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第203話「世間は狭い!」

⛤特報! 『重版』決定!!


『魔法女子学園の助っ人教師』

◎コミカライズ版コミックス

《スクウェア・エニックス様Gファンタジーコミックス》

☆最新刊『第3巻』大好評発売中!


皆様のご愛読と応援により

コミックス第3巻の『重版』が決定致しました!

ありがとうございます。

書店様で、ぜひお手にお取りください。

※宜しければ小説版《ホビージャパン様HJノベルス刊》第1巻~7巻もあわせてお読み下さい。

「俺は冒険者ギルド、ロフスキ支部のギルドマスター、ラディム・バルトンだ! 宜しくな、ディーノ君! いや、エレオノーラ様の夫になるのなら、様と言い直した方が良いかな? がっははははは!」


「ははははは! そうだぞ、マスター! 間もなく、様と確実に言い直す事となる! 今すぐに呼び方を変えておいた方が得策だ!」


「おっ! エレオノーラ様は、今日は今迄にないくらい、ご機嫌が宜しいですね、はははは」


 ロフスキ支部のギルドマスター、ラディム・バルトンは、

 たおやかなアールヴ女性のミンミとは、全く違うタイプの人物だった。


 年齢は40代後半ば、短髪で筋骨隆々。

 一見、強面な人間族男性である。


 性格は……

 エレオノーラの父グレーヴっぽく豪放磊落ごうほうらいらくだと、

 ディーノは感じた。


 風貌は……

 今まで会った事のある誰かに似ていると思う。

 ええっと……そうだ!

 ダレンに似ている。


 そう、セントヘレナの居酒屋ビストロ英雄亭の主、

 ダレン・バッカスを若くしたような雰囲気である。

 まあラディムは『ダレン』など知らないだろうが。


 しかし、ここから意外な展開となった。


「ディーノ君は、ヴァレンタイン王国出身か?」


「はい、セントヘレナで生まれました」


「セントヘレナね……俺は、今でこそ落ち着いちまったが、昔は世界中を旅したものさ。セントヘレナでも世話になった人が居て、たった1年だったが、その人のクランメンバーになった」


「そうなんですか」


「おうよ! 少し前にギルドの仕事で、ヴァレンタイン王国へ出張した際、引退したその人の店に行って、飯を食った。美味かった!」


「それは良かったですね」


「ああ、俺は故郷のロドニア料理の方が断然好きだが、その店の料理は味付けがとても俺好みだった」


「成る程」


「肉と野菜がいっぱい、様々な調理方法で同じ皿に盛ってあってな! 名前は肉とか野菜セットとか言って、全くあか抜けなかったが……」


「あ、もしや、その店って英雄亭では?」


「そうそう、ディーノ君の言う通り英雄亭だ!」


「じゃあ、マスターが食べたその料理は、俺が考案して、ダレンさんと一緒に作った料理ですよ」


「そうか! 凄く美味かったよ、あの料理は! でもダレンさん? 君はダレン・バッカスさんを知ってるの? 親しいのかい?」


「ええ、ダレンさんは冒険者だった父親のふるい知り合いで、彼からは、俺はお前の親代わりだぞと言われました」


「お前の親代わりって……その旧い知り合いって、もしや俺と入れ替わりにクランへ入ったクレメンテ・ジェラルディの事かい?」


「ええ、クレメンテは俺の父親ですよ」


「おう、そうか! 俺はクレメンテに面識はないがな、名前だけは聞いたよ」


「そうなんですか!」


 という事で……

 ディーノとラディムの間で、話は盛り上がった。


 途中からエレオノーラも参戦、特にディーノが作った料理に関しては、

 いろいろと熱心に聞かれたのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 次に、本日ギルドへ訪問した趣旨、

 受諾可能な依頼に関し、ラディムへ尋ねる事となった。


 但し、依頼の問合せ、受諾等に関しては、

 本来はマスターが請け負う業務ではない。

 業務カウンターに控える現場のギルド職員の仕事である。


 しかしガイダル公爵家の家格、令嬢エレオノーラの父グレーヴも、

 ランクAの上級ランカーという事もあり、特別に対応してくれたに違いない。


「マスター! ぜひ討伐系の依頼を、ディーノと共に受けたいぞ!」


「了解です。ええっと……」


 ラディムが書類をめくって、確認するのを見て、

 ディーノはネリーの言葉を思い出した。


「まず、最も大人気なのが討伐系」

「ええ、ディーノ君みたいに実戦で、恐怖を克服し、己の腕を磨きたいっていう冒険者がわんさか居るから」

「遂行内容は……我々に仇名す悪魔、魔族、魔物、魔獣、不死者アンデッド等を掃討し、討伐料を受け取るもの、報酬は相手の強さや達成条件によって異なるわ。……それに人外だけではなく山賊など人間の討伐依頼もあります」


 つらつら考えるディーノの記憶は、ラディムの声で破られた。


「う~ん、討伐系で今あるものは、命を落としかねない超が付く高難度の依頼が多いです」


 すかさず喰い付くエレオノーラ。


「おおお! 命を落としかねない超が付く高難度か! マスター、ぜひ! ぜひ教えてくれっ!」


「りょ、了解致しました、エレオノーラ様。ええっと、ひとつは北方の火山に出現した凶悪なファイアドレイクの討伐ですね。完全討伐条件で報酬は金貨3,000枚。倒した後、奴の部位も高く売れます」


「おお! 凄いな、マスター、火竜討伐か? 文字通り燃える案件だぁ!! 他には?」


「はい! 次は西方にある放棄された古城に潜むと噂される吸血鬼の始祖と約500体の配下たる吸血鬼軍団の討伐。完全討伐条件で金貨4,000枚というのはどうでしょう?」


「おお! それも捨てがたい! そそるぞぉ!!」


「ええっと、もう少し楽なものでは、 石化の害為すコカトリスの大群約100匹を、完全討伐条件で金貨1,000枚ってのもあります」


「ふむ、まあ、私とディーノなら、片手間に遂行可能な、楽勝案件だな」


 ディーノと共に遂行する依頼とあって、エレオノーラはすっかり気が大きくなっているらしい。

 

 更にラディムは言う。


「実は、エレオノーラ様。冒険者達の間でディーノ君はちょっとした有名人です。自分も噂は聞いていますし、ギルドで情報も共有しています」


「ほう! 噂なら私も父上から聞いたぞ! マスター! ディーノが行ったゴブリン一万頭討伐の話だろう?」


「はい、それも確かにありますね」


「ん? それもとは?」


「実は別の噂もあります。同じくヴァレンタイン王国、楓村の隣村ポミエ村のオーク討伐です」


「な!? ポミエ村のオーク討伐? それは知らなかった! ディーノ! 本当か!」


 やはり……人の口に戸は立てられぬのであろうか?

 ディーノは仕方なく肯定する。


「まあ……一応」


「な、何故! 私へ言わない!」


 エレオノーラがディーノを責めるが、

 ラディムがフォローしてくれた。


「ははははは! ディーノ君は相当に奥ゆかしいようだ。……ポミエ村の村長が大々的に宣伝しているよ」


「ポミエ村の村長が大々的に?」


 今度はエレオノーラが尋ねた。


「はい、エレオノーラ様! ポミエ村は若き15歳の英雄ディーノ・ジェラルディがぜひにと立ち寄り、出現したオーク1,000頭を単独で討伐した! それゆえ風光明媚で安全な村だと! どうやら既存の宿屋を増築して、我がロドニアとヴァレンタインの中間地点として、観光客や商人達の宿泊を誘引したいらしいですな」


 ポミエ村村長のマチューは……ディーノの想像以上に策士だった。

 ディーノのオーク討伐を大袈裟に宣伝し、

 私費で出した金貨20枚をしっかり回収しようとしていた。


 しかしエレオノーラは、マチューの思惑を知る由もない。


「おおおおっ! オーク1,000頭を単独で討伐か! 凄い! 凄いぞ、ディーノ! では! どの依頼を受けようか!!」


 このままでは……

 エレオノーラがファイアドレイクか、

 吸血鬼始祖の討伐を安易に受けかねない。

 

 そこでディーノはペンディングを呼びかける。


「スタップ! エレオノーラ! それら以外、他の案件も含め、資料を良く読んで熟考しよう」


「えええっ!? 何故だぁ!! ディーノなら、全て、ちょちいのちょいの楽勝だろう?」


「いや、全てちょちいのちょいの楽勝ではないです。どれもマスターが仰る通り、命を落としかねない、超が付く危険な案件です。じっくり作戦を練り、受けるかどうか他の案件も含め、充分に検討しましょう」


 だが、ディーノの冷静な判断――「待った」は、

 エレオノーラには大いに不満らしい。


「ううう」


 犬のように唸るエレオノーラへ、ディーノはひと言。


「ほら、エレオノーラにかすり傷でも負わせたら大変だから」


「そ、そうか! 私の身を案じてくれるのだな! 嬉しいぞ、ディーノ! 愛してるぅ!!」


 とっさに行った作戦は成功、否、大成功した。

 すっかり機嫌が直ったばかりか、感極まったエレオノーラは、

 思い切りディーノへ抱き着いていたのである。

いつもご愛読頂きありがとうございます。


※当作品は皆様のご愛読と応援をモチベーションとして執筆しております。

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も宜しくお願い致します。

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