第150話「意外な素顔」
⛤『魔法女子学園の助っ人教師』
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地の魔法習得の経緯を教えろだって?
う~ん。
いろいろと内緒にしている事も多々ある。
普通は教えたりしない。
だが……
この場合は相手が相手、仕方がない。
『はあ……じゃあ、ヴィヴィ様、とりあえず座ってください。実はこんな経緯なんですが……』
というわけで、
ディーノは持っていたハンカチを敷き、ヴィヴィを座らせると、
自分は直に地面に座って、地の魔法を習得した経緯を、話し始めた。
……ヴァレンタイン王国王都、
貴族街区にあったアルドワンの屋敷を探索した事。
探索中、空亡きアルドワンの幽霊に出会い、彼の生い立ちと事件の経緯を聞いた事。
アルドワンと話すうちに、打ち解け、地の魔法と彼の志及び、
勇気付けられる『はなむけの言葉』を託された事。
その後、修練の末、遺品ともいえる地の魔法を習得した後……
結局は「やはりけりをつけねば!」と、
アルドワンの冤罪をでっちあげた黒幕を見事に倒し、復讐を遂げた事等々……
『と、まあ……このような感じなのですよ、ヴィヴィ様』
アルドワンの件を話し終わったディーノが見やれば……
いつの間にか、ヴィヴィは深くうつむいていた。
その為、表情は……良く見えなかった。
『あれ? ヴィヴィ様?』
『…………』
ディーノは声をかけたが、ヴィヴィは顔を上げない。
心から発する波動もシャットダウンしているので、感情も読めない。
沈黙が、しばし、その場を支配した。
ディーノは、告げられる言葉を待ったのだが……
顔を伏せたヴィヴィは無言のまま、微動だにしない。
約10分が経過した。
う~、困った……
このままでは、話が進展しない。
と、ディーノが困惑した瞬間。
ヴィヴィが突如!
「ばっ!」と勢いよく顔をあげた。
『はいいい~っ!?』
彼女の顔を見たディーノは驚愕した。
辛そうに顔をゆがめるヴィヴィの双眼は真っ赤。
大粒の涙がいっぱいにたまり、滝のようにあふれだしていたからである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
『ううわあああああああああああん!!!』
相変わらずヴィヴィは号泣している。
真赤にした目で、ディーノをまっすぐに見つめながら。
我慢して隠していたヴィヴィの、心の波動が伝わって来る。
泣く理由が分かって来た。
彼女はアルドワンの人生に同情し、泣いていたのだ……
意外であった。
精霊のヴィヴィが、人間に同情して大泣きするとは思わなかったから。
結構いい子かもしれないと、ディーノは思う。
少なくともステファニーよりは……
『何よぉ! 何よぉ! 何よ~~ぉ!!』
読心魔法でヴィヴィから発する心の波動を読んだディーノではあったが……
ロランの「術者である事を明かすな」という忠告を思い出し、
事実を隠しておく事にした。
『ええっと、ヴィヴィ様、どうしたんですか?』
『はあ? あんたって、ばかぁ?』
同じ事を散々、ステファニーから言われた。
言われた相手にもよるが……
今回の場合は経験上、否定せず肯定して、軽く流した方が良い。
『ええ……俺、バカかもしれませんね』
『もうぉ! ディーノの、にぶちん! 大馬鹿!! 悲しいからぁ! 大泣きしてるに決まってるじゃな~い!! うわああああああああん!!』
『ええっと、俺の話した事が、そんなに悲しかったのですか?』
『悲しいわよぉ!! すっごく!! あんたは悲しくないのぉ!?』
『いやあ……その場で話を聞いた時は、とても悲しかったですけど、もう吹っ切りました』
『もう吹っ切ったぁ!? 何でぇ?』
『いつまでも悲しんで立ち止まっていたら、前に進めません』
ディーノの言葉に対し、意外!
という感じで、ヴィヴィは驚く。
『え? えええっ!? 何よ、それ!』
『悲しみは、時間がある程度解決してくれます。だから……前を向いて行かないと』
『ふん、何よぉ! 気障なセリフ、言っちゃってさ!』
ヴィヴィはようやく落ち着いて来たようだ。
皮肉っぽく鼻で笑い、泣き笑いの表情をしてはいるが……
ディーノは安堵して、話を続ける。
『すみません、でも折角、素晴らしい地の魔法を託されたんです。これからいかに役立てるか、考え、実行した方が父上……も喜びます』
『ディーノ、あんたって、すっごく割り切りが良いというか、達観してるよね?』
『は、はあ……自分じゃわりと、普通だと思ってますが』
と返せば、ヴィヴィが突然叫ぶ。
『あああっ! わ、分かったぞぉ!!』
うわ!
ディーノは「どきっ」とする。
これもステファニーの口癖である。
トラウマになっているらしく、身体に相当悪い……
『な、何ですか、いきなり? 何が分かったのですか?』
対してヴィヴィは、ど真ん中の豪速球を投げて来た。
『ズバリ聞くわ! あんた……慣れてるでしょ?』
『は? 慣れてる?』
『そうよ! 志、背負ってるの、そのじいさんだけじゃないでしょ? 他にも居るでしょ!』
やはり……
こういうタイプの女子は勘が良い。
否、良すぎるくらいだ。
どう答えて良いのか、ディーノには分からない。
むやみやたらに口外する事ではないから。
『う! ま、まあ……』
どうしようかと迷うディーノに、ヴィヴィは容赦しなかった。
『ディーノ! あんたにすっごく興味が湧いて来た! ……この私、ヴィヴィに話しなさい! あらいざらい全部ね!!』
『…………』
興味が湧いて来た?
あらいざらい全部言え?
困って、無言スルーしようとした、ディーノであったが……
『こら! 観念しなさい! 話すのよっ!!!』
『は、はい……』
結局は、しっかりとヴィヴィに「寄り切られてしまった」のである。
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