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第175話「私が餌!?」

⛤特報! 『重版』決定!!


『魔法女子学園の助っ人教師』

◎コミカライズ版コミックス

《スクウェア・エニックス様Gファンタジーコミックス》

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コミックス第3巻の『重版』が決定致しました!

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書店様で、ぜひお手にお取りください。

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 ディーノは左手を水平にし、ステファニーをかばう。

 更に、右手で素早く剣を抜き放つ。


「はっ!」


 裂ぱくの気合とともに、魔力を込めた剣からは魔法風の塊が放たれる。

 ステファニーが楓村でも目撃した、ディーノが行使する風の魔法剣である。


 どしゅ!どしゅ!どしゅ!どしゅ!


 連続して放たれた重い風の塊は容赦なくオークどもを打ち倒した。

 どす黒い血がまき散らされ、粉々になったオークの身体が散乱する。


 ステファニーは、思わず口笛を吹く。


「ひゅう! 相変わらず、やるじゃん、ディーノ」


「まあ……」


 どしゅ!どしゅ!どしゅ!どしゅ!


「ディーノ! あんた、魔法剣の威力増してない?」

 

「まあ……」


 例によって、ディーノは淡々と、そして曖昧に返事をしながら、魔法剣を撃ち続ける。

 オークどもは続々と、肉塊になって行く……


「相変わらず、うっすい返事ね! 凄いじゃない、あんた!」


「まあ……」


 どしゅ!どしゅ!どしゅ!どしゅ!


 そうこうしている間に……

 オークの数は半分以下に減った。


 ステファニーの言う通り、ディーノが行使する魔法剣の威力は増している。

 魔力の加減も慣れて来た。

 まだディーノが魔法を撃ち始めて、ものの5分も経っていない。


 しかし……

 屋敷から無理やり転移させられた素手のステファニーは拳を振りかざすだけ、

 出番が全く無い。


 こうなると、手持ち無沙汰となり、ステファニーは焦れて来る。


「ちょっとぉ、ディーノぉ! 私にもオーク、残しときなさいよぉ!」


「大丈夫っす……まだその巣にたくさん居ますよぉ」


 ディーノが指さした洞窟……

 オークの巣らしいのだが、ステファニーにも感じる。

 何やら気配がするのだ……


 間を置かず、そんなステファニーの期待に応える?ように、

 洞窟から、わらわらと新手のオークどもが現れる。


 と、その時。

 ディーノの心に警告が告げられる。


『ダーリン、どいてっ!』


『!!』


 瞬時に危険を察知したディーノは素早く下がり、ステファニーを横抱き、

 飛翔魔法を行使、勢いよく後方に飛び上がる。

 3mくらいの木、その梢に立った。


 ディーノに抱かれながら、ステファニーは絶句している。


「あ、あ、あんたっ!? ディーノっ!? い、い、今! と、飛んだ!?」


 対して、ディーノは淡々とぽつり。


「はあ……飛びました」


「な、何でよ~~っ!!! 何故飛べるのよ~~っ!!!」 


 人間が空を飛ぶ!?

 それもディーノが空を飛ぶ!?

 し・ん・じ・ら・れ・な・い!!


 とんでもない展開に絶叫するステファニー、


 と同時に!

 

 どっがああああああんんん!!

 ぐっちゃあああああっ!!!


 左右と高さが10mはあろうかという、鉛色のごつい巨石が飛んで来て、

 不気味な音と引き換えに、あっさりとディーノ達へ迫るオークどもを圧し潰した。


 ひと呼吸置き、小柄な身体をくるくる回転させながら飛来。

 革鎧姿の小柄な少女がひとり、飛んで来た巨石の上に、軽々と降り立つ。


 そう!

 異界から巨石を呼び出し、オークの群れへ飛ばしたのはヴィヴィであった。

 そして自身は宙を飛び、飛ばした巨石に降り立ったのである。


 ディーノが見やれば、ヴィヴィはウインクし、ひらひらと手を振っている。


「ヴィヴィ様!」


 思わず肉声で叫んだディーノ。


 しかし!

 いびつな愛の想い人たるディーノが、自分と違う女子の名を呼んだ事を、

 ステファニーは敏感に反応した。


 口調に怒りがこもっている


「はあ!? ヴィヴィ? 誰よ、それ?」


 だが質問に答えたのは……聞かれたディーノではなかった。

 ステファニーの心へ、聞き覚えのない声が聞こえて来る。


『私だよ、餌っ子。たっくさんオーク呼んでくれてありがと~、お陰でまとめて倒せたわ~』


 答えたのはヴィヴィである。

 言葉に怒気を含んでいる。


 一方、『念話』を全く知らないステファニーは当然慌てた。

 もしやと思い、巨石に降り立った少女をにらみつける。


『え、え、餌っ子!? な、な、何よっ!? 意味分かんない!!』


 しかし!

 更に馬鹿にしたような声が、ステファニーの心を追っかけて来た。


『ふん! まだ分かんないの? あんたを餌にして、女に目が無いオークを釣ってたのよっ!』


『な、何だとぉ!!! わ、私が餌ぁ!!』


『はん! きょどるんじゃないよ! そんなタマじゃないだろ、バ~カ!』


 謎の声から、一方的に罵られ……

 わけがわからないままも、ステファニーはさすがに「切れた」

 遠く離れた巨石上の少女へ叫び返す。


「な、何よっ! やっぱ、あいつなのねっ! そ、そっちこそ、ふざけんじゃないわっ!!」


「は~い! 全くふざけてませんから~、アホの餌っ子ぉ!!」


 今度は、念話ではなく肉声であった。

 当然先ほどからと同じ声である。

 やはりというか、巨石に降り立った少女――ヴィヴィが発していた。

 こうなると、完全に挑発である。


 遂に両巨頭は対峙した。

 竜虎の対決といって過言ではない。

 ちなみに、どちらもディーノの想い人を自称している。

 

 という事で、ターゲット、ロックオン!

 ステファニーの怒りが絶頂に達して、

 目は血走り、真っ赤な口が「くあっ」と開いた。


「あの、ガキあまぁ~!! チンケな癖に生意気なぁ!! よ~し、そこで待ってろ!! ぶっ殺してやるっ!!!」


 しかし……

 ステファニーが暴れて、バタバタしても……

 ディーノはがっちりと彼女を抑え込んでいた。


「放せ! ディーノ!! 放せえ~~!!」


「いや、落ち着いてください。口撃だけならともかく、このまま放流するとヤバイんで、放しません」


「う~~!!」


 ディーノはステファニーをなだめると、ヴィヴィへ呼びかける。


『ヴィヴィ様』


『何、ダーリン』


『あの……お願いですから、そろそろステファニー様を許して頂けませんか』


 ディーノの懇願に対し、ヴィヴィは……あっさり折れた。


『うん、分かった。こいつに酷い仕打ちを受けたダーリンがそう言うのなら、……許したげる』


『ありがとうございます』


 今の言葉でディーノには分かった。

 ヴィヴィの真意が……


 精霊や妖精は人間とは違う独特の常識と価値観を持っている。

 彼等彼女達は、一旦、打ち解ければ、とことん懇意にしてくれる。

 

 だが……全く無関係の、特に大嫌いな異種族の人間には容赦がないと、

 ケルベロスからは教えて貰っていた。


 ヴィヴィがステファニーをオークの餌代わりにしたり、口汚く罵ったのには理由わけがあったのだ。

 

 全てが……

 愛する? ディーノの為、自身が代わってステファニーへ、

『復讐する為』だったのである。

いつもご愛読頂きありがとうございます。


※当作品は皆様のご愛読と応援をモチベーションとして執筆しております。

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☆☆☆☆☆による応援をお願い致します。


東導号の各作品を宜しくお願い致します。

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