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第216話「3咆哮は戦いの合図」

スクウェア・エニックスの月刊雑誌Gファンタジー10月号が大好評発売中です!

⛤『魔法女子学園の助っ人教師』

◎コミカライズ版、最新話が掲載されております。

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⛤『魔法女子学園の助っ人教師』◎コミカライズ版コミックス第3巻

《スクウェア・エニックス様Gファンタジーコミックス》


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 元々農村の結束は固い。

 捕食者たる人外ゴブリンの脅威と被害。

 グスタフ村長のやる気とぶらさげられた人参。


 結果、ヴィオラ村自警団への参加希望者は殺到した。

 ディーノ達は手続きに追われ、嬉しい悲鳴をあげた。


 しかし……

 あくまでも村民の本業は農民。


 ただでさえ辛く多忙な農業に手が回らなくなる事への懸念、支度金手当て等、

 資金の問題もあり……

 結局、参加希望者全員を『正式な自警団員』にする事は出来なかった。

 だが、村民全員が自衛の気持ちを持つ良いきっかけになったといえよう。


 この呼びかけで、村内に『更なる強い連帯感』が生まれた事も間違いはなかった。

 グスタフが今までに行っていたのは、

 3か月にたった一回、領主エーギル・アルヴェーン騎士爵からの通達を、

 堅苦しく儀式ばった的な連絡のみ……

 当然、誰もが出席を嫌がる形だけの村内会議であった。


 こちらもディーノの提案をグスタフが受け入れる形で大幅に変更した。


 魔物、肉食獣、人間の山賊などの外敵排除や防犯対策は勿論、

 生活関連一般の議題等も加え、更に村の費用負担で懇親会も兼ね、

 1か月に1回の頻度で行う……

 以上を村民へ打診したところ、その場で賛成が相次ぎ、満場一致、

 即座に決定したのだ。


 いろいろあって、なんやかんやで、もう夕方……

 グスタフを更にフォローし、新設されたばかりの自警団を班分け。

 その日早速、ディーノ達の指示の下、自警団は夜間パトロールを行った。

 

 いつゴブリンが襲って来るか……

 お化け屋敷へ入ったようなおっかなびっくりの警備ではあったが……


 ディーノに命じられているケルベロス達が夜通し牽制してくれたので、

 幸いにも襲撃は全くなく、全員が仮眠を取りながら……

 パトロールは無事終わったのである。


 ……明け方、ディーノが仮眠中、ジャンから念話で連絡が入った。

 素晴らしい『朗報』であった。

 

 早くもゴブリン達の巣穴を突き止めたという。

 行き掛けの駄賃に、巣穴のゴブリンを20体ほど、ぶっ倒したぞ!

 とも報告して来た……

 さすが妖精猫の王ファザーガット、抜かりはない。


 そして……

 夜が明けたのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 いよいよ!

 ゴブリンを迎え撃つ、戦いの朝がやって来た。

 ヴィオラ村の未来を切り開く決戦の朝かもしれない。 


 この戦い終了後、ディーノと戦友達が出向き、

 本拠地巣穴のゴブリン全てを殲滅する事となっている。


 ケルベロス、オルトロス勢子組の準備は万全。

 楓村、ポミエ村における経験もあり、ディーノとの息もぴったり合っている。


 一方、ジャンは巣穴の所在を報告して来た後、ケルベロス達に合流した。

 共に勢子役を務める。


 頃合いが来たら……

 村民達から見えない場所で思う存分、3人で暴れて良いと、

 ディーノから言われ、ジャンは大いに張り切っていた。


 この戦いの趣旨は、村民へ勇気を与える戦い。

 楓村と一緒である。

 唯一違うのは、村長のグスタフがクランメンバーに加わっている事だ。


 ケルベロス達と念話で所在及び状況確認をした上、

 ディーノ達は正門から出て、少し離れた場所へスタンバった。


 打合せ通り、最前列にディーノ。

 続いてグレーヴとエレオノーラの父娘。

 シグネが続き、最後方にグスタフが控えるという布陣だ。


 開かれていた正門がゆっくりと閉められた。

 正門後方の物見やぐらには、自警団となった数人の村民が、

 「村長が加わった冒険者の戦いをしかと見届ける!」とばかりに陣取っていた。


 さすがに、百戦錬磨の武人グレーヴにあまり緊張感はない。

 だが、うら若き女子エレオノーラとシグネからは結構な緊張感が伝わって来る。

 戦いに素人のグスタフは……歯の根もあわないくらい震えていた。


 怯えの気配を察し、シグネが後ろを振り返る。

 笑顔で元気に、グスタフへ告げる。


「村長!」


「は、は、はいっ!」


 グスタフの返事を聞いたシグネは表情が一変。

 真剣となる。


「大丈夫! ディーノちゃんは1万頭のゴブリン、1,000頭のオークを撃破した勇者よ! 彼の戦いをよ~っく見ておきなさいっ! そして村民達へ荒ぶる魂を伝えるのよぉ!!」


「わ、わ、わ、分かりましたぁ~~っっ!!」


 己にも言わんとするシグネの叱咤激励。

 そして、精一杯の勇気を振り絞り、放ったグスタフの叫び。

 

 ふたりの熱き言葉を聞き。ディーノが僅かに微笑んだ瞬間!


 うおおおおおおおおお~~んん!!

 うおおおおおおおおお~~んん!!

 ごがああああああああ~~っっ!!


 ケルベロス、オルトロス、そしてジャンの咆哮が辺りに響き渡った。


 味方たる使い魔、咆哮3回が戦いの合図!


 昨夜、既に伝えておいたから、エレオノーラ達クランメンバーは勿論、

 村長以下、村民にも動揺や怖れはない。


「いきま~っす!!」


 叫んだディーノは気合一閃!

 思い切り大地を蹴り、単身走り出していたのである。

いつもご愛読頂きありがとうございます。


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