第191話「瞬殺再び」
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アウグストの従者が、どこかから空き樽を調達して持って来た。
その空き樽の上板に腕を載せ、ディーノとアウグストの腕相撲勝負は行われていた。
ふたりの傍らでは、美少女騎士エレオノーラ・ガイダルが腕組みをして立ち、
満面の笑顔で「よしよし」と頷いている。
ぶひひひひひん!
彼女の愛馬サフィールも嬉しそうに、いなないている。
そして3人の周囲を野次馬と化した黒山の人だかりが取り囲んでいた。
どむ!
「ぐあ!」
どむ!
「ぐあ!」
どむ!
「ぐあ!」
歴史は繰り返される……という。
どむ!
「ぐあ!」
どむ!
「ぐあ!」
一度ある事は二度あり、三度ある……という。
ポミエ村で少年ダヴィド相手にディーノは腕相撲勝負をした。
それが今、繰り返されていた。
但し、勝負が行われている場所、相手、シチュエーションはまるで違う。
ここはポミエ村ではなく、ロドニア王国王都ロフスキの街の中。
対戦相手はポミエ村のダヴィドではなく、ロドニア貴族で騎士のアウグスト・フルスティなのである。
そしてこの勝負にエレオノーラの結婚がかかっている?
結果は当然……
ディーノの圧勝そして連勝だった。
しかしダヴィド同様、アウグストは諦めようとしない。
「もう良いっすか、アウグスト様。これで俺の50戦50勝。勝負は完全についたと思いますけど」
「い、いや! ま、まだだっ!! も、もう一回!!」
どむ!
「ぐあ!」
これでディーノの51戦51勝。
さすがに、ディーノは嫌になって来た。
エレオノーラも同じらしい。
いきなり手を挙げ、大声で叫んだのである。
「皆の者ぉ! 私エレオノーラ・ガイダルの代理、冒険者ディーノ・ジェラルディは、アウグスト・フルスティに対し、一方的に圧勝したぁ! 間違いないなっ! お前達が証人だなっ!!」
「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおお~~」」」」」~っ!!!」
野次馬と化していた群衆は応えた。
エレオノーラの問いに対し、大歓声で「イエス!」と応えたのである。
こうなると……
さすがにアウグストと従者達は、敗北を認めざるをえない。
この場にも留まれない。
「ちっきしょ~!! パパ達にぃ! パパにもママにも言いつけてやるう~~!!!」
アウグストは絶叫して捨て台詞を吐き、
従者ふたりと共に、ダッシュして駆け去ってしまったのである。
「はあ~~あ……」
そしてディーノは、大きくため息をついたのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ぱっかぽこ!
ぱっかぽこ!
がたがたがたがた……
ぱっかぽこ!
ぱっかぽこ!
がたがたがたがた……
相変わらずディーノが走らせる馬車の傍らには、
サフィールに騎乗するエレオノーラが居た。
今度はエレオノーラがやや前に位置し、
ディーノの御する馬車を先導する形である。
今ふたりは……
エレオノーラの屋敷へ向かっている。
そして馬車の荷台では……
相変わらずジャンが、必死に笑いをこらえていた。
「あの~」
「何だ?」
「どうしても俺、エレオノーラ様の屋敷へ行かないとダメっすか?」
「ああ、駄目だ! お前は私の父上に会うのだ!」
「お父上に、俺を会わせるって……どうするつもりなんですか?」
「うむ! お前を私の父上に紹介する!」
適齢期の娘が……
男を自分の父親に紹介する?
何か嫌な……
否! とんでもなくヤバイ予感しかしない……
憂鬱なディーノを尻目に、
違う『予感』をエレオノーラは、のたまう。
「うむ! 断言出来る! 今、私の予感は確信に変わったぞ!」
「予感が確信にって……エレオノーラ様は、一体何を言ってるんすか?」
「決まっておる! ディーノ……お前は凄い逸材……否、稀有で底知れぬ大器だという事だ!」
「大器なんてとんでもない……錯覚です。俺はそこらにたくさん居る、ただの冒険者っす」
「錯覚ではない! そこらにたくさん居る、ただの冒険者が……アウグストに腕相撲で51戦51勝はありえない!」
「たまたまっす」
「いや! たまたまではない! ありえない! 私は一部始終を見ていたが、全てが1秒以内の瞬殺だぞ。あの親離れしない情けない体たらくでも! アウグストは、馬上槍試合などの大会で何度も優勝している猛者なのだ」
「成る程……あの人、言うだけの事はあったんですね」
「まあな……だがディーノ。お前は、50回以上、腕相撲をして、息も全然上がっていない。涼しい顏をしているではないか」
「一応……ランクAですから……」
話がヤバい方向に加速しているので……
ディーノはランクを持ちだし、ブレーキをかけた。
しかし、エレオノーラは悪戯っぽく笑い、首を振った。
「いや、ランクAとかそういう話ではない! 私は父上の関係上、ランカー冒険者を何人も知っている。ランクSもAの実力も見たが、お前の力はスケールが違い過ぎる」
「え? 貴族のお父上が冒険者を? どういう意味っすか?」
「ふふふ……父上に会えば分かるさ」
「…………」
ディーノは言葉を戻さなかった。
考えたのだ。
まあ、良い。
覚悟を決めた。
とりあえず、エレオノーラの父に会う。
会って、現状を話し、娘の理不尽さを認識して貰い、
すぐに解放して貰おう。
それしかない!
聞けば彼女の父は、グレーヴ・ガイダルという公爵家の当主。
上級貴族なら!
少なくとも……
娘のエレオノーラよりは常識的なはず……
しかし……
ディーノの淡い『期待』は、その後、見事に打ち砕かれてしまうのである。
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