第160話「魔人ディーノ」
⛤『魔法女子学園の助っ人教師』
◎コミカライズ版コミックス
(スクウェア・エニックス様Gファンタジーコミックス)
☆最新刊『第3巻』
大好評発売中!!
新刊です!
書店様で、ぜひお手にお取りください。
天空数千メートルもの高さから垂直落下し、大地に叩きつけられたディーノは……
ヴィヴィ、オリエンンスの言う通り、その頑丈さゆえ命に別状はなかった。
ルイ・サレオンの魔法指輪と護符ペンタグラムの加護のお陰……
ともいえる奇跡的な結果ではあるが、『全身打撲と打ち身』という怪我までは退ける事は出来なかった。
激突した際、地下10mあまりまで突っ込み、何とか這いあがったディーノ……
泥だらけとなったディーノは、付近の川に運ばれ、
ヴィヴィに革鎧をむりやり、はぎとられ……何と!!
身体を丁寧に丹念に洗われた後……魔法による治療を受けていた。
ちなみに、『多忙!』と短く言い捨て、とっくにオリエンスは去っている。
目の前のヴィヴィが可憐な少女? であるが故、
素っ裸である事が当初は、とても恥ずかしくて、
赤面していたディーノであったが……
既に慣れて、羞恥心も希薄となっていた。
逆に……
献身してくれるヴィヴィが……
何故なのか、優しかった亡き母のようにも思えて来る。
母性を感じ、つい甘えたくなる。
「いたたたたたたた……」
眩い治癒魔法の光がディーノの全身を包んでいたが……
痛みはまだ残っていた。
肉声で悲鳴をあげるディーノに、ヴィヴィは「ぴしり!」と言い放つ。
『男でしょ! これくらいで泣き言を言わない!』
いや!
それは違う。
……そうディーノは思う。
痛みの我慢に性別は関係ない。
それに、「これくらいで」というのも間違ってる。
何せ、数千メートルの高さから落下、激突したのだ。
常人ならば即死。
身体がぐしゃぐしゃとなり、砕け散っているはずである。
こうして生きている方が、不可思議なのである。
でも、そんな事は、ディーノにはどうでも良くて……
凄く意外だった。
『びっくり! ヴィヴィ様って、治癒魔法が使えるんですね』
『何がびっくりよ、失礼な!』
『はあ、す、すんません……』
『私、地母神見習いだから! 癒しの技は元々好きだったし、結構修行したよ』
『は? じ、地母神見習いって!? じゃ、じゃあ! ……精霊ではなく、ヴィヴィ様は神様じゃないですかっ!』
ディーノは驚き、納得した。
どうして、ケルベロスとオルトロスが、ヴィヴィを畏れ敬うかが分かった。
彼女は神様……だった!?
しかしヴィヴィは首を横に振る。
『違う! 神様じゃない! ……だから見習いだって言ったでしょ!』
『ええっと、地母神様って……母なるイメージというか、大地の恵みを司る女神様ですよね? ヴィヴィ様は、み、見習い……なのですか?』
『うん! 地母神……の見習い! そこで意図的にストップしてる』
『意図的にストップって……なろうと思えば、なれるって事ですよね? 勿体ないですね』
『全然勿体なくない! 神様って、ぐっと縛りが厳しくなって、行動がえらく制限されるのよ』
『へぇ……そんなモノなんですか?』
『うん、そんなモノ! だから当分は、精霊のままでいいの』
『はあ……一応納得しました』
『だあって! もしも神様になったらあ! あんたみたいに面白い子をペットに……じゃなかった! 容易に使徒にも出来ないしぃ、人間とは恋愛や結婚も出来ないのよぉ。嫌じゃん、そんなの!』
『……今、何か、ヤバイ話をガンガン入れてましたけど……ま、まあ、良いです。何とか事情と概要は理解しましたから』
『……という事で、あんたがぐだぐだ言ってる間に、はい! 治癒完了! 完全復活確定!』
ヴィヴィの言う通りであった……
ディーノを襲っていた全身の激痛はもうない。
身体の各所にあった、紫色の打ち身あざも綺麗に消えている……
『うっわ!! あ、ありがとうございますっ! って、あれぇ……』
もう大丈夫。
大丈夫……なのだが……
自分の身体がおかしい……
著しく、変貌している
『ふふ、どしたの?』
『何か! 怪我する前より、身体がもっともっと軽くなって、力がみなぎるっていうか……凄くなってます!』
『えへ! あんたの治癒ついでに、こっそり私が祝福しといたから! 地母神の祝福をねっ♡』
『じ、地母神のしゅ、祝福うう!?』
『うん! 私は見習いだから完全じゃないけどぉ! 肉体的な各機能、ビルドアッ~~プぅ!! ルイ・サレオンの至宝装着時当社比、50%以上大盛マシマシぃ!!!』
ルイ・サレオンの至宝装着時当社比って……
元の肉体⇒スーパー超人なのに、それ以上って事!?
それも……
『ヴィヴィ様、大盛マシマシって……何ですか、それぇ?』
思わずディーノが尋ねると、ヴィヴィは得意満面でVサイン。
『いえ~~い!! ビルドアップで特に優れているのが耐久力と回復力、それとスタミナよぉ!! この3機能は300%超特盛りマシマシぃぃ!!!』
『はあ……超特盛って……ここまで来ると、もう俺、人間ではないのでは!?』
『ビ~~ンゴぉぉ!! もう既にあんたは、まともな人間ではないのだああっ!』
『はあ……俺、もうまともな人間ではないっすか?』
『いえ~す! さっきオリエンス様と相談、合意して、ディーノぉ! あんたのふたつ名を決めたんだよぉ!』
『お、俺の!? ふ、ふたつ名ですか!?』
『そうよぉ! 導き継ぐ者なんて、簡単に明かせないし、ズシンと重いじゃない』
ふたつ名とは…… 本名や正式名称ではないが、対象を特定して指す呼び名である。
異名、通称、通り名、あだ名という意味がピッタリ来るが、ニックネーム、コードネーム、源氏名等もそうである。
果たして、精霊ふたりが名付けた、ディーノのふたつ名とは……
ディーノの心の中で、他者には見えない聞こえないドラが鳴らされる。
だかだかだかだかだかだか!!
そして結果は……
じゃ~~~~んん!!!
『魔人よぉ!! 魔人!!』
『はあっ!? ま、ま、魔人んんん!!!』
ま、魔人!?
……自分が魔人。
そう言われても全然ピンと来ない。
身体が人間離れして来ただけだ。
心は何も変わっては、いないから。
しかしヴィヴィはきっぱりと。
『そう! ディーノの正式な称号は導き継ぐ者。もしくは地と風の使徒だけどぉ、ふたつ名は魔人。魔人ディーノ!! 強そうでぴったり! カッコいいでしょ?』
『いや……ま、魔人ディーノって……』
『何よぉ! 不満なの?』
『いえ、でも……魔人って、ヤバクないですか? 導き継ぐ者以上に、簡単には明かせませんよ!』
『ふふ、そうかな? あくまでカッコいいあだ名として、ノープロブレムだと思うけどぉ!』
『う~ん、強くてカッコいいかもしれませんけど、魔人は残虐非道かつ、情け容赦皆無。漂う悪の香りが半端ないっすよ』
『贅沢言わない! そもそも! 世の女子の大半はね! 彼氏がベタでうざく愛する真面目君より、さりげなく優しくて、ちょい悪君の方が大好きなのよっ!』
『はあ? ちょい悪君って、何ですかそれ?』
『何ですかじゃないわ! 私だって同じだもん! 彼氏のディーノにはぁ、そうあって欲しいと思うもんっ!』
『いやいや! またヴィヴィ様、超ヤバイ事言ってますけど! 第一、魔人はさりげなく優しくて、ちょい悪君なんかじゃありませんって!』
ディーノが抗議すると、何故かヴィヴィはひどく真剣な顔つきになった。
『じゃあ、ディーノ!』
『は、はい!』
『百歩譲って! あんたの言う事が正しいとしても!』
『はいい?』
『主として命じます! ディーノ! 魔人のネガティブ概念を変えなさいっ!』
『はあ!? 何で俺が?』
『ぐだぐだ言わない! 世の女子達がギャップ萌えする、素敵な魔人に、あんたがなれば良いのよっ!』
こうして……
ディーノは『素敵な魔人』だったと、後世伝えられるようになったのである。
いつもご愛読頂きありがとうございます。
※当作品は皆様のご愛読と応援をモチベーションとして執筆しております。
宜しければ、下方にあるブックマーク及び、
☆☆☆☆☆による応援をお願い致します。
東導号の各作品を宜しくお願い致します。
⛤『魔法女子学園の助っ人教師』
◎小説版第1巻~7巻
(ホビージャパン様HJノベルス)
大好評発売中!
◎コミカライズ版コミックス
(スクウェア・エニックス様Gファンタジーコミックス)
☆最新刊『第3巻』
大好評発売中!!
書店様で、ぜひお手に取ってご覧ください。
第1巻~2巻も大好評発売中!
※月刊Gファンタジー大好評連載中《作画;藤本桜先生》
☆『8月18日発売』の月刊Gファンタジー9月号に最新話が掲載されます。
一見超ドライでも本当は優しいルウ、可憐なヒロイン達の新たな魅力をお楽しみください。
また「Gファンタジー」公式HP内には特設サイトもあります。
コミカライズ版第1話の試し読みも出来ます。
WEB版、小説書籍版と共に、存分に『魔法女子』の世界をお楽しみくださいませ。
マンガアプリ「マンガUP!」様でもコミカライズ版が好評連載中です。
毎週月曜日更新予定です。
お持ちのスマホでお気軽に読めますのでいかがでしょう。
最後に、連載中である
「帰る故郷はスローライフな異世界!レベル99のふるさと勇者」
「幼馴染と永遠に別れた俺は、辺境小国の王子に転生! 戦い、開拓、恋愛、信長スキルで何でもござれ!」
も宜しくお願い致します。




