第200話「勇者という存在の現実」
『絶縁した幼馴染! 追放された導き継ぐ者ディーノの不思議な冒険譚』遂に通算200話更新です。
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その後、ディーノとエレオノーラも若手騎士達の朝練習に合流。
一緒に汗を流した。
騎士達はいつも宿舎の大広間で、本館から運んだ食事を摂る。
しかし今朝は、特別に許可が出て、グレーヴ父娘と共に朝食を摂っていた。
無論、ディーノも一緒である。
さすがに『お誕生日席』には座れない。
グレーヴとエレオノーラに誘われたが、固辞し、
ディーノは末席で騎士達と共に食事を摂っていた。
騎士達は完全にディーノの実力を認めていた。
飾らなく、奥ゆかしい性格も気に入ったらしい。
冒険譚好きな彼等は、楓村におけるゴブリン討伐の話を聞きたがる。
ヴァレンタイン王国よりも貴族と平民の距離が近いとも……
やはりロドニアは、『まず力を信奉する国』なのだと、
ディーノは改めて感じた。
やがて……
我慢出来なくなったと見え、エレオノーラがディーノを連れに来た。
強引に手を引っ張り、引きずって行く。
傍から見れば、完全なドナドナ状態に、騎士達は大笑いし、
口笛と祝福の喝采を送った。
これはもしかして……
グレーヴの愛娘支援の一環では?
既成事実を積み重ねて、型にはめられている?
そうディーノは思い、苦笑したが……無理に抗わなかった。
亡きアルドワンに続き、グレーヴを『父』のように『兄貴』のようにも感じていたからだ。
案の定というか、ディーノはやはり『お誕生日席』に座らされた。
そして、これもやはりだが……
グレーヴとエレオノーラから質問責めに遭う。
何故冒険者になったのかと魔法の事が主であった。
「死んだ父親も冒険者でしたし、自分の可能性を見極めたかったからです」
ディーノは簡潔に答えた。
グレーヴが言う。
「エレオノーラから聞いたが……ディーノは魔法を行使するそうだな? 使い魔も従えているとか? あの黒猫もそうなのか?」
さすがに魔人とか、地と風の使徒とか、ゴーレムを使うとか、
転移魔法とかは明かせない。
読心魔法や禁断の夢魔法など尚更だ。
しかしあまり隠し過ぎるのもいけないし、謙遜し過ぎも却って嫌味。
英雄亭の主ダレンの忠告も思い出した。
「ええ、あの猫は使い魔ではありませんが、人間に友好的な妖精です。使う魔法は召喚魔法に、風と火の魔法を少々」
「ふむ、凄いな! ディーノは召喚魔法を使う上、複数属性魔法使用者で、魔法剣士なのか?」
「マ、マルチプル!? 魔法剣士? す、凄いな!」
エレオノーラが驚くと、グレーヴもうんうんと頷いた。
「ああ、凄い。ディーノの力は勇者級かもな」
……勇者級と聞き、ディーノは反応する。
楓村でもブレーズからそう呼ばれたが、ディーノは勇者という言葉にあまり良いイメージを持っていなかった。
様々な古の伝承、実際に起きた悲惨な事件、厳しい事実、現実からディーノは認識していた。
最終的に人々は勇者の底知れぬ力を畏怖し、敬遠する。
結果、勇者の行く末は、幸せとはほど遠いものが多い。
命まで懸け、戦った代償を受け取るどころか……
ある者は闇に葬られ、ある者は逃亡し、ある者は名と姿を変え、ある者は追放されて……誰もが二度と世の為に戦う事はなかった。
「いや……勇者級は勘弁です。俺の能力はここだけの話にしてください」
ディーノが言うと、グレーヴはディーノの気持ちを理解してくれたらしい。
話が重くならないよう、敢えて軽く、笑い飛ばしてくれた。
「分かった、分かった。だが普通、冒険者は名を売ってなんぼだ。それを知られたくないってのは真逆だな、はははは」
だが、エレオノーラも、『勇者という存在の現実』を充分知っているようだ。
「良いんだ、父上。勇者などと、もてはやされ、都合の良いようにこき使われてはいけない。私にとって、ディーノは大切な想い人、幸せに長生きして欲しい」
「そうか……」
幸せに長生きして欲しい……
エレオノーラは亡き母の事を言っているのかもしれない。
その証拠に……
「父上!」
「何だ、エレオノーラ」
「いきなりだが、父上は母上に甘かったのだろう?」
「……ああ、大甘だったな」
グレーヴが答えると、エレオノーラはきっぱりと言い切る。
「ならば、ディーノもそうだ!」
「おう、そうなのか? ディーノはお前に甘いのか?」
「ああ、大甘だ! 私を助けてくれた時は勿論、先ほどの訓練もそうだ。無理やり私に合わせてくれた! 私に甘いんだ、大甘なんだディーノは!」
エレオノーラは……
改めてディーノが自分を助けてくれた事に感謝していた。
そして運命の出会いだとも感じていた。
グレーヴは自分と亡き妻を、
ディーノと愛娘に再び重ね、微笑んだ。
「そうか、良かったな、エレオノーラ」
「いや、良くないぞ、父上!」
「おっ? 良くないのか?」
「うむ! 私はもっともっと頑張る! ディーノと肩を並べたい! いや支えて行きたい!」
「おう、そうか! 頑張れ! エレオノーラ!」
「ああ、父上! 私もディーノと同じだ! 自分の可能性を見極めたい!」
グレーヴの温かいエール。
対して、エレオノーラの健気な決意。
そんな父娘の会話を聞きながら、ディーノは思う。
人生は出会いと別れ……
この先はどうなるのか分からないと。
しかし、エレオノーラとグレーヴ……
ふたりに出逢って、本当に良かったと、
ディーノは心の底から実感していたのである。
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