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第213話「従う! 大好きだから!」

スクウェア・エニックスの月刊雑誌Gファンタジー10月号が大好評発売中です!

⛤『魔法女子学園の助っ人教師』

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 ディーノの計画を聞き、ガイダルは大いに笑った。


「ははははは、想像したらすげぇ可笑しくなって来た! 村長の奴、えれぇ、びびるだろうな。こりゃ良い薬になる!」


「です! それで再び本題に戻りますと、村民達には自衛の気概を持って貰う為、彼等の目の前で俺達が戦うっていう趣旨です」


「おう、いいじゃね~か。少人数の俺達が命を懸けて、ゴブリンの群れと戦う姿を見せ、村民達へ活を入れる。戦う気構えをしっかり持たせるというわけだな」


「その通りです。実際楓村は俺達冒険者と村民達が全面協力し、一体になってゴブリンと戦い、何とか撃退する事が出来ましたから」


「思惑通りに事が運べば、確かに理想的な展開だ。でもよ、上手く行かなかった時の事を考えてるか?」


「はい、考えてます。その時は、俺が巣穴のゴブリン全てを殲滅します。戦友達と共に」


 またもディーノは、きっぱりと言い切った。 

 グレーヴは「頼もしい!」という強い感情を放っていた。


「おお、ものすげぇ事を言い切ったな。じゃあ、しっかり見届けさせて貰うぜ、ディーノ。お前の戦いぶりをよ!」


「ノープロブレム! 任せてください」


 と、ここでエレオノーラが、ディーノを呼ぶ。


「ディーノ!」


「はい」


「父上とだけ盛り上がっているようだが、のけ者にされた私とシグネはどうすれば良い? エーギル・アルヴェーン騎士爵ならば私もシグネも奥様のハンナ殿とは結構親しいのだぞ」


「へぇ、そうなんですか?」


「うむ、ふたりともゴブリンと戦う前の前哨戦、村長攻略作戦の役には、大いに立てると思うぞ」


 エレオノーラから出た女子ふたりの村長攻略作戦参加提案。

 ディーノは、一応確認を取る。

 無論グレーヴにだ。


「という事ですが、公爵。……おふたりの参加は宜しいでしょうか?」


「ま、良いだろ。エレオノーラとシグネちゃん、ふたりを連れて行き、上手くやってくれ」


 OKがグレーヴから出た。

 ノープロブレムである。


「了解です。じゃあ3人一緒に村長宅へ行きましょう」


「うむ、了解! シグネも構わないな?」


「はいはい! 問題なっしで~す!」


「はぁ、相変わらず軽い女だ。それでディーノ、肝心の本番、対ゴブリン作戦はどうなのだ?」


「はい、ではご説明します、基本的な作戦は公爵、エレオノーラ、シグネさんも良くやるであろう、狩猟形式でやりますよ」


「はあ? 狩猟形式?」

「ほう!」

「おもしろそ~!」


「はい、この作戦も楓村で実行済みです。今回同様、戦友達に勢子をやって貰います」


「おお、勢子か! イメージが湧く!」


 エレオノーラが理解したというように、はたと手を叩けば、

 グレーヴは頷き、シグネもにっこり笑った。


 こうなるとディーノの口調も滑らかになって行く。


「はい! 狩猟の獲物は当然ゴブリン! そして奴らの数を勢子役の戦友が制御コントロールして絞った上、俺達4人が村の正門前で戦い、少しずつ敵の数を減らして行く。ある程度数が減ったら、俺が奴らの本拠、巣穴へ突入し、一気に殲滅します」


 前述したが……

 ここで言う勢子とは、狩猟を行う際、獲物となる動物を追い出したり、

 追い込んだりする役割の者だ。


「成る程、それなら私達少人数でも数多のゴブリンと渡り合える」


 エレオノーラは、ディーノの話を聞き「うんうん」と納得し、

 一旦は頷いていた。

 

 でも気になる事があるらしい。


「だが、しかし!」


「だが、しかしって、何ですか?」


「先ほどから話を聞いていれば、最後のとどめはディーノ単独でやると聞こえるが、気のせいか?」


「気のせいじゃ、ありません。ほぼ言葉通りです」


「な、何!?」


「ええ、最後は俺と戦友だけで巣穴へ赴き、とどめをさします。次に向かうオークの村でも同様です」


 きっぱりと言い切ったディーノ。

 だが、エレオノーラは納得がいかない。


「う! 何故だ! 何故なんだ! 私達はクランだぞ! チームワークで事を為すというのが趣旨なんだぞ! それなのにひとりで、ゴブリンの巣へ行くのか!」


「はい、俺ひとりの方がやりやすいのです。それに戦友が居ればノープロブレムです。奴らの巣穴は多分、深い洞窟か、正体不明の遺跡、廃棄された迷宮などです」


「それはそうだろう。魔物の巣穴など、私は良く知らないが」


「俺は良く知っています。暗いし、入りくんでいて迷いやすいし、方向感覚は乱れるし、極めて危険なんです」


「むううう……」


「でも、俺は何度も潜って慣れてますし、戦友と共に戦う方が折り合いがつきます」


 ディーノは遠回しに、エレオノーラが最終決戦では不要だと伝えた。

 エレオノーラの心には、先ほど告げられた父の言葉が思い出される……


「父上と同じく! ディーノも! 私に実力がない、足手まといだと言うのか!」


 さすがにエレオノーラに対し、

 ストレートに実力がない、足手まといとは言えない。

 深くプライドを傷つける事になる。

 

 だからディーノは肯定した上で、告げる事が可能な言葉を選んだ。


「はい、エレオノーラはまだ発展途上です」


「まだ発展途上……」


「ええ、公爵が仰ったようにエレオノーラには実践が足りません。とりあえず今回は村の門前でゴブリンと戦う事で、じっくり経験を積んで下さい。絶対今後の糧となります」


 遠回しでもダメ出しをされたエレオノーラは、遂に本音を吐露してしまう。

 ディーノの覚悟を知り、同時に自分への細やかな思い遣りも感じていたからだ。

 感極まった彼女の目には、涙がいっぱい溜まっていた。


「正直に言うぞ、言ってやる! だって! だって! ディーノ!! お、お前ひとりで! そんな危険な場所へ行かせるなんて! 凄く凄く心配なんだぁ!!」


 対して、ディーノも素直になった。


「ありがとう! エレオノーラの気持ちは本当に嬉しいです」


 ここでディーノを呼んだのはシグネである。

 エレオノーラとは対照的に、極めて冷静である。

 というか肝が据わっているようだ。


「ディーノちゃん!」


「はい、シグネさん」


「頼もしいよ、君は! ガイダルパパが言ったように、やっぱディーノちゃんがこのクランのリーダー、私達はリーダーの指示に従うよ」


「ありがとうございます。宜しくお願い致します」


 続いて、グレーヴも。

 こちらは相変わらずディーノに対し、

 「頼もしい」という気持ちであふれている。


「おい、ディーノ! 俺も従う! ガンガン命令してくれよ!」


「助かります!」


 シグネと父グレーヴの言葉に更に背を押されたに違いない。

 エレオノーラの『告白』は止まらない。


「ディ、ディーノ! 私も! 私もディーノに従う! 大好きだからぁ! わあああああん!!」


「ありがとう、俺もエレオノーラが大好きだよ」


 この世界には数多の女性が居て、それぞれに素敵な魅力がある。

 全員と会う事などは出来ないが……

 自分が追い求める『想い人』は、もしかしてエレオノーラなのだろうか……


 泣きじゃくるエレオノーラを、ディーノはそっと優しく抱き締めたのであった。

いつもご愛読頂きありがとうございます。


※当作品は皆様のご愛読と応援をモチベーションとして執筆しております。

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も宜しくお願い致します。

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