第158話「新たな加護③」
⛤『魔法女子学園の助っ人教師』
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悲鳴をあげるディーノの身体は、凄まじいスピードで上昇。
あっという間に小さくなり、天空高くと消えてしまった。
いつの間にか、その場からヴィヴィとオリエンスの姿も消えている。
果たしてどこへ行ったのか、連れ去られたのか……
姿の見えなくなったディーノへ、「届け!」とばかりに、
ケルベロス達戦友は、天へ向かい大声で、彼の名を叫んでいた。
そのディーノは……
どうなっていたかといえば……
彼の身体は、戦友達から数千メートル上空の大空に浮かんでいる。
不思議な感覚がディーノを包んでいた。
何か、不可思議な風の渦がディーノを取り巻いていたのだ。
そのせいなのか、暑くも寒くも痛くもかゆくもなく……
身体的には何の不自由さもない。
ふと気が付けば……
傍らの空中にヴィヴィが、そしてオリエンスも浮かんでいる。
『うふふ、やっほ~、ディーノぉ、』
『おいこら、ディーノ』
『うわ、ヴィヴィ様! オリエンス様! い、いつの間にっ!?』
『オリエンス様があんたを天空へ送ったから、速攻で追っかけたのよ。調子はどう?』
『そういう事さ……気分は? 高所は平気か?』
『げげ! て、天空!?』
慌てて、ディーノが周囲を見ると、真っ白な雲が眼下にあった。
相当な高所のようだ。
しかし、気持ちが突き抜け過ぎたのか、却って恐怖はなかった。
『ええっと……調子はまあまあ……気分は何も問題ないっすし、高い所も、何とか大丈夫みたいでっす』
『うむ、全てノープロブレムか。それに私の風が、お前の心身に上手く作用しているようだ』
『ええっと、オリエンス様。風って、俺の周りを渦巻いている、これですか?』
相変わらずディーノの周囲には風が渦巻き続けている。
感じる事から分かるように、どうやら結構な魔力を含んだ風のようだ。
『ああ、そうだ。そもそも、人の子はこのような天空で地上と同じ活動が叶うように、身体が創られてはおらぬからな』
『な、成る程!』
『お前の周囲を取り巻く魔力の風は、防御壁として敵の物理的な攻撃を大幅に和らげるのは勿論、心身の不調さえも是正する力を持っている』
『な、成る程! 素晴らしいですね。ご教授ありがとうございます』
ディーノがオリエンスへ礼を言うと、今度はヴィヴィが、
『うふふ、どう? オリエンス様の言う通り、私が授けた転移魔法と合わせれば、あんたはこの世界を制する。縦横無尽に行き来する事が可能となるわ』
更にオリエンスが、
『うむ、ディーノよ。私からお前に授ける加護はもう認識し、理解しただろうが、ズバリ……飛翔魔法だ』
『えええっ!? ひ、飛翔……魔法!? 俺が! 自由自在に空を飛べるって事ですかぁ!』
『うむ、論より証拠だ。現にお前はこうして大空を飛んでいるではないか』
『うふふ、ディーノ。今見ている景色は夢などではないわ。完全な現実よ』
ヴィヴィの言う通り……
周囲は文字通りスカイブルーの大空である。
『ええっと、でも……』
『でも、何?』
『ディーノ、何が言いたい?』
『今の俺の状態は飛ぶと言うより、単に浮かんでいると言った方が……あ!』
『どうしたのよ?』
『何か、思い出したか?』
『俺、空へ巻きあげられて……そのままだから……地上に残したケルベロス達が心配していると思って』
ディーノの言葉を聞き、ヴィヴィはにっこり。
オリエンスも優しく微笑む。
『成る程! ディーノったら、優しいじゃん!』
『ならば、念話を使ってみるがよい。お前の魔力ならここからでも思念は届くはずだ』
オリエンスのアドバイスに従い、ディーノは地上へ念話で呼びかける。
『りょ、了解! じゃ、じゃあ……ケルベロス! オルトロス! そしてジャン! 俺だ! ディーノだ!』
対して、返事はすぐに戻される。
安堵と歓びの強い波動を伴って。
『お~い、ディーノぉぉ!』
『良かったあ! ディーノぉぉぉ!!』
『早く戻って来~いっ! ディーノぉぉぉぉっ!!!』
『大丈夫だあ、みんなあ! 俺は無事だあああああっ!!』
呼びかける声に負けじとばかり、ディーノは己の健在を、
はっきりと伝えていたのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
戦友達の心配を払拭する為……
地上に早く戻りたいのはやまやまのディーノであったが……
授けられた加護――飛翔魔法の基礎を学ばなければならない。
しかし上手く行かない。
ヴィヴィや、オリエンスのように空中を魚のように「すいすい」と泳げない。
バタバタと手足を動かし、ように「ふわふわ」と漂うのみである。
あまりの不格好さに呆れられ、終いにはオリエンスから指導を受ける。
『我が風の息に……すなわち気流に逆らわず、無駄な力を抜いて身を任せ、水中を自然に泳ぐような気持ちで大空を進んでみろ』
『りょ、了解!』
ディーノは、オリエンスに言われた通り試してみる。
でも中々、上手く行かない。
めげず、あきらめず何度でも試す。
……100回以上行うと……だんだんサマになって来た。
さすがに機敏な動き……とまではいかないが……
初心者の子供が泳ぐくらいのレベルにはなっていた。
だがオリエンスは渋い顔だ。
まだまだディーノに不満があるらしい。
『ディーノ』
『は、はい!』
『お前は人の子とはいえ、風の使徒、私の代理ともいえる立場だ。もっと練習して、飛翔が上手くならないと眷属のシルフ達にもバカにされるぞ』
『はい! 了解です! 猛練習します!!』
『うむ! 頑張れ! 飛翔魔法の発動の際、言霊はフライト。私の名を心に想い浮かべ、ただシンプルにひと言、そう詠唱すれば良い』
簡単すぎる飛翔魔法の手解きを受け、感無量のディーノへ、今度はヴィヴィが言う。
『ディーノ!』
『はい、ヴィヴィ様』
『もう分かったわよね? 完璧を裏付ける組み合わせの妙って奴』
『はい! 未知の場所へは飛翔魔法、1回でもその場所を訪れれば転移魔法、そう使い分ければ、俺は世界中をあっという間に回れます』
『よっし! 正解! 私達が授けた地と風、両方の大魔法を、頑張って完全に習得するのよ!』
『了解でっす!』
『よし! ではすぐ地上へ戻ろう。犬と猫がディーノを心配しておるだろう』
最後に「締めた」のは、オリエンスである。
彼女の冷たい眼差しに、ほんの僅かだが、温かみがあるのを感じ、
ディーノはとても嬉しくなったのである。
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