであろう中……

 正門から、ディーノが単身堂々と城内へ踏み込む。

 

 踏み込んだディーノは城内で戦闘。

 

 討ち漏らした、オークどもが城外へ出たら、

 待機しているグレーヴ達が掃討する。

 その際、グレーヴ達の『盾役』を戦友達3人が務める。


 万が一危なくなったら、グレーヴ達は撤退、

 ディーノと戦友達に一切を任せる。


 普通なら考えられない『作戦』だ。

 ディーノを単身突撃させる。

 

 否、傍から見たら、謀殺する為に捨て石にし、

 無理やり死地へ赴かせると言って過言ではないからだ。


 しかしディーノは自身の意思で死地へ向かう。

 ロラン達から受け継いで得た力を、

 そしてこれまで鍛え磨き抜いた実力を試してみたいのだ。


 幸いグレーヴは、オークどもがたてこもる古城の仕様をほぼ把握していた。

 現在使用されているロドニアの城塞も基本的なデザインはそう変わっていない。  

 城の勝手が分かる。

 それだけの情報でもディーノには有利に働く。


 グレーヴ曰はく、長方形の敷地に設けられた城塞は正面に門があり、四方をぐるりと10mほどの石壁で囲われている。

 四方に監視塔があり、左奥に城主または司令官の居住する塔がある。

 その塔の脇に兵士が居住する宿舎があるのだ。

 宿舎の脇は倉庫、その地下は牢獄となっている。

 正門から入ると、敷地内にさえぎるものがないというのだ。


 普通種のオークとは違い、上位種オークサージェントは剣や打撃系の武器を達人並に使いこなし、弓矢も巧みだという。


 ヴィオラ村で、ディーノの超人的な強さを目の当たりにしながらも、

 エレオノーラは心配でたまらない。


「ディーノ! 襲いかかるオークどもに手間取っているうちに、もしも弓で狙い撃ちされたら……」


「大丈夫です、エレオノーラ。奴らに狙い撃ちさせません」


「な、何故、そう言い切れる?」


「内緒です」


「な、内緒って、何故だぁ!」


「偉そうに自慢するわけじゃありません。ですが、武道をたしなむものは、とっておきの手はやたらに明かしません」


「やたらに手を明かさない……まあ、確かにな」


「ええ、怖い言い方ですが、その技を見た時は死あるのみとか言うじゃないですか」


「う、死あるのみって……」


 ディーノがしれっと告げた言葉には、何故かひどく現実味があった。

 思わず臆する、エレオノーラへディーノは優しく微笑む。


「あはは、冗談ですよ、エレオノーラ」


 ディーノの話は……全然冗談ではなかった。

 いにしえの魔法剣士ブレーズから受け継いだ、

 必殺技ゼロ迫撃は、不死たる悪魔の魂さえ破壊する威力を秘めている。


 そして高貴なる地界王アマイモンの愛娘、

 地の最上級精霊ヴィヴィから教授された、魔法剣士の最強戦法を試す絶好の機会でもある。


 ボス、オークカーネルを圧倒し、更に上を目指す。

 猛炎を吐くドラゴンをもクリアし、あの大悪魔メフィストフェレスとも渡り合えるようになる!

 絶対に強くなる!


「俺の戦友達は強靭です。しっかり指示しておきますから、遠慮なく彼等を盾にしてください」


 ディーノはそう言うと、不敵に笑ったのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 翌朝……


 ディーノ達は出撃した。

 馬車にはクランメンバーだけでなく、3人の戦友も乗り込んでいる。


 ディーノは単に無謀なだけではない。

 いくつもの事態を想定していた。

 そして手も打っていた。


 もしもディーノの読み違いで、オークどもが予想以上に強い場合は、

 アルドワン直伝の魔法で巨大なゴーレムも呼び出し、グレーヴ達を守ろうと考えている。


 それに冥界の魔獣ケルベロス、オルトロスの兄弟、妖精猫の王ファザーガットのジャンが本気を出せば、問題なし。

 オークの上位種とはいえ、相手にならないとディーノは思っていた。


 ……やや後方から馬が十数頭着いて来る。

 村の自警団であった。

 先頭の馬に騎乗しているのは、ヒルデガルドだ。

 ディーノ達の戦いぶりを見届けに来たに違いない。


 やがて、ディーノ達はオークどもの立てこもる古城へ到着した。

 周囲は荒野、森林を切り開いて作ったらしい。

 ギルドの依頼書によれば、数十年前に打ち捨てられたロドニアの旧き城塞である。


 正門の木製門扉はとうの昔に朽ち果てている。

 だから、正門自体はなく、石壁につながる入り口があるのみだ。


 ご丁寧にも、入り口の両脇左右には人間の門番のようにオーク2体が立っていた。


 ディーノは充分離れた場所に馬車を停めた。

 鞍を付けた2頭の馬もハーネスから外して木につないだ。


「公爵、万が一の場合、馬車は置いたまま、馬に分乗し、全速で撤退してください。俺の心配は無用です」


「りょ、了解。死ぬなよ、ディーノ」


 グレーヴが声をかけた時、ディーノは既に歩き出していた。


 背を向けたまま、グレーヴ達に手を打ち振る。


「父上……」

「ガイダルパパ……」


「お前達、ディーノが必ず生きて戻ると信じるんだ」


 戦闘準備をするグレーヴ達の下へ、ヒルデガルドと昨日の少年達が走って来た。


 ヒルデガルドは単身古城へ向かうディーノを指さし、叫ぶ。

 完全に動揺していた。


「な、な、何だよぉ! あ、あいつ、ひとりに戦わせる気かっ!? し、し、死んじまうだろが! 何考えてるんだよっ!!」


 しかしグレーヴは、キッとヒルデガルドを見据え、きっぱりと言い放つ。


「お嬢ちゃん、うろたえず、ディーノを信じ、良く見ていろ!」


「な、何をだ! 何を見ろと言うんだ!」


「ディーノは! あいつは必ず生きて戻って来る! そして見せてくれる、人間の底力をな!」


「人間の……底力……」


 死地へ向かい、遠ざかるディーノの姿を……

 ヒルデガルドは呆然と見送っていたのである。

いつもご愛読頂きありがとうございます。


※当作品は皆様のご愛読と応援をモチベーションとして執筆しております。

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