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第204話「癒し系貴族令嬢?」

⛤特報! 『重版』決定!!


『魔法女子学園の助っ人教師』

◎コミカライズ版コミックス

《スクウェア・エニックス様Gファンタジーコミックス》

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コミックス第3巻の『重版』が決定致しました!

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 冒険者ギルド、ロフスキ支部1階フロア……

 午前11時少し前……

 最上階のギルドマスター室につながる魔導昇降機の扉が開いた。


 マスターのラディムに見送られたふたりの男女が現れる。

 わざわざマスター自ら見送りとは、ふたりは特別な人物?


 手をしっかり握りながら仲睦まじく歩く?ふたりは……

 当然ディーノとエレオノーラだ。


 依頼を求める為に発生する混雑……

 1階フロアの『ラッシュ』が終了し、冒険者の数は著しく減っていたが……


 金髪碧眼長身と3拍子揃った美貌の貴族令嬢18歳。

 真新しい革鎧に身を固めた若き15歳の精悍な冒険者。


 目立つふたりは、やはり注目を浴びた。

 数多の視線を受け、ひそひそ噂話をする者も居た。


 しかしエレオノーラは気にしない。

 ディーノも気にならないし、エレオノーラが望まなければ、

 相手を懲らしめるとか、何をどうするわけでもない。


 もしかしたら、エレオノーラのペースに慣れて来たのかもしれない。

 それは逆もありえるだろう。


 結果……

 傍から聞けば、平然としたふたりは他愛もない会話を交わしている。


「腹が減ったな、ディーノ」


「そうっすね……ああ、そうだ。時間も時間だし、俺、昼飯作りましょうか?」


「おお! それは名案だ! すぐ屋敷へ戻ろう! マスターが絶賛した料理をぜひ食べたいし、習ってみたい! 預かった依頼案件の精査と検討もしたいぞ」


「了解です。食材って……屋敷にあります?」


「ああ、我が家は肉魚野菜に調味料、使用人が毎朝市場へ買い出しに行っているから、屋敷にいろいろ揃ってるはずだ!」


「成る程……じゃあ、行きましょう」


「うむ! 急ごう!」


 だが、このような時に邪魔が入るのが世の常である。


「あら~、エレオノーラ様じゃないですかぁ?」


 声をかけて来たのは……


 高価そうなこげ茶色の革鎧に……

 スレンダーな身体を包んだ、栗毛のほんわかした感じの可愛い少女である。

 

 少女は笑うと、優しそうな垂れ目がより細くなる。

 いわゆる癒し系であり、年齢はエレオノーラと同じか、

 ほんの少し下かもしれない。


「おお、シグネではないか? どうした?」


「どうしたって、ちょっと、お小遣い稼ぎですぅ! でもそれはこっちのセリフですよ。珍しいですね、エレオノーラ様がギルドに来ているなんて」


「うむ、こちらもちょっとした用事があってな! マスターに会っていた」


「へぇマスターに? で、この子は誰ですかぁ? 何か、やけにべたべたして、可愛がってるようですけどぉ、もしかして男装の麗人ちゃん、とかですかぁ?」


「男装の麗人ちゃん? お前の言う言葉の意味がいまいち良く分からんが、ディーノは女子ではない! 生態学上、れっきとした男子だ」


「はあ~?」


「はあ~って何だ? こっちのセリフだぞ! 何だその反応は?」


「だって! エレオノーラ様はお父上以外、大の男嫌いじゃないですかぁ。どういう風の吹き回しですかあ? まさかショタなんですかあ?」


「重ね重ね失礼な! 私は男嫌いなどではない! ショタでもないっ! これまで付き合う対象となる理想の男子に巡り会えなかっただけだ!」


「まあ……エレオノーラ様の理想は《ガイダルパパ》ですからねぇ……パパとは交際出来ないですしぃ」


「シグネ、お前、パパと交際とか、そういう危ない言い方をするなっ!」


「それよりエレオノーラ様。この子、良く見ると可愛いじゃないですかぁ。ぜひぜひ紹介してくださいよぉ」


「ううむ……仕方がない。こいつは……いや、彼はディーノ、ディーノ・ジェラルディ。私の婚約者で将来の夫だ」


「ええええええっ!? 婚約者で将来の夫ぉ!?」


 シグネと呼ばれた少女が驚きのけぞった時。

 頃合いと見たのか、ディーノが尋ねる。


「あの、エレオノーラ様。さっきから漫才やってるこの方は?」


「漫才? ははは、こいつはシグネ・ヨエンスー、ヨエンスー伯爵の次女で私の冒険者仲間だ」


「へぇ、シグネ様ですか? 俺はディーノです。宜しくお願い致します」


 ディーノは丁寧に挨拶し、深々と頭を下げた。

 対してシグネはにっこり笑い、何と、投げキスをして来た。


「こっちらこそ~! 宜しくねっ♡ ディーノちゃん!」


「相変わらず馴れ馴れしいな! あ、ディーノよ。シグネに様や丁寧な挨拶など不要だぞ!」


「え? それは……」


「コイツ、見た目は男子に大人気のおとなしそうな癒し系だが、中身は全然違う! 14歳の時、花嫁修業の一環として、半年の行儀見習いで修道院へ出されたが、たった10日で脱走したろくでもない女だ」


「な、成る程……」


「ちなみに回復魔法だけは、ちゃっかり習得して来た要領の良いずる~い女なのだ」


「たった10日で回復魔法を習得。凄いじゃないですか?」


 エレオノーラはシグネを「ぼろくそ」に言う。

 

 一方、ディーノはシグネの才を認めていたが、エレオノーラは首を振った。


「いや、腹黒いシグネの事だ。どうせズルしたに決まっておる!」


「スタップ! エレオノーラ様!」


「何だ? シグネ」


「何だ、シグネ、じゃないですよぉ。ディーノちゃんから見て、私のファーストインプレッション、最悪なんですけどぉ!」


 相変わらずエレオノーラは超マイペースである。

 それは仲間である貴族女子に対しても変わらない。


「いや、全部真実だし、ディーノは私の男だ。シグネのファーストインプレッションなど大した問題じゃない」


「はあ!? 何ですか、それぇ!!」


 シグネが、のけぞった瞬間。

 またもディーノが声をかける。


「あの……エレオノーラ様。漫才はそれくらいにして、腹減ったんで、そろそろ行きませんか? いろいろ下ごしらえとか、支度もありますし」


「お、おお! 行くか! すぐ帰ろう! 早くお前の料理が食べたいぞ!」


「ちょ~っと、待った! 私の事、散々いじっといて放置ですか?」


「ああ、シグネ、お前に構ってる暇などない! 早く屋敷へ帰って、ディーノが作った美味い飯を食って依頼の精査をしないといかんのだ!」


 エレオノーラがきっぱり言い切るが、

 何故か、シグネは悪戯っぽく笑う。


「はは~ん?」


「何だ? はは~んって」


「だって! 依頼遂行の為には、回復役ヒーラーが絶対に必要じゃないですかぁ? エレオノーラ様は回復魔法が使えないしぃ。そっちのディーノちゃんはどうなんですかぁ?」


「お、おお。相変わらずお前は、相手の弱みに付け込むのが巧い奴だ。ディーノ、どうする?」


「まあ、シグネさんの言う事も一理あります。エレオノーラさえ構わなければ、相談に乗って貰いましょう」


「うっわ! ディーノちゃんが、エレオノーラ様の事、呼び捨てにしてる! 夫ってホントだったんだ」


「当たり前だ! 愛し愛される間柄だ!」


 またまたヤバイ、根も葉もない話が広がる気がする。


「いやそれ、全部フェイクニュースですからぁ!」


 そんなこんなで……

 新たな仲間?シグネを加え、ディーノとエレオノーラは、

 ガイダル家へ戻ったのである。

いつもご愛読頂きありがとうございます。


※当作品は皆様のご愛読と応援をモチベーションとして執筆しております。

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☆☆☆☆☆による応援をお願い致します。


東導号の各作品を宜しくお願い致します。

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