第175話「私が餌!?」
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ディーノは左手を水平にし、ステファニーを庇う。
更に、右手で素早く剣を抜き放つ。
「はっ!」
裂ぱくの気合とともに、魔力を込めた剣からは魔法風の塊が放たれる。
ステファニーが楓村でも目撃した、ディーノが行使する風の魔法剣である。
どしゅ!どしゅ!どしゅ!どしゅ!
連続して放たれた重い風の塊は容赦なくオークどもを打ち倒した。
どす黒い血がまき散らされ、粉々になったオークの身体が散乱する。
ステファニーは、思わず口笛を吹く。
「ひゅう! 相変わらず、やるじゃん、ディーノ」
「まあ……」
どしゅ!どしゅ!どしゅ!どしゅ!
「ディーノ! あんた、魔法剣の威力増してない?」
「まあ……」
例によって、ディーノは淡々と、そして曖昧に返事をしながら、魔法剣を撃ち続ける。
オークどもは続々と、肉塊になって行く……
「相変わらず、うっすい返事ね! 凄いじゃない、あんた!」
「まあ……」
どしゅ!どしゅ!どしゅ!どしゅ!
そうこうしている間に……
オークの数は半分以下に減った。
ステファニーの言う通り、ディーノが行使する魔法剣の威力は増している。
魔力の加減も慣れて来た。
まだディーノが魔法を撃ち始めて、ものの5分も経っていない。
しかし……
屋敷から無理やり転移させられた素手のステファニーは拳を振りかざすだけ、
出番が全く無い。
こうなると、手持ち無沙汰となり、ステファニーは焦れて来る。
「ちょっとぉ、ディーノぉ! 私にもオーク、残しときなさいよぉ!」
「大丈夫っす……まだその巣にたくさん居ますよぉ」
ディーノが指さした洞窟……
オークの巣らしいのだが、ステファニーにも感じる。
何やら気配がするのだ……
間を置かず、そんなステファニーの期待に応える?ように、
洞窟から、わらわらと新手のオークどもが現れる。
と、その時。
ディーノの心に警告が告げられる。
『ダーリン、どいてっ!』
『!!』
瞬時に危険を察知したディーノは素早く下がり、ステファニーを横抱き、
飛翔魔法を行使、勢いよく後方に飛び上がる。
3mくらいの木、その梢に立った。
ディーノに抱かれながら、ステファニーは絶句している。
「あ、あ、あんたっ!? ディーノっ!? い、い、今! と、飛んだ!?」
対して、ディーノは淡々とぽつり。
「はあ……飛びました」
「な、何でよ~~っ!!! 何故飛べるのよ~~っ!!!」
人間が空を飛ぶ!?
それもディーノが空を飛ぶ!?
し・ん・じ・ら・れ・な・い!!
とんでもない展開に絶叫するステファニー、
と同時に!
どっがああああああんんん!!
ぐっちゃあああああっ!!!
左右と高さが10mはあろうかという、鉛色のごつい巨石が飛んで来て、
不気味な音と引き換えに、あっさりとディーノ達へ迫るオークどもを圧し潰した。
ひと呼吸置き、小柄な身体をくるくる回転させながら飛来。
革鎧姿の小柄な少女がひとり、飛んで来た巨石の上に、軽々と降り立つ。
そう!
異界から巨石を呼び出し、オークの群れへ飛ばしたのはヴィヴィであった。
そして自身は宙を飛び、飛ばした巨石に降り立ったのである。
ディーノが見やれば、ヴィヴィはウインクし、ひらひらと手を振っている。
「ヴィヴィ様!」
思わず肉声で叫んだディーノ。
しかし!
いびつな愛の想い人たるディーノが、自分と違う女子の名を呼んだ事を、
ステファニーは敏感に反応した。
口調に怒りがこもっている
「はあ!? ヴィヴィ? 誰よ、それ?」
だが質問に答えたのは……聞かれたディーノではなかった。
ステファニーの心へ、聞き覚えのない声が聞こえて来る。
『私だよ、餌っ子。たっくさんオーク呼んでくれてありがと~、お陰でまとめて倒せたわ~』
答えたのはヴィヴィである。
言葉に怒気を含んでいる。
一方、『念話』を全く知らないステファニーは当然慌てた。
もしやと思い、巨石に降り立った少女をにらみつける。
『え、え、餌っ子!? な、な、何よっ!? 意味分かんない!!』
しかし!
更に馬鹿にしたような声が、ステファニーの心を追っかけて来た。
『ふん! まだ分かんないの? あんたを餌にして、女に目が無いオークを釣ってたのよっ!』
『な、何だとぉ!!! わ、私が餌ぁ!!』
『はん! きょどるんじゃないよ! そんなタマじゃないだろ、バ~カ!』
謎の声から、一方的に罵られ……
わけがわからないままも、ステファニーはさすがに「切れた」
遠く離れた巨石上の少女へ叫び返す。
「な、何よっ! やっぱ、あいつなのねっ! そ、そっちこそ、ふざけんじゃないわっ!!」
「は~い! 全くふざけてませんから~、アホの餌っ子ぉ!!」
今度は、念話ではなく肉声であった。
当然先ほどからと同じ声である。
やはりというか、巨石に降り立った少女――ヴィヴィが発していた。
こうなると、完全に挑発である。
遂に両巨頭は対峙した。
竜虎の対決といって過言ではない。
ちなみに、どちらもディーノの想い人を自称している。
という事で、ターゲット、ロックオン!
ステファニーの怒りが絶頂に達して、
目は血走り、真っ赤な口が「くあっ」と開いた。
「あの、ガキあまぁ~!! チンケな癖に生意気なぁ!! よ~し、そこで待ってろ!! ぶっ殺してやるっ!!!」
しかし……
ステファニーが暴れて、バタバタしても……
ディーノはがっちりと彼女を抑え込んでいた。
「放せ! ディーノ!! 放せえ~~!!」
「いや、落ち着いてください。口撃だけならともかく、このまま放流するとヤバイんで、放しません」
「う~~!!」
ディーノはステファニーをなだめると、ヴィヴィへ呼びかける。
『ヴィヴィ様』
『何、ダーリン』
『あの……お願いですから、そろそろステファニー様を許して頂けませんか』
ディーノの懇願に対し、ヴィヴィは……あっさり折れた。
『うん、分かった。こいつに酷い仕打ちを受けたダーリンがそう言うのなら、……許したげる』
『ありがとうございます』
今の言葉でディーノには分かった。
ヴィヴィの真意が……
精霊や妖精は人間とは違う独特の常識と価値観を持っている。
彼等彼女達は、一旦、打ち解ければ、とことん懇意にしてくれる。
だが……全く無関係の、特に大嫌いな異種族の人間には容赦がないと、
ケルベロスからは教えて貰っていた。
ヴィヴィがステファニーをオークの餌代わりにしたり、口汚く罵ったのには理由があったのだ。
全てが……
愛する? ディーノの為、自身が代わってステファニーへ、
『復讐する為』だったのである。
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最後に、連載中である
「帰る故郷はスローライフな異世界!レベル99のふるさと勇者」
「幼馴染と永遠に別れた俺は、辺境小国の王子に転生! 戦い、開拓、恋愛、信長スキルで何でもござれ!」
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