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第188話「興味を持った×2」

⛤特報! 『重版』決定!!


『魔法女子学園の助っ人教師』

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「という事で、馬、返しますんで」


「あ、ああ……」


「俺素人だし、パッと見ですけど、馬は怪我していませんし、体調も良いと思いますよ」


 ひひひん!


 ディーノの言葉に応えるが如く、馬は再び元気にいなないた。


「じゃあ、どうぞ」


 ひひひん!

 ぶるぶるっ!


 別れ難いように馬は、手綱を握ったディーノへ鼻面をすり寄せる。

 その様子を見て、エレオノーラは腕組みをし、首を傾げる。


「う~む」


「どうしました?」


「……お前、何者だ? そして連れて行った犬どもはどうした?」


「何者って……冒険者ですけど。それと犬たちは帰しました」


「か、帰した?」


「はあ、2匹は使い魔なんで、ロフスキ入場の際、余計な事を突っ込まれたくありません。なので異界へ帰しましたけど」


「むうう、使い魔……そ、そうか! じゃ、じゃあ! 自称ではなく、正式な冒険者なら! ギルドの登録証を持っているはず……見せてみろっ!」


「はあ……どうぞ」


 仕方なくという感じで差し出したディーノの登録証を、

 ケンカ腰のエレオノーラは、ひったくるようにして、受け取り、眺めた。


 登録証を見た瞬間!

 エレオノーラの双眼が、驚きのあまり大きく見開かれる。


「えええええええええっ!!! ラララ、ランクAだとぉぉ!!」


 ぶひひひん!

 ひひひんん!!


「あの……エレオノーラ様の大声で、馬が二頭ともびっくりしてるんですけど……」


 しかし、ディーノの注意は、エレオノーラへ全く届いていない。


「ふ、ふざけるな! お前本当にランクAか!」


「はあ、ヴァレンタインの王都支部でギルドマスターに認定して貰いました」


「な、何! じゃあ、あのアールヴに! み、認められたのかっ!」


「はあ……はい、あのアールヴにです。知ってます? ミンミさんを」


「あ、当たり前だ! 冒険者ギルドランクSの剣聖、炎の飛燕ひえんミンミ・アウティオを知らぬ剣士などモグリだ!」


「成る程……じゃあ、登録証を返してください。こっちは馬返しますから騎乗してくださいよ」


「あ、ああ……」


 エレオノーラがどうにか返事をすると、ディーノは彼女の愛馬の首、そして頬にそっと優しく触れた。

 ディーノに触られた馬はおとなしく……というか気持ち良さそうに目を閉じていた。


「ううむ……」


 再び唸りながら、馬車を降りたエレオノーラ。

 ギルドの登録証を返し、ディーノから馬を受け取ると、

 あぶみに足をかけ、ひらりと跨った。


 跨ったエレオノーラを見て、頷いたディーノは、

 入れ替わりに馬車の御者台へ乗った。


「じゃあ、そういう事で。ご無事にご自宅へお帰り下さい。ほい、お疲れさん、こっちも行こうか」


 そして、馬を労わると、出発を促したのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 ぱっかぽこ!

 ぱっかぽこ!


 がたがたがたがた……


 ぱっかぽこ!

 ぱっかぽこ!


 がたがたがたがた……


 ロドニア王都、ロフスキへ向かう石ころだらけの街道に……

 馬のひずめと馬車の車輪が軋む音が交錯していた。


「あの~」


「何だ?」


「走りにくいっす。俺、のんびりマイペースで行きますから、真横に居ないで、とっとと先に行ってくださいよ」


「嫌だ!」


「え~、嫌だって……困るなあ」


「困る? 何を言う。こんなに美しく凛々しい私が、わざわざ並走してやっているのだ。ありがたく思え!」


「はああ……またか」


 まるでステファニーと話しているようだと、ディーノは思った。

 

 エレオノーラはディーノの言葉尻を捉え、敏感に反応する。


「またかとは、何の事だ?」


「何でもありまっせん!」


 というわけで……

 放馬し、難儀していた少女騎士エレオノーラ・ガイダルは、

 ディーノが走らせる馬車の真横をぴたりと並走していた。


 思わずディーノは大きなため息を吐く。


「はぁ……どうして、俺に着いて来るんですか?」


 対して、即座にエレオノーラが答える。


「簡潔明瞭な理由だ!」


「簡潔明瞭?」


「ああ、そうだ! 理由その一、私エレオノーラはお前に興味を持った! 理由その二、私の愛馬サフィールもお前に興味を持った! 以上だ!!」


「そうですか……俺はエレオノーラ様にもその馬にも、ぜんぜんっ! 全く興味が無いんですけど」


 みし!

 エレオノーラの眉間によった怒りのしわが、不気味な音を立てたように、

 ディーノには聞こえた。


 そして、馬のサフィールも、

 ぶるぶるっ! と憤怒の波動を送って来る。


「おい、ディーノ。お前、何かとんでもない事を言わなかったか! 私とサフィールを凄く凄く侮辱したような事を!」


「何も言ってまっせん!」


「宜しい! 聞け、ディーノ!」


「何でしょう」


「うむ! 我が愛馬サフィール号は、私にしかなついていなかった。それがどうだ! 何と初対面のお前に懐いた! これほど驚く事があるか!」


「そうっすか」


「ああ! サフィールは私に全く似ず気難しい牝馬でな。頑固で天邪鬼、加えて人間嫌い! いや、大の男嫌いだったのだ!」


「そうっすか、あるじにそっくりな馬だと思いますが……」


「おい、ディーノ。お前また、何かとんでもない事を言わなかったか!」


「全然! 何も言ってまっせん!」


「おい、ディーノ!」


「何度も呼んで、何すか?」


「見よ!」


 エレオノーラはいきなり被っていた『鼻あて付きの兜』を後方へ投げ捨てた。

 端麗な素顔が露わになり、美しい金髪が流れるように輝いた。


「まずは礼を言う! ありがとう!」


 エレオノーラは晴れやかに笑い、愛馬サフィールの上で、

 「えっへん!」と胸を張った。


 彼女は自分の顔立ちに、とんでもなく自信があるのだろう。


「ディーノよ、どうだ! 私の美しさは! 国中から、嫁になってくださいと、言い寄る男がい~っぱい居るのだぞ!」


 しかし……

 ディーノの反応は極めて薄かった。


「そうっすか」


「何だ! 相変わらず、そのうっすい反応は!!」


「そう言われても……俺とエレオノーラ様は身分が違いすぎますし、何がどうなるわけでもないので、正直どうでも良いっす」


「ぬぬぬぬぬ! な、何だと! おい、投げた兜を取って来い! 今すぐにだっ!」


「もう、だったらカッコつけて投げ捨てないでくださいよ」


 ぶつぶつ言いながら、ディーノは一旦馬車を停めた。

 御者台から飛び降りると、エレオノーラの兜を拾い、彼女へ返した。


 そして止まった馬車の荷台では……


「あいつ、またも女難だ!!」と、 


 ケルベロス達が懸命に笑いをこらえていたのである。

いつもご愛読頂きありがとうございます。


※当作品は皆様のご愛読と応援をモチベーションとして執筆しております。

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