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第198話「父の思い」

⛤特報! 『重版』決定!!


『魔法女子学園の助っ人教師』

◎コミカライズ版コミックス

《スクウェア・エニックス様Gファンタジーコミックス》

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皆様のご愛読と応援により

コミックス第3巻の『重版』が決定致しました!

ありがとうございます。

書店様で、ぜひお手にお取りください。

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「婚約だ! ディーノと婚約だ!」


 浮かれまくるエレオノーラ。


「やれやれ」と苦笑したディーノ。


 そして同じく苦笑したグレーヴが、

 「さっ」と手を挙げた。


「皆、お疲れ! 今夜は解散だ!」


「は! 閣下!」

「団長! 了解です!」

「腕相撲とはいえ、他国の冒険者と対外試合をして励みになりましたっ!」

「お嬢様と奴の試合、見応えがありました!」

「また明日の訓練、宜しくお願い致しますっ!」


 闘技場へ集まっていた騎士達は、皆、満足したらしく笑顔で引き揚げて行く。

 自宅へ戻る者以外は、ガイダル邸内にある騎士宿舎で寝泊まりしているようだ。

 エレオノーラから、ディーノはそう聞いていた。


 そのエレオノーラは鼻を鳴らし、頬を染め、

 甘えまくって、ディーノにぴたりとくっついている。


 子供のような愛娘を見て、グレーヴがにこにこしながら、近付いて来た。


「おう、ディーノ。娘を始め、ウチの奴らに付き合ってくれてありがとな! さすが実戦で鍛えたランクA冒険者だ」


「どうも……」


 ディーノがぺこりと頭を下げると、グレーヴはぐいっと身を乗り出した。


「で、だ! ぜひ話したい事がある。男同士の話だ!」


「これからですか?」


 もう結構な時間が経った。

 あと、数時間で日付けが変わる。


 しかしグレーヴは問題なしという顔付きだ。


「ああ、そうだ。じっくりとな!」


「……分かりました」


 ディーノがOKすると、エレオノーラがグレーヴを呼ぶ。


「父上!」


「何だ? エレオノーラ」


「大事な話なら私も同席する! わ、私は! ディーノとの将来を父上と相談したいのだ!」


「ふむ、分かった。その話は改めてしよう。……だが、今夜は別の話だ。俺は、ディーノと、ふたりだけで語り合いたい」


 きっぱりと言い切るグレーヴ。

 だが、エレオノーラは諦めきれない。


「で、でも……」


「エレオノーラ! 父の言う事が聞けないのか?」


 ガイダル家では父の言う事は絶対である。

 エレオノーラは力なく項垂れた。


「は、はい……エレオノーラは、父上に従います」


「うむ! 良い子だ。自分の部屋へ戻れ、そしてぐっすり寝ろ、明日も早い」


「はいっ!」


 エレオノーラが元気を取り戻し、返事を戻すと、

 グレーヴはディーノへ向き直る。


「じゃあ、ディーノ。お前は俺の書斎へ来い」


「了解です」


 こうして……

 ディーノはエレオノーラの父グレーヴ・ガイダル公爵と、

 『サシ』で話す事となったのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 書斎に入って、ふたりきりになると、

 グレーヴは申しわけなさそうに、深々と頭を下げた。


「すまんな、ディーノ」


 グレーヴが謝ったのは、エレオノーラの『押しかけ』に違いない。

 悪意からではないので、ディーノは首を振った。


「いえ……」


「前にも言ったが、あいつは男に免疫がない。思い切り突っ走ってしまったな」


 ……何か、グレーヴから大事な話がある。

 「ピン!」と来たディーノは、しばらく聞き役に撤する事にした。


「…………」


「エレオノーラはな、母親にそっくりなんだ」


 グレーヴはそう言うと目を遠くした。

 ふるい記憶を手繰たぐっているようだ。


「…………」


「俺はな、あいつの母親と、親同士の義理で見合いをした」


「…………」


「結果……俺が、惚れたんではなく、彼女に惚れられちまってな。今のエレオノーラと同じで一直線だった」


「…………」


「これまたディーノ、今のお前みたいに、俺が何となく曖昧あいまいにしていたら、一気に寄り切られちまったよ。最終的には俺の方もベタぼれしたが」


「…………」


「結婚した彼女、俺の妻、つまりエレオノーラの母親の名はアレクサンドラといってな、美しくて可愛い……笑顔が素敵な女だった」


「…………」


「だが……エレオノーラが幼い頃、流行病はやりやまいで呆気なくっちまった……数多の名医に、様々な回復魔法、おびただしい高価な薬、散々手を尽くしたが、結局駄目だった」


「…………」


「最後に……俺を愛してる……エレオノーラを頼むと言い残してな……アレクサンドラは逝っちまった……」


「…………」


「俺はな! エレオノーラが可愛い! 可愛くて仕方がない! 亡き妻そっくりの忘れ形見という事もある!」


「…………」


「エレオノーラの幸せの為に……無理やりお前と結婚させるよう、公爵の地位を使う事も出来る!」


「…………」


「しかし俺はやらん!」


「…………」


「すまん……まあ、いざとなったら、やるかもしれん。100%は約束出来ない」


「…………」


「だが、ディーノ。お前の気持ちも大事にしたい。お互いに好き合って惚れ合って、結ばれるのが一番だと思うからだ」


「…………」


「……ディーノ。実際、お前はどうなんだ? エレオノーラをどう思う?」


 グレーヴに聞かれ、ディーノは言葉を選びながら答える。


「はあ……ちょっと強引なところはありますが……エレオノーラ様は、真っすぐで素敵なお方だと思います」


 ディーノの言葉を聞いて、思わずグレーヴは笑ってしまう。


「ははは……エレオノーラ様は強引だが、真っすぐで素敵なお方、か。確かにそうだ!」


「はい、申しわけありません。言葉が過ぎました」


「いや、構わん。俺もそう思ってる。それより、様とか、お方とか……ディーノは身分の差を気にしているのか」


「はい。それは確かにあります。やはり公爵家令嬢と平民の冒険者では、いろいろと支障が出ると思います」


「ふむ……お前なら、俺の息子に……つまり養子にしても構わないと思うが……もしや、貴族にとか、そういう話が以前にもあったのか?」


 やはりグレーヴは勘が鋭い。

 

 キャルヴィン・ライアン伯爵からの『提案』を全て話す事は出来ないが……

 ディーノは正直に答える事にした。


「はい……実はお誘いがありました。しかし全てお断りさせて頂きました」


「やっぱりか! 貴族家の養子話とか、普通の平民なら喰い付いて来るところだが……お前は全然反応が薄いからな」


「はあ……」


 ディーノが曖昧に返すと、グレーヴは再び勘の良さを発揮する。


「うん! お前は欲が無いというか……やりたい事がある、とか。いや! やらねばならぬ事があるんだな?」


「はい! あります! 詳しくは言えませんが……俺は何人もの遺志を受け継ぎました。世の為に役立てて欲しいと託されました」


「ふむ! お前は自分の生き方をしっかり持っているんだな。ますます気に入った!」


「ええ、べたで、青臭いのですが……聞いて下さい」


 ディーノはそう断ってから、グレーヴへ告げる。


 広大な未知の世界を見たい! 

 愛する真の『想い人』巡り会いたい! 

 自分が何者なのか、何を成し得るのか? 

 そして限界を突破出来るのか? 

 いろいろ知りたいと!


 ディーノのこころざしを聞き、グレーヴは嬉しそうに笑う。


「ははははは! 素晴らしいな、お前は! エレオノーラが惚れるのも分かるぞ」


「…………」


「ディーノ! お前といろいろ話せて良かった! しかしやはり、愛する娘の父として、お前に頼みがある!」


「頼み……ですか?」


「おう! お前はしばらくロフスキに滞在するのだろう? その間だけでも、エレオノーラと付き合ってやってくれ」


 エレオノーラと付き合う……

 とても微妙な言い回しである。


 一瞬考えたが、ディーノは了解する。


「…………分かりました」


「助かる!」


 ディーノがOKしたのを聞き……

 グレーヴは再び、深く頭を下げたのである。

いつもご愛読頂きありがとうございます。


※当作品は皆様のご愛読と応援をモチベーションとして執筆しております。

宜しければ、下方にあるブックマーク及び、

☆☆☆☆☆による応援をお願い致します。


東導号の各作品を宜しくお願い致します。

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