第156話「新たな加護①」
⛤『魔法女子学園の助っ人教師』
◎コミカライズ版コミックス
(スクウェア・エニックス様Gファンタジーコミックス)
☆最新刊『第3巻』
大好評発売中!!
新刊です!
書店様で、ぜひお手にお取りください。
※6月29日付けの活動報告に『書影公開』『発売記念フェア開催のお知らせ』等、
『魔法女子』のコミックス第3巻の情報をまとめて掲載しましたので、宜しければご覧くださいませ。
翌朝5時過ぎ……
毛布にくるまり……
いつの間にか眠り込んでしまったディーノは……
「ぱっ」と目が覚めた。
朝の陽射しが「さんさん」と降り注いでいる。
寝ぼけまなこで、「ちら」と見やれば既に太陽が地平線から昇っている。
「ヤバイ!」
思わず跳ね起きた。
大寝坊したと後悔した。
とっくに起きて、ダレンについて、市場へ仕込みに行かなくてはならないのに……
傍らを見れば……
ケルベロスとオルトロスが、そしてジャンも眠っていた。
離れた場所には馬がつながれ、レンタルした馬車も停められていた
戦友達を見て、思い出した。
自分は英雄亭を、そして王都を出て旅に出ていた事を……
「はあ……なんだよ。焦って損した。習慣って怖いなあ……」
ディーノが大きなため息をついた、その時。
目の前にいきなりふたりの女子が現れた。
何と!
ディーノの目の前で宙に浮いている。
「う、うっわ~~っっ!!」
叫んだディーノが、改めて見やれば……
女子達は昨夜現れたふたりの精霊である。
ひとりは手を振り、微笑むヴィヴィ。
もうひとりは肩をそびやかし、冷たく笑うオリエンスだ。
ふたりは『朝駆け』を仕掛けて来たらしい。
『おっは!』
『ふむ、ようやく目が覚めたか』
『はあ……あ、朝一番で、お、脅かさないでくださいよ……』
『何よ、そんなに驚かなくても良いじゃない』
『そうだぞ、すぐ絶叫する、肝の小さい男め』
『ええっと……俺……どうしたんでしたっけ』
『ディーノ、あんた、私達と話している最中に、いきなり寝ちゃったのよ』
『そのまま爆睡だぞ。不謹慎な愚か者め』
『はあ……そうだったんですか……すんません』
『まあ、いいわよ。あんたが寝てくれて、逆に願ったり叶ったりだったから』
『うむ、 却って好都合だったな』
『な、何ですか、それ? 全くイミフなんですが……』
『うん! ディーノが寝てる間にいろいろ肉体改造しちゃったよ~ん!』
『うむ、あそこやここ、恥ずかしい場所へもいろいろとな!』
『げっ!』
『あはっ、冗談冗談。おとなしくあんたが寝てる間に、私達から、凄い加護を与えたから』
『ふっ! そうさ! 私達の加護は、ふたつとも使用頻度が多く重宝する大魔法だぞ。これでお前は私達以外の属性へ寄る事はない』
『か、加護を与えたぁ? 使用頻度が高い大魔法! な、何ですか、それぇ!?』
『おい、ヴィヴィ、論より証拠だ、お前から行け!』
『合点!』
瞬間!
ディーノは身体が垂直へ落ちるような不思議な感覚に囚われた。
気が付けば、周囲の景色が変わっていた。
一面が緑濃い芝生となっていて、少し離れた場所に小さめだが、
3階建てのお洒落な建物が見てとれる。
……何か、既視感がある。
すぐに気付く。
『こ、ここは!? ま、まさか……』
そう、ここは……
以前ディーノがこっそり調べた、王都でステファニーが賃貸している屋敷だったのだ。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ちょうどその時……ステファニーはカルメンと朝の訓練を行っていた。
正対して、剣を打ち合っている。
無心に剣を振る、ふたりであったが……
野生の本能で、現れたディーノに、先に気付いたのは、カルメンである。
すかさず、ふたりの叫ぶ声が……
ルイ・サレオン魔法指輪の力により、聴力が人間離れしたディーノの耳へ入って来る。
「あああっ!! ステファニー様ぁ!! 大変ですっ!! 不審者です!! 侵入者で~す!!」
「何ぃっ!」
ふたりは頷き合うと、スタートダッシュ!!
「よりによって、ステファニー様の屋敷へ忍び込むとは不届き千万! 成敗してくれるっ!」
「だめよ、カルメン! 私が思い切り、ぐ~で、ぶっ殺してやるからっ!」
ステファニーは持っていた剣を思い切り投げ捨て、拳をぶんぶん回し、
カルメンも愛用の大剣を振りかざして、ディーノへ向かい、
ふたりとも脱兎の如く、駆けて来る。
ステファニーとカルメンはあっという間に、ディーノへ肉薄した。
ディーノほどではないが、視力抜群の彼女達は、
目指す『不審者』の正体が誰なのか、はっきりと認識する。
「あああっ!! ディーノ!! まだ王都に居たのね~~っ!!!」
「ごらああっ、ディーノ!! 何が冷却期間だああっ!! 何が金貨100枚だああっ!! ステファニー様に手切れ金なんてふざけやがってぇ、ぶっ殺してやるううっ!!!」
このままでは、ディーノに待つのは『死』!!
無抵抗ならば、確実になぶり殺しであろう。
「うっわ~~~っ!!!!」
念の為、今のディーノなら、戦おうと思えば戦える。
しかし、出来ればディーノはそうしたくなかった。
早朝の王都貴族街での大乱闘。
衛兵が駆けつけ、大騒ぎとなるのは間違いない。
そもそも今の状況が意味不明だ。
旅に出て、北へ結構進んだのに、何故王都に居るのかが分からない。
そうこうしているうちに、ステファニーとカルメンは、ディーノからわずか5mの距離にまで近付いた。
オークを瞬殺する必殺の拳が!
オーガをあっさり粉砕する大剣が!
ディーノに迫る!!
後方へ飛び退って、ディーノが避けようとした瞬間!
彼の姿は現れた時同様、いきなり、かき消えていた。
「あ! 何だ!? き、消えたわっ!?」
「ス、ステファニー様! ディーノの奴め、また怪しい魔法を使ったに決まってます!」
拳を握りしめ、歯ぎしりして悔しがるふたりは……
ディーノが消えた辺りを、怖ろしい殺気を込め、見つめていたのである。
いつもご愛読頂きありがとうございます。
※当作品は皆様のご愛読と応援をモチベーションとして執筆しております。
宜しければ、下方にあるブックマーク及び、
☆☆☆☆☆による応援をお願い致します。
東導号の各作品を宜しくお願い致します。
⛤『魔法女子学園の助っ人教師』
◎小説版第1巻~7巻
(ホビージャパン様HJノベルス)
大好評発売中!
◎コミカライズ版コミックス
(スクウェア・エニックス様Gファンタジーコミックス)
☆最新刊『第3巻』
大好評発売中!!
新刊です!
書店様で、ぜひお手に取ってご覧ください。
第1巻~2巻も大好評発売中!
※月刊Gファンタジー大好評連載中《作画;藤本桜先生》
☆『7月18日発売』の月刊Gファンタジー8月号に最新話が掲載されております。
一見超ドライでも本当は優しいルウ、可憐なヒロイン達の新たな魅力をお楽しみください。
また「Gファンタジー」公式HP内には特設サイトもあります。
コミカライズ版第1話の試し読みも出来ます。
WEB版、小説書籍版と共に、存分に『魔法女子』の世界をお楽しみくださいませ。
マンガアプリ「マンガUP!」様でもコミカライズ版が好評連載中です。
毎週月曜日更新予定です。
お持ちのスマホでお気軽に読めますのでいかがでしょう。
最後に、連載中である
「帰る故郷はスローライフな異世界!レベル99のふるさと勇者」
「幼馴染と永遠に別れた俺は、辺境小国の王子に転生! 戦い、開拓、恋愛、信長スキルで何でもござれ!」
も宜しくお願い致します。




