第162話「新生! ディーノの武具」
⛤『魔法女子学園の助っ人教師』
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数秒の溜めの後……
ヴィヴィからは、決めの言霊が力強く放たれる。
『進化!』
瞬間!
輝いていたオリハルコンの武具は……
破損し、ぼろぼろとなっていたディーノの武具へ、
吸い込まれるように、消えてしまった。
『う、うわ! オオオ、オリハルコンの武具がき、消えたあああっ!?』
『静かに! 魔法発動中よ!』
『は、はいい……』
注意されたが、ディーノは気になっていた。
オリハルコンの武具を吸収してしまった、
ディーノの廃棄寸前の『形見』は一体どうなるのか?
そ~っとディーノが見やれば……
『!!!』
何と!
大破していたディーノの武具が全て元に戻っていた。
否!
まるであつらえたばかりのような『新品』と化していた。
更に更に!
ディーノの武具は、まばゆく発光していたのである。
『よっし、魔法大成功! もう良いわよ、質問を受け付けまっす』
『ええっと、ヴィヴィ様! ……こ、これって! お、俺の鎧とかが全部、パワーアップしたんですか?』
ディーノの問いに対し、ヴィヴィはにいっと意味ありげに笑う。
『うふふ! パワーアップか……うん、あたらずとも遠からず……かな』
『は、はあ……あたらずとも遠からず、ですか?』
『答えはぁね、破壊されていたディーノの武具一式は、我がオリハルコンの武具と合体して再生、進化したのよ』
『えええええっ? が、合体して再生、……進化ですか?』
『ええ、そう! ロジックは省いて、簡単に言うわ。この魔法は創世神様の理、誕生、破壊、再生、進化を具現化したモノなの』
『はあ……』
『でも、そのままじゃあ、面白みにかける! だからバージョンアップさせ、合体の要素も取り入れ、面白くしたのよ』
『う~ん、難しいです』
『よっし! これこそ、論より証拠。じゃあ武具達を、正統な主の下へ帰すわよ』
『???』
唖然としているディーノの前で、ヴィヴィは悪戯っぽく笑うと……
ピンと指を鳴らした。
その瞬間!
宙に在った武具一式はかき消えた。
と、同時に!
『うわわわっ! な、何だっ!?』
気が付けばディーノの身体には……
新生なピカピカの兜、鎧一式が装着され、
腰からは、鞘に入った魔力みなぎる剣が提げられていた。
まさに奇跡!
不可思議な現象に、驚き戸惑うディーノ。
対して、ヴィヴィは誇らしげに説明する。
遂に『種明かし』である。
『うふふ、ディーノの武具は、見た目は元の通りで更に新品になったわ! でも中身は! 貴方の持つご両親の大事な想い出とオリハルコン武具の性能を合わせて継承した! ……それが新生ディーノの武具!』
ヴィヴィはもう、ディーノを『あんた』とは呼ばなかった。
地と風の使徒として正式に認め、尊重してくれたのである。
『俺の大事な想い出と……オリハルコン武具の性能が合わせて継承された……それが新生、俺の武具……なんですか』
『そうよ! その武具は貴方の持つ想いの力、更にオリハルコンの無敵の力が合わさった特別なモノよ』
『…………』
『それゆえ武具達はディーノ専用! 名が付いている通り、貴方以外には使う事が出来ない。いえ、装着すら拒否するわ』
『…………』
『どう、こういう加護? 気に入った?』
ヴィヴィが尋ねると、無言となったディーノの双眼からは涙が「ぶわっ!」と吹き出した。
今迄、比較的感情を表に出さないディーノは、こんなに感極まった事はなかった。
いつも我慢を強いられていたディーノは、なるべく涙を見せないようにしていたからだ。
『……あ、あ、あ、ああ~~っ! あ、あ、ありがとうございますっ!!』
『あらあら……』
『す、凄く!! 凄くうう!!! う、嬉しいですっ~~!!!!』
『もう! それじゃあ私までもらい泣きしちゃうじゃないの』
思わず涙ぐむヴィヴィが言うほど、ディーノは大泣き……否、号泣していた。
そして、宙に浮く笑顔のヴィヴィへ向かい、深々と頭を下げていたのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
武具を再生……
いや、新調してくれただけではない。
その後も……ヴイヴィはいろいろとディーノを助けてくれた。
まずディーノの落下と激突で生じた大穴をふさぎ、連続の失神で消耗したレンタル馬を魔法で癒してもくれた。
次に新生なったディーノの武具の特徴、使用法、手要れ等々を教授。
転移魔法の訓練方法も示してくれた。
そして雑用をいとわず……
他にもいろいろと、かいがいしく世話をしてくれたのである。
やはりそうだ!
とディーノは思う。
ヴィヴィには強い母性を感じるのだ。
加えて、ヴィヴィは優しく思い遣りがある。
一緒に泣いてもくれた。
はっきりと実感した。
自分は、ヴィヴィに対し、好意を持ち始めていると。
いろいろお世話になったささやかなお礼にと、ディーノは腕を振るった。
馬車に積んでいた食料から朝食を作り、戦友達と共にとヴィヴィを誘ったのだ。
精霊が人間の食事を摂れるのかと少し心配ではあったが……
ディーノの心配は完全に杞憂となり、ヴィヴィは食欲旺盛に料理をぱくついていた。
『美味しい!』
『本当ですか?』
『うん! 貴方、主夫に向いてる! ……かも!』
『主夫……いいかも!』
何ていう話で盛り上がった後、お茶を飲みながら……
『私、一旦、帰るわ』
と、ヴィヴィが告げて来た。
『帰るの……ですか?』
『ええ、オリエンス様ほどじゃないけど、私も結構忙しいのよ』
『そうなのですか…………』
『あら? さっき帰った時とは、えらくリアクションが違うわね。私が居ないと寂しい?』
『少し……』
『うふふ、私にときめいた?』
『少し……』
『嘘ね!』
『え? えええ! そ、そんな事は!』
『言ったでしょ? 私は地母神の見習いだって』
『はい……ですね』
『知ってるよね? 地母神は、文字通りこの世界に生きとし生ける者全ての母! 貴方はね、私に亡きお母様を見ているのよ』
『ちちち、違いますって!』
『うふふ、構わないわ、無理しなくても』
『いえ、無理なんか『むぐ!』して、うわ!!!』
ディーノの会話が、物理的な外的要因で無理やり中断された。
その要因とは、何と!
ヴィヴィによる唇へのキスである。
『やったあ!! ディーノのファーストキスゲットぉぉぉぉ!!!』
『あ、あの……取ったど~みたいに得意げに言わんでください』
ヴィヴィの言う通り、ディーノにとっては唇へのファーストキスである。
ちなみに楓村でのステファニーの『宣言』は、王都騎士隊の来訪、事情聴取、戦後処理等でどたばたして、曖昧となっていた。
あの時は結局、ステファニーのディープキスは実施されなかったのだ。
だが、まさに今、ヴィヴィの『奇襲攻撃』に遭ってしまった。
こうして……
ディーノは、数多の少年が通る?恋の道を
可憐な精霊相手に、ワンステップ踏み出したのである。
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最後に、連載中である
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