第211話「高圧的で他人任せ」
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30分後……
ディーノ達一行はヴィオラ村村長宅に居た。
「村長、ゴブリンを討伐するにあたり、現状を知りたいのですが」
「はあ? 現状? ふん! 知ってる事なら教えてやる」
ヴィオラ村の村長はグスタフといい、30代半ば過ぎの男だった。
妻はおらず、独身である。
聞けば……
先代村長の父が少し前に亡くなり、跡を継いだという。
クランのリーダーが15歳のディーノと聞いて、グスタフは落胆を隠さなかった。
武骨で偉丈夫の戦士グレーヴが居たが……
残りのクランメンバーも十代の少女ふたりという事で、舌打ちまでする始末。
4人がギルド登録証を見せても態度は変わらなかった。
あまりの傲慢な態度にグレーヴとシグネは苦笑。
エレオノーラはグスタフの胸ぐらをつかみかけたが、
殺気を感じたディーノがすぐに制止、事なきを得た。
笑顔のディーノが質問を始める。
「では村長、お願いします」
「けっ」
「これまでゴブリンの被害は?」
「はん! 決まってるだろ! 大被害だよ! 村民が大勢殺された! 思い出したくもない!」
ディーノが聞きたかったのは具体的な被害である。
村長のコメントは曖昧で抽象的あまり参考とはならない。
しかしディーノは敢えて突っ込まなかった。
「お気の毒です。では襲撃時間は? 奴らは基本夜行性ですから、夜の方が多くありませんか?」
「知らん! 数えた事はない」
「成る程、ではズバリ奴らの巣の所在は? どこかお心当たりはありますか?」
「ないよ、んなもん! 俺はな! おぞましい奴らの巣なんか近寄りたくもない!」
「ご尤もです」
ディーノが同意すると、グスタフはいきなり……切れた。
「それを突き止め、奴らゴブリンを全滅させるのがお前らの仕事だろ! 何くだらね~事聞いてやがんだ! ふざけるな!」
罵られたディーノだが、いつものように冷静だった。
「ふざけてなどいません。俺達も命を懸けています。少しでも情報を収集し、リスクの少ない効率的な方法を取りたいですから」
「何、生意気言ってる。こっちは高い金払ってるんだ! てめえら冒険者はクソゴブリンを全部ぶっ殺してさっさと帰れば良いんだよ!」
吐き捨てるように言うグスタフ。
ディーノは僅かに微笑む。
「……分かりました。では俺達の自由に……結果を出せば良いって事ですね?」
「さっきから言ってるだろ! 何度も言わせるな!」
「了解。では余計な口出しをして来たり、俺達の邪魔をしたら……相応の代償を払って貰いますよ」
ディーノの言葉は淡々としていたが、やけに凄みがあった。
グスタフは子供だと思っていたディーノの迫力に、気圧されてしまう。
「な、な、何でぇ! お、脅かすのかよ! へ理屈こねやがって!」
怯えを隠すように怒鳴りまくるグスタフ。
対して、ディーノの口調は変わらない。
「脅かしとか、へ理屈じゃありません、依頼とは命が懸かった契約です。俺達もギルドとの契約でこの村へ来ましたから」
「分かったよ! 四の五の言わね~で、さっさとゴブリンぶっ殺して来い! あ、そうだ、ウチの村民は一切協力させないからな!」
「了解! では宿舎として教えて頂いた空き家にお邪魔させて頂きます」
「ああ、そうしてくれ! 但し! お前等、やたらとウチの村内を歩くなよ!」
「いえ、村の防備を把握する事も大切ですし、昼夜間の襲撃に備え、村内外のパトロールも実施しますから、そのご要望には絶対にご了解出来ません」
「けっ! 勝手にしろ!」
村長との話は終わった。
得るモノの殆ど無い不毛なやりとりであった。
と、ここでグレーヴが手を挙げた。
何やら村長へ質問があるらしい。
「村長!」
「何でぇ、でっかいの!」
「はは、報奨金だが……」
「何だ! 文句あるのかよ!」
「不満はそうないが……規定より少し少ない気がしてな」
「少ないだと! けっ! 文句があるならすぐ帰れ!」
「いや、文句はない。……失礼した」
苦笑するグレーヴ。
何か、思うところがあるようだ。
こうして……ディーノ達は村長宅を後にしたのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ディーノ達は村から提供された空き家へ落ち着いた。
シグネが紅茶を淹れ、作戦会議が開始される。
村長宅の帰路からずっと憤っているのはエレオノーラだ。
「何だぁ! あの村長は! 今からでも遅くはない! 思い切りぶっ飛ばしてやる!」
拳を振り上げるエレオノーラ。
またも『止め役』はディーノである。
「まあまあ、エレオノーラ。逆に俺達が好きに自由にやれるって言質取れたじゃないっすか」
「ああ、そうだ。ディーノの言う通りだぞ」
苦笑したグレーヴがディーノをフォロー。
エレオノーラが、徐々にクールダウンして行く。
「父上……」
「冒険者は雇われのよそ者。お前はガイダル家の名でランクCにして貰えたが、実践が全然足りていない。今回の案件遂行はいい経験になる」
ガイダルパパの指南終了。
父の言う事は絶対。
エレオノーラは自分を無理やり納得させたようだ。
「うう……あのバカ村長に言われっ放しで、凄く悔しい!」
と、ここでディーノが再びフォロー。
「まあ、その怒りをゴブリンへ、思い切りぶつけましょう。但し……熱くなり過ぎず、常に冷静に、ですよ。焦りも禁物です」
「む! わ、分かった! ディーノ、ありがとう、助かった!」
グレーヴにクールダウンして貰ったとはいえ、
ディーノへ素直に礼を言うエレオノーラにシグネはびっくり。
「わあ! ディーノちゃんったら、猛獣女子の扱いに慣れてるぅ!」
「まあ……」
「へぇ! まあって、もしかしてぇ! 以前エレオノーラ様みたいな猛獣女子と付き合ってた? ズバリ婚約してたとか?」
勘が鋭いシグネの口撃。
虚を衝かれ、焦るディーノ。
「い、い、い、いえっ! そ、そ、そんな事はありません!」
「あ、すっごく動揺してるぅ~、怪しい~」
ここでニヤニヤして会話へ入ったのがグレーヴである。
「ははははは! 以前も言ったが、ディーノは結構もてると思うぞ。現にエレオノーラとシグネちゃん両名に惚れられているからなっ! まだまだ女が、いっぱい居るんじゃないのか? あぁ?」
グレーヴの言葉を聞き、ジト目で睨み付けるエレオノーラ。
にやにやするシグネ。
「こ、公爵! もう勘弁してください」
「はは、ま、良いさ。じゃあ、ディーノ、村長から得た情報は極端に少ないが……作戦は立てられそうか?」
「ええ、何とか……まもなく、俺の戦友から詳しい報告が入るはずです」
「報告? ディーノ、お前まさか、使い魔と……話せるのか?」
「ええ、何とか……意思疎通は出来ます」
本当は、戦友達とは本音を言い合える、ざっくばらんな間柄。
しかし事実は明かせない。
「すげ~な、お前は……」
「いえ、凄いのは戦友です。彼等は少なくとも村の周囲50Km以内の情報は得て来るはずです」
平気で「しれっ」と、とんでもない事を言うディーノ。
グレーヴは仰天してしまう。
「なにぃ!? 周囲50Kmをぉ!! あの犬たちがかぁ!!」
「はい、それにジャンも」
「ジャンって……おいおいディーノ! 途中で馬車から飛び降りた、あの黒猫もか!」
「はい、彼にはゴブリンの本拠たる巣穴の捜索を命じました」
「何!? 巣穴の捜索ぅ!! ほ、ほんとかよぉ……」
「ええ、俺が経験した楓村と近い作戦を取ろうと思います。皆さん、聞いてください」
相変わらず冷静に淡々と告げるディーノ。
コイツはやっぱり凄い!
とんでもない男!!
グレーヴ、エレオノーラ、シグネは顔を見合わせ、納得し、
大きく頷いたのである。
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最後に、連載中である
「帰る故郷はスローライフな異世界!レベル99のふるさと勇者」《完結!》
「幼馴染と永遠に別れた俺は、辺境小国の王子に転生! 戦い、開拓、恋愛、信長スキルで何でもござれ!」
「元ジャンク屋追放勇者のんびり辺境開拓記。怖い魔族と仲良くなって、いつのまにか賢者魔王と呼ばれてた?」
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