表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

184/337

第184話「次の地へ……」

⛤特報! 『重版』決定!!


『魔法女子学園の助っ人教師』

◎コミカライズ版コミックス

《スクウェア・エニックス様Gファンタジーコミックス》

☆最新刊『第3巻』大好評発売中!


皆様のご愛読と応援により

コミックス第3巻の『重版』が決定致しました!

ありがとうございます。

書店様で、ぜひお手にお取りください。

※宜しければ小説版《ホビージャパン様HJノベルス刊》第1巻~7巻もあわせてお読み下さい。

 翌朝……

 ポミエ村の正門前にはすでに村民達がいっぱいだった。

 旅立つディーノを見送ろうと集まって来たのである。


 やはり……

 一昨日のバーベキューパーティーが大きかった。

 ディーノが村民達と直接やりとりした事が、心の距離を縮めていた。


 そもそも楓村やポミエ村のような小村は安全上『よそ者』を嫌う。

 街道から村道を設け、少し離れたところ土地を開いてに住むのは、

 耕作地が狭くなるからという理由だけではないのだ。


 村民は基本、排他的であり、最初から喧嘩腰だったダヴィドの反応は、

 至極真っ当なものと言えよう。


 さてさて!

 旅支度が終わり、戦友3人も馬車へ乗り込んでいる。

 御者台に座ったディ―ノへ次々に声がかかる。


「オークどもを倒してくれてありがとなぁ!」

「坊主! また来てくれよぉ!」

「今度は俺っちが、いっぱいご馳走してやる。焼き立て鹿のステーキなんかどうだ?」


 村民達の傍らで、村長のマチューも満足そうに頷いていた。

 

 マチューのへそくり……

 秘蔵の金貨は、だいぶ減ってしまった。

 だが、脅威となるオークは殲滅され、村民達はとても前向きに、

 そして気持ちがひとつになった。

 だから、金貨20枚など安いもの。

 いざとなれば、必要経費として領主様に請求するか、

 納める税金から引いて貰えば構わない。

 そう、ちゃっかりと計算していた。


 一方……

 出発するディーノの姿を寂しそうに見守るのは、やはり助けて貰ったノエルとアニエスの母子である。


 昨夜3人は夕食をともにした。


 あまりにもディーノが美味そうに食べるので……

 腕によりをかけて料理を作ったノエルはとても嬉しくなった。

 傍について、かいがいしく給仕をするアニエスもず~っと笑顔だった。


 しかし食事の後、ディーノはふたりへ、旅立つ事を告げたのである。

 別れを告げられてから、ず~っとアニエスの表情はさえない。

 ノエルも同様である。 


「うう、お兄ちゃわん、やっぱり行っちゃうんだ……」


「ええ、アニエス。来てすぐに行っちゃうなんて、せっかく仲良くなったのに、とても寂しくなるわよね」


「うん……ママも、お兄ちゃわんの事が好きでしょ? アニエスは、お兄ちゃわん、大大大好きなんだもん……」


 そんなふたりに対し、アルバンが笑いながら言う。

 普段から母子とは仲が良いらしい。


「おい、ノエル」


「何?」


「お前、いっそのこと、逆ナンしてディーノの嫁になっちまえ。確か、年下でもOKとか言ってたよな」


「はあ? 何言ってんのあんたは」


「そうだよ! お兄ちゃわんのお嫁さんは、私がなるんだからあ!」


 アニエスが不満そうに頬を膨らませると、アルバンは手をひらひらと振った。

 否定の意思表示である。


「駄目駄目。アニエスはあと8年経って16歳にならないと結婚は無理だ。あいつは15歳だと言っていたから、8年後ならばお似合いかもしれんな」


「う~! い~っだ! アルバンの馬鹿ぁ!」


 思いっきり舌を出したアニエスを、ノエルはたしなめる。


「ほらほら、アニエス。ディーノさんが出発するわよ」


 母に言われ、アニエスの顔はくしゃくしゃ。

 目には大粒の涙が浮かんでいた。


「あああっ! お兄ちゃわんが行っちゃう! ううう~」


「泣かないの、アニエス」


「ママぁ……」


「世の中にはね、私達みたいにディーノさんの助けを、今か今かと待っている人がきっと居るわ」


「ママ……」


「アニエス、聞いて。確かに別れは辛い。けれど、ママはね。そんな人がひとりでも多く助かって欲しい! ディーノさんと出会って欲しい! そう思うの」


「……う、うん! 分かった! アニエスはね! 元気良く見送る!」


「ええ、そうしましょ! それにまた、ディーノさんにはきっと会える。そんな気がするわ」


 愛娘を慰めながら、ノエルも瞼の裏がじんと熱くなる。

 

 実はノエルにも、ジェトレ銀河商会の会頭クロティルド同様に、

 幼い頃、死に別れた弟が居た。

 姉思いの弟で、いつも自分をかばってくれたという思い出がある。


 今更ながら思う。

 ディーノの姿に……

 彼の優しい微笑みに、亡き弟を重ねていたやもしれない。

 

 いや……亡き弟が創世神様へお願いして、ディーノを遣わしてくれた。

 そして、危機に陥った自分と娘を守り、命を救ってくれた。

 

 きっとそうに違いない。

 絶対!!


 つらつらと考えるノエルの思いは、ディーノが告げる別れの声で破られる。


「では、皆さぁん! さようならぁ! また来ますよぉ!」


 慌てたノエルはアニエスを促し、他の村民達と一緒に声を張り上げる。


「さようならぁ! ディーノさぁん!!」

「お兄っちゃわ~ん!! ばいば~い!!」


 別れを惜しむ声の中……

 ダヴィドにより、村の門が大きく開け放たれる。


 ゆっくりと出て行く馬車を、見送りながら……

 

「ディーノさん、また会いましょ! 必ずね!」


 ノエルは愛娘と共に、大きく手を打ち振っていたのである。

いつもご愛読頂きありがとうございます。


※当作品は皆様のご愛読と応援をモチベーションとして執筆しております。

宜しければ、下方にあるブックマーク及び、

☆☆☆☆☆による応援をお願い致します。


東導号の各作品を宜しくお願い致します。

⛤『魔法女子学園の助っ人教師』

◎小説版第1巻~7巻

(ホビージャパン様HJノベルス)

大好評発売中!


◎コミカライズ版コミックス

(スクウェア・エニックス様Gファンタジーコミックス)

☆最新刊『第3巻』大好評発売中!!

書店様で、ぜひお手に取ってご覧ください。

第1巻~2巻も大好評発売中!


特報!

皆様のご愛読と応援により

コミックス第3巻の『重版』が決定致しました!

ありがとうございます。

書店様で、ぜひお手にお取りください。


※月刊Gファンタジー大好評連載中《作画;藤本桜先生》

☆『8月18日発売』の月刊Gファンタジー9月号に最新話が掲載されております。

一見超ドライでも本当は優しいルウ、可憐なヒロイン達の新たな魅力をお楽しみください。


また「Gファンタジー」公式HP内には特設サイトもあります。

コミカライズ版第1話の試し読みも出来ます。

WEB版、小説書籍版と共に、存分に『魔法女子』の世界をお楽しみくださいませ。


マンガアプリ「マンガUP!」様でもコミカライズ版が好評連載中です。

毎週月曜日更新予定です。

お持ちのスマホでお気軽に読めますのでいかがでしょう。


最後に、連載中である

「帰る故郷はスローライフな異世界!レベル99のふるさと勇者」

「幼馴染と永遠に別れた俺は、辺境小国の王子に転生! 戦い、開拓、恋愛、信長スキルで何でもござれ!」

も宜しくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ