表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

150/337

第150話「意外な素顔」

⛤『魔法女子学園の助っ人教師』

◎コミカライズ版コミックス

(スクウェア・エニックス様Gファンタジーコミックス)

☆最新刊『第3巻』

6月27日発売!

大好評発売中!!

ほやほやの新刊です!

書店様で、ぜひお手にお取りください。


※6月29日付けの活動報告に『書影公開』『発売記念フェア開催のお知らせ』等、

『魔法女子』のコミックス第3巻の情報をまとめて掲載しましたので、宜しければご覧くださいませ。

 地の魔法習得の経緯を教えろだって?

 

 う~ん。

 いろいろと内緒にしている事も多々ある。

 普通は教えたりしない。

 

 だが……

 この場合は相手が相手、仕方がない。


『はあ……じゃあ、ヴィヴィ様、とりあえず座ってください。実はこんな経緯いきさつなんですが……』


 というわけで、

 ディーノは持っていたハンカチを敷き、ヴィヴィを座らせると、

 自分は直に地面に座って、地の魔法を習得した経緯を、話し始めた。


 ……ヴァレンタイン王国王都、

 貴族街区にあったアルドワンの屋敷を探索した事。

 探索中、空亡きアルドワンの幽霊に出会い、彼の生い立ちと事件の経緯を聞いた事。

 アルドワンと話すうちに、打ち解け、地の魔法と彼のこころざし及び、

 勇気付けられる『はなむけの言葉』を託された事。

 

 その後、修練の末、遺品ともいえる地の魔法を習得した後……

 

 結局は「やはりけりをつけねば!」と、

 アルドワンの冤罪をでっちあげた黒幕を見事に倒し、復讐を遂げた事等々……


『と、まあ……このような感じなのですよ、ヴィヴィ様』


 アルドワンの件を話し終わったディーノが見やれば……

 いつの間にか、ヴィヴィは深くうつむいていた。

 その為、表情は……良く見えなかった。


『あれ? ヴィヴィ様?』


『…………』


 ディーノは声をかけたが、ヴィヴィは顔を上げない。

 心から発する波動もシャットダウンしているので、感情も読めない。


 沈黙が、しばし、その場を支配した。

 ディーノは、告げられる言葉を待ったのだが……

 顔を伏せたヴィヴィは無言のまま、微動だにしない。


 約10分が経過した。


 う~、困った……

 このままでは、話が進展しない。


 と、ディーノが困惑した瞬間。


 ヴィヴィが突如!

 「ばっ!」と勢いよく顔をあげた。


『はいいい~っ!?』


 彼女の顔を見たディーノは驚愕した。


 辛そうに顔をゆがめるヴィヴィの双眼は真っ赤。

 大粒の涙がいっぱいにたまり、滝のようにあふれだしていたからである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


『ううわあああああああああああん!!!』


 相変わらずヴィヴィは号泣している。

 真赤にした目で、ディーノをまっすぐに見つめながら。


 我慢して隠していたヴィヴィの、心の波動が伝わって来る。

 泣く理由が分かって来た。

 彼女はアルドワンの人生に同情し、泣いていたのだ……


 意外であった。

 精霊のヴィヴィが、人間に同情して大泣きするとは思わなかったから。

 

 結構いい子かもしれないと、ディーノは思う。

 少なくともステファニーよりは……


『何よぉ! 何よぉ! 何よ~~ぉ!!』


 読心魔法でヴィヴィから発する心の波動を読んだディーノではあったが……

 ロランの「術者である事を明かすな」という忠告を思い出し、

 事実を隠しておく事にした。


『ええっと、ヴィヴィ様、どうしたんですか?』


『はあ? あんたって、ばかぁ?』


 同じ事を散々、ステファニーから言われた。

 言われた相手にもよるが……

 今回の場合は経験上、否定せず肯定して、軽く流した方が良い。


『ええ……俺、バカかもしれませんね』


『もうぉ! ディーノの、にぶちん! 大馬鹿!! 悲しいからぁ! 大泣きしてるに決まってるじゃな~い!! うわああああああああん!!』


『ええっと、俺の話した事が、そんなに悲しかったのですか?』 


『悲しいわよぉ!! すっごく!! あんたは悲しくないのぉ!?』


『いやあ……その場で話を聞いた時は、とても悲しかったですけど、もう吹っ切りました』


『もう吹っ切ったぁ!? 何でぇ?』


『いつまでも悲しんで立ち止まっていたら、前に進めません』


 ディーノの言葉に対し、意外!

 という感じで、ヴィヴィは驚く。


『え? えええっ!? 何よ、それ!』


『悲しみは、時間がある程度解決してくれます。だから……前を向いて行かないと』


『ふん、何よぉ! 気障きざなセリフ、言っちゃってさ!』


 ヴィヴィはようやく落ち着いて来たようだ。

 皮肉っぽく鼻で笑い、泣き笑いの表情をしてはいるが……


 ディーノは安堵して、話を続ける。


『すみません、でも折角、素晴らしい地の魔法を託されたんです。これからいかに役立てるか、考え、実行した方が父上……も喜びます』


『ディーノ、あんたって、すっごく割り切りが良いというか、達観してるよね?』


『は、はあ……自分じゃわりと、普通だと思ってますが』


 と返せば、ヴィヴィが突然叫ぶ。


『あああっ! わ、分かったぞぉ!!』


 うわ!

 ディーノは「どきっ」とする。


 これもステファニーの口癖である。

 トラウマになっているらしく、身体に相当悪い……


『な、何ですか、いきなり? 何が分かったのですか?』


 対してヴィヴィは、ど真ん中の豪速球を投げて来た。


『ズバリ聞くわ! あんた……慣れてるでしょ?』


『は? 慣れてる?』


『そうよ! こころざし、背負ってるの、そのじいさんだけじゃないでしょ? 他にも居るでしょ!』


 やはり……

 こういうタイプの女子は勘が良い。

 否、良すぎるくらいだ。


 どう答えて良いのか、ディーノには分からない。

 むやみやたらに口外する事ではないから。


『う! ま、まあ……』


 どうしようかと迷うディーノに、ヴィヴィは容赦しなかった。


『ディーノ! あんたにすっごく興味が湧いて来た! ……この私、ヴィヴィに話しなさい! あらいざらい全部ね!!』


『…………』


 興味が湧いて来た?

 あらいざらい全部言え?

 

 困って、無言スルーしようとした、ディーノであったが……


『こら! 観念しなさい! 話すのよっ!!!』


『は、はい……』


 結局は、しっかりとヴィヴィに「寄り切られてしまった」のである。

いつもご愛読頂きありがとうございます。


※当作品は皆様のご愛読と応援をモチベーションとして執筆しております。

宜しければ、下方にあるブックマーク及び、

☆☆☆☆☆による応援をお願い致します。


東導号の各作品を宜しくお願い致します。

⛤『魔法女子学園の助っ人教師』

◎小説版第1巻~7巻

(ホビージャパン様HJノベルス)

大好評発売中!


◎コミカライズ版コミックス

(スクウェア・エニックス様Gファンタジーコミックス)

☆最新刊『第3巻』

6月27日発売!

大好評発売中!!

ほやほやの新刊です!

書店様で、ぜひお手に取ってご覧ください。

第1巻~2巻も大好評発売中!


※月刊Gファンタジー大好評連載中《作画;藤本桜先生》

☆『7月18日発売』の月刊Gファンタジー8月号に最新話が掲載されております。

一見超ドライでも本当は優しいルウ、可憐なヒロイン達の新たな魅力をお楽しみください。


また「Gファンタジー」公式HP内には特設サイトもあります。

コミカライズ版第1話の試し読みも出来ます。

WEB版、小説書籍版と共に、存分に『魔法女子』の世界をお楽しみくださいませ。


マンガアプリ「マンガUP!」様でもコミカライズ版が好評連載中です。

毎週月曜日更新予定です。

お持ちのスマホでお気軽に読めますのでいかがでしょう。


最後に、連載中である

「帰る故郷はスローライフな異世界!レベル99のふるさと勇者」

「幼馴染と永遠に別れた俺は、辺境小国の王子に転生! 戦い、開拓、恋愛、信長スキルで何でもござれ!」

も宜しくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ