第174話「森で釣り?」
⛤『魔法女子学園の助っ人教師』
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遂に敵の本拠地、オークの巣を発見。
ディーノとオルトロスは更に慎重に……
静かに静かに……
オークどもの巣へ、「そ~っ」と近付いて行った。
そして……
切り立った岩壁に「ぽっかり」開いた巣穴らしき洞窟を遂に発見した、その時。
『ちょ~っと、待ったあ!』
「そろそろ」進むディーノ達の目の前に、「ぱぱっ」といきなり現れたのは、
地界王の愛娘ヴィヴィである。
お約束の転移魔法を使ったようだ。
『うわ!』
『おふ!』
驚くふたりの反応を見て、ヴィヴィは口をとがらせる。
『何よぉ! ゲテな魔物が出たみたいに驚いて!』
『いやあ、いきなり現れたら普通はビックリしますよ』
『ディーノに完全同意でっす』
『もう! いつもの事じゃない!』
口をとがらせたまま「ぷくっ」と頬をふくらませるヴィヴィ。
相変わらず茶色の革鎧をまとう年齢12,3歳の人間族風美少女、
大地の女精霊に擬態している。
つい……
「拗ねた姿が可愛い~」とディーノは少し萌え……
ヴィヴィ本来の姿はどうなのだろうと、想像する。
だが、すかさず!
『あら、ダーリン。私の素を見てみたぁい?』
あれ?
ディーノの気持ちが、つつぬけ!?
『げっ! 思い出した!』
そういえば、……ヴィヴィには心を見抜かれる事をすっかり忘れていた。
下手な事を考えられないと、ディーノは思う。
『何よ! 下手な事って! 相変わらず絞められた蛙みたいな声出して!』
ヴィヴィが非難しても、ディーノとオルトロスは柳に風。
嵐が通り過ぎるのを待つ構えだ。
『ノーコメントっす』
『ふむ、沈黙は金……だからな』
『さっきからダーリンと犬で、何、変な同盟結んでんのよ』
腕組みをし、しかめっ面のヴィヴィへ、ディーノは問う。
『いえいえ……ところでヴィヴィ様、一体何用で』
『用事が済んだし、面白そうな事してるから来てやったわ』
『面白いって……人喰いオークぶっ飛ばすだけですよ』
『うふふっ、オークぶっ飛ばすって、面白そうじゃな~い』
『は、はあ……』
『このヴィヴィ様がぁ、も~っともっと面白くしてあげるけどぉ!』
もっともっと?
どのような意味……だろうか?
『は? も~っともっと面白くしてあげるって?』
『釣りをするのよ』
『はあ? ……釣りってどういう? ……ここ森のど真ん中で、近くに川とか沼はないっすよ』
『馬鹿ね、ダーリン! オークを釣るに決まってるじゃん!』
『ええっ、オークを釣るぅ』
『ほらほら! わらわらっと出て来たじゃな~い』
『あっ!』
ヴィヴィの指摘通り、洞窟からは、オークがどんどん現れた。
巣穴に居る全てではないだろうが、あっという間に、数十頭に達する。
『釣りにはさぁ~、餌が必要……なんじゃな~い?』
『餌?』
『はあ~い、不味そうな餌、ご降臨~!』
悪戯っぽく笑ったヴィヴィが「ピン!」と指を鳴らせば……
オークどもの前に現れたのは、
「何よぉ、トイレ行こうと思ったのにぃ、ここどこよぉ?」
ヴィヴィの転移魔法で、無理やり連れて来られた……
寝ぼけまなこで首を振る、寝間着姿のステファニーだったのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「ん? 何よ」
目の前に……何か居る。
臭い!
エモシオン近郊の森で散々狩った時……ぷんぷん臭った。
この悪臭は覚えがある!
もしかして……
「ん~? どういう事?」
周囲はまだ夜が明けておらず、薄暗い。
ステファニーは目を凝らした。
一瞬の沈黙……
ステファニーとオークどもの目が合った。
すると!
「うがああああああっ!」
「ごあああああああっ!」
「ぐおおおおおお~ん!」
ようやく気付いた。
眠気が完全に醒めた。
目の前には豚のような、咆哮する魔物の群れが居た!!
「や、やっぱ! そう! オークじゃないのっ!」
ステファニーはわけがわからない。
王都にある自分の屋敷に居たはずなのに。
トイレに行こうと、明け方起きたはずなのに……
何故!?
こんな場所に居て、目の前にオークどもが!?
カルメンはどこ?
しかし!
ステファニーの野生が目覚め、闘争本能に火が点いた。
いくら考えても、わけが分からない。
だが!
ぼんやりなどしていられない。
ぐずぐずしてたら、喰われてしまう!
反撃あるのみ!!
ステファニーは咆哮し返す。
メス獅子のような凄まじい声が、オークを圧倒する。
「うおおおおおおおおおおおおお~~~っ!!!」
「ぎゃぴい!」
「がああっつ!」
「ぎゃう!」
ステファニーの咆哮を聞き、一瞬は臆したオークどもであったが……
数にモノを言わせ、態勢を立て直し、一斉にステファニーへ襲いかかる!
ステファニーも負けてはいない。
唸る拳が、1頭、2頭と、そして3頭、4頭、5頭と、オークをグーパンで、
殴殺して行く。
さすがオークスレイヤーのステファニー。
どんどん殴殺して行く。
だが……
相手は至近距離で数十頭、あっという間に取り囲まれてしまう。
『ヤバイ! いくら悪鬼のステファニー様でも数が多すぎるっ!』
ディーノは自然に反応していた。
いくら極悪でも、二度と会いたくない元主でも……
このまま放置し、見捨てるわけにはいかない。
『転移!』
ディーノにとっては、習得したての転移魔法。
言霊が詠唱された瞬間!
彼の身体は消え、すぐステファニーの前に出現していた。
至近距離での転移魔法は成功していた。
ちょうどステファニーとオークの間に立ちふさがる形である。
さすがのステファニーも、
いきなりのディーノの出現には、いろいろな意味で驚いた。
何故!?
こいつが!?
どうしてと!!
「えええええっ!? ディ、ディーノおっ!!!」
しかしディーノは振り向かず、オークをにらみ言い放つ。
「ステファニー様、話は後です! とりあえずコイツらを倒します!」
「りょ、了解!」
戸惑いながらも何とか返事をしたステファニーは……
すぐに懐かしさが、そして様々な感情がいっぱいこみあげて来て……
「にいっ」と面白そうに笑ったのである。
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