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第208話「俺も行こう!」

9月18日は、

月刊Gファンタジー10月号の発売日です!

⛤『魔法女子学園の助っ人教師』◎コミカライズ版

最新話が掲載されております。

ぜひ読んでみてください!


⛤特報! 

『重版』決定!!

⛤『魔法女子学園の助っ人教師』◎コミカライズ版コミックス第3巻

《スクウェア・エニックス様Gファンタジーコミックス》


皆様のご愛読と応援により

『重版』が決定致しました!

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既刊第1巻~2巻も大好評発売中!

書店様で、ぜひお手にお取りください。


※宜しければ原作の小説版《ホビージャパン様HJノベルス刊》

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 グレーヴとシグネはいろいろ他愛のない話もして盛り上がっていた。

 愛娘エレオノーラ同様、グレーヴはシグネにも気安い。


 ディーノが、エレオノーラに聞けば……

 シグネの父、カールレ・ヨエンスー伯爵は外務大臣を務めているらしい。


 カーレルは、グレーヴとは旧知の間柄で、

 エレオノーラとシグネはひとつ違いの幼馴染みだという。


 シグネに聞こえないよう、エレオノーラは「腐れ縁だ」と呟いた。


 しばらくして……

 グレーヴは大仰に両手を挙げた。

 「雑談はもう終わり!」

 という意味らしい。


「まあ、お遊びはこれくらいにして……お前達、冒険者ギルドはどうだった? マスターには会えたのか?」


 グレーヴの言葉尻を捉え、シグネがむくれた。

 ほおを「ぷくっ」とふくらませ、口をとがらせる。


「お遊びって、違いますよぉ、ガイダルパパ。シグネは本気の本気で、ディーノちゃんと結婚しますからぁ」


「分かった、分かった。で、どうだった、ディーノ」


 まだシグネの結婚宣言にわだかまりがあり、

 複雑な顔付きのエレオノーラも見て、グレーヴは苦笑。

 仕方なくディーノへ矛先を向けた。


 ディーノはテーブル上に散らばっていた依頼書を取りまとめ、

 グレーヴへと渡す。


「おかげさまでマスターには、無事に会う事が出来ました。えっと、これが依頼書です。案件を精査し、検討する為に持ち帰りました」


「どれどれ……うっわ! えぐいの貰って来たなあ、ファイアドレイクに吸血鬼にコカトリスかよ。お前等3人だけじゃ、きつすぎるだろ、この3つはよ」


 グレーヴも、シグネと同意見である。

 ディーノの真の実力を知らないから、そう判断するのは常識だし妥当である。


 しかしディーノの答えは変わらなかった。


「ええ、それらは機会があれば、俺が戦友……使い魔達と受けますのでオミットします。今回はゴブリン、オークが妥当でしょう」


「機会があればって、ディーノ、お前しれっと言うなあ……」


「はあ、どれもいつかは戦いたい相手です。それよりどう思いますか、公爵。ゴブリンとオークの討伐は?」


「……おいおい、農村を襲うゴブリン300頭とか、同じくオーク100頭? これだって結構きついだろよ。まあ……竜や吸血鬼よりはマシだがな」


 ディーノのコメントを聞き、グレーヴは呆れ顔だ。

 

 と、ここでシグネも割って入った。

 うんうんと、頷いている。


「そうでしょ! シグネもそう思いま~っす。でもディーノちゃんは、ゴブリンやオークをトレーニング代わりに、軽くぶっ飛ばすって言うんですよぉ」


「何だよ、ディーノ。トレーニングって?」


「言葉通りっす、公爵。俺の使い魔も参戦させますから、何とかなるでしょう」


「使い魔って? あの黒猫か?」


「ええ、あと犬二頭もでっす」


「う~む……」


 ディーノが使い魔を参戦させる。

 

 グレーヴは唸り、思わず腕組みした。

 使い魔ではかく乱役くらいにしかならないと考えたからだ。

 

 そもそも使い魔とは、下級の魔族で、

 簡単なお運びやメッセンジャー役を務めさせる存在であり、

 戦闘用の使い魔など、あまり居ない。


 もしも戦闘までこなせるのなら、そこまでの魔族は、中級以上で従士である。

 ディーノが戦いを共にする3人は、超が付く上級の魔族なのだが、

 グレーヴには知るよしもない。


「まあエレオノーラとシグネさんの能力を改めて取材、確認した上で、適切な作戦を立てる事が前提ですけど。あと現場となる農村の状況、条件も戦い方を大きく左右します」


 ディーノは相変わらず冷静沈着である。

 というか、オンオフがはっきりしていて好ましい。

 

 グレーヴから見て、リーダーの資質は充分過ぎるほどある。

 

 逸材たるディーノが愛娘の婿……

 そう思えば、グレーヴは一層嬉しくなる。

 まだ発展中の愛娘の恋愛を全面的に応援してやろうと思う。


「おお、成る程な!」


「はい、そんな感じです」


「…………うん! 決めた! じゃあ今回は俺も参戦する。公爵や騎士団長じゃなく、ランクAの冒険者としてな!」


 グレーヴが参加する理由はふたつ。

 ディーノの実力、人となりを見極めたいのと、

 まだまだ未熟なランクC、女子ふたりの安全の為である。


 グレーヴが冒険者として、依頼に参加すると聞き、エレオノーラは驚いた。


「え? 父上が?」


 ここ数日は、比較的余裕だが……

 普段のグレーヴは、スケジュールがぎっしり。

 とても多忙であるからだ。


 一方、シグネは素直に喜んだ。


「やった! ガイダルパパが居れば、百人力!」


「一騎当千だろ? シグネちゃん」


「あはは、訂正! 一騎当千ですねっ! 了解でっす!」


 ここで再びエレオノーラが尋ねる。


「良いのか、父上」


「ああ、大丈夫。王宮から緊急招集がかかれば、別だけどな。……というわけでクランリーダー、ディーノ。俺を入れた前提での作戦立案を頼んだぞ」 


「えっ? 俺がクランリーダー? 公爵が適任だと思いますが?」


 ディーノは固辞したが、

 グレーヴは手をひらひらと振って、ディーノの申し入れをはねのける。


「いや! それじゃあ意味がねぇ」


「はあ? 意味がないって?」


「いやはは、こっちの話だ! まあ今後の事もあるしな! 今回の案件に関しては、俺達3人、お前の指示に従う。じゃあ、頼むぞ!!」


「はあ……了解です」


 グレーヴの意に沿う形で……

 ディーノはエレオノーラ、シグネにグレーヴを加えた、

 クランのリーダーとなったのである。 


 こうなると役目上……

 ディーノは早速各自に取材、戦力分析を行った。

 

 まずはゴブリン案件に対応する事に決め、

 現場の村に関してグレーヴに尋ねてみた。


 マスターから受け取った依頼書には、

 村の簡単な紹介しか記されていなかったからだ。


 聞いたところ、現場の村は楓村、ポミエ村に酷似している事も分かった。

 

 オーク案件も聞いてみたが、こちらもほぼ同じような村との事……

 過信は禁物だし、全てが同じではないだろう。

 だが、ディーノがこれまでに積んで来た戦いの経験が、

 少しは役に立ちそうだ。


 続いて……

 ディーノは各自が持てる力に関し、尋ねてみた。

 結果、グレーヴ、エレオノーラのふたりは魔法は使えず、武技に長けた攻撃役、

 シグネは意外にも高レベルの回復治癒魔法、葬送魔法も使える事が判明する。


 まあ……

 とっておきの技や魔法などを伏せる傾向もある。

 だから、3人が持つ実力の全てを把握したとはいえない。

 当のディーノだって、転移と飛翔の魔法、ゴーレム生成の魔法、

 必殺剣『ゼロ迫撃』は、とりあえず伏せたから。 


 この4人に、ケルベロスとオルトロスの犬兄弟、妖精猫のジャンを加え、

 ディーノは作戦を想定、立案した。


 グレーヴが動けるのが最大4日間、各村への所要時間は王都から、

 それぞれ馬車で各2時間だとも分かった。

 巧く依頼を処理出来れば、位置的に2村を連チャンで回る事も出来そうだ。


 ここまで聞いたディーノは、ロフスキの街中に急ぎ買い物へ出かけた。

 ガイダル家にあるモノは、拝借するとして、

 作戦に使う資材の不足分を購入するのだ。

 冒険者ギルドのロフスキ支部の購買所にも顔を出す事にする。


 当然みたいな雰囲気で、エレオノーラとシグネも同行し……

 まるで『3人デート』のような形となった。


 そんなこんなで……

 明日の早朝、クランとなった4人は出発する事となったのである。

いつもご愛読頂きありがとうございます。


※当作品は皆様のご愛読と応援をモチベーションとして執筆しております。

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