第149話「地界王の愛娘」
⛤『魔法女子学園の助っ人教師』
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『え? ち、地界王!? 地界王って! もしかして凄い精霊!?』
……どうやら、少女――ヴィヴィには、
ディーノ達の念話も聞こえていたらしい。
腕組みをしたまま、鋭い視線を飛ばし、
『その通り! 私はヴィヴィ! 最上級精霊、高貴なる4界王のひとり! 地界王アマイモンの娘ヴィヴィよっ!』
はっきりと、そう言い放っていた。
高貴なる4界王のひとり、地界王アマイモン……
ディーノはアルドワンから、究極たる地の魔法を受け継いだ時、
言霊にあった名が気になり、魔法王ルイ・サレオンの至宝と共に、
王都でいろいろと調べ学んでいた。
王立図書館、冒険者ギルドの資料室、書店等々……
各所でディーノが得た知識によれば……
『高貴なる4界王』とは、4人の最上級精霊をまとめて呼ぶ尊称である。
この世界には創世神による、理の根幹を為す、
4種の精霊達が存在する。
地・水・風・火の4大元素にひもづく、精霊達である。
地、すなわちノーム。
水、すなわちウンディーネ。
風、すなわちシルフ。
そして火、すなわちサラマンダー。
ちなみに、オルトロスが言ったノーミードとは、
地の精霊ノームの女性型である。
目の前に居るヴィヴィは仮初の姿として、ノーミードに擬態しているらしい。
閑話休題。
話を元に戻そう。
この4精霊をそれぞれ支配し、統括する存在が高貴なる4界王なのだ。
地の支配者、地界王アマイモン。
水の支配者、水界王アリトン。
風の支配者、空気界王オリエンス。
そして火の支配者、火界王パイモンの4人である。
今、ディーノ達の目の前に現れたのは……
高貴なる4界王のひとり、地界王アマイモンの娘と名乗る、
『ヴィヴィ』という名の少女であったのだ。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ディーノが記憶を手繰り、頷くと……
『ふん! やっと私の高貴さが分かったみたいねっ!』
ヴィヴィは鼻を鳴らし、また歩き出した。
苦笑したディーノが改めて戦友達を見やれば……
パニックに陥るとか、逃げるとか等の様子は全くなかった。
「単に」というのも変だが、驚愕しているだけである。
「すたすた」とヴィヴィは歩き、あっという間に、
ディーノのすぐ近くにまで接近した。
そして、またも腕組みして、ディーノを睨みつける。
機嫌があまりよくないのだろうか……
まあ、このような、超が付く上から目線のお嬢様女子に関しては、
ステファニーとのやりとりから得た経験が活きるはず。
皮肉なものだ……
思わず苦笑したディーノは、ヴィヴィに尋ねる。
『ヴィヴィ様は俺に、どのような御用なのですか?』
『こら! あんたも名乗りなさい! 私はもう名乗っているのよ!』
『あ、すいません。俺、ディーノです、ディーノ・ジェラルディと申します』
『ディーノ? ふん! 名前だけはカッコ良いじゃない』
『はあ、それでヴィヴィ様は俺にどのような御用なのですか?』
『そんなの決まってるじゃない!』
『はあ、決まってる? ……のですか?』
『こら! はあはあ、間の抜けた返事をしないの!』
『はい、すみません。教えて頂けますか?』
『宜しい! 地の魔法を使うあんたが、私の眷属に相応しいかどうか見に来たのよ!』
『眷属?』
『そう、眷属! もし眷属と呼ばれるのが嫌なら、従者、もしくは、しもべでもOKよ。私がテストして、あんたを気に入ったなら召し抱えてあげる!』
ステファニーに続き、またか!
という感じである。
「一難去ってまた一難」という言葉がぴったりだ。
『いや……それは、ちょっと』
『何よ? ちょっとって!』
『はあ……』
『何よ! 不満なの? パパの加護を受けて、地の魔法を使う貴方が拒否るわけ?』
『確かに……俺は、ヴィヴィ様のお父上の加護を受けていますねぇ……』
ディーノは、アルドワンから託された地の究極魔法の言霊を思い浮かべた。
既に無詠唱で行使出来るレベルに到達しているが……
言霊の中には、確かにアマイモンの名があった。
『でも……ようやくそういう環境から脱出が叶ったので、申しわけありませんが、お断りしますよ』
ようやくそういう環境から脱出が叶った……
当然、ステファニーの暴力的支配から抜け出した事である。
しかしヴィヴィはディーノの返事を聞き、驚愕している。
『な!? 断るっ!? どどど、どうしてっ!?』
『あの……そんなに驚く事ですか?』
『驚くわよ! 高貴で美しい私に仕えるのは、とってもとっても栄誉なのよっ!』
どうやら……
ヴィヴィは断られると思っていなかったらしい。
どんだけ、自分に自信があるんだ?
と、ディーノは思う。
しかし返す『答え』は既に決まっていた。
『いや、栄誉より、俺は自由を優先しますので』
するとヴィヴィは、離れて控えている、ケルベロス達を、
「びっ!」と指さした。
『何よ、ディーノ! あんただってあの犬や猫を従属させているじゃない!』
この指摘は想定内である。
ディーノはゆっくりと、首を横に振った。
『いや、違いますよ。従属じゃありません、彼等は戦友です。俺とは対等な関係ですよ』
『嘘!』
やはりと思う。
ヴィヴィの話し方はステファニーに良~く似ている。
高圧的なお嬢様は皆同じだと、ディーノは思う。
と、ここでヴィヴィが反撃する。
『断るんだったら、ペナルティを課すわよ!』
『ペナルティ?』
『そうよ! あんたが習得した地の魔法を使えなくしてやるわ』
アルドワンから継承した魔法は、地の精霊から力を得ている。
それがアマイモンの愛娘ヴィヴィによりシャットアウトされる。
ゴーレムを使役する魔法が……使えなくなる。
ディーノの表情が少し曇った。
『それは……困りますね』
『すっごく困るでしょ! だったら、私に従いなさい!』
『いやあ、難しい問題ですね』
『何が難しいのよ! 大体、ろくに魔法の素養もなく、さえないあんたが、何故、地の大魔法を使えるのよ! 経緯を教えなさい!』
地の魔法習得の経緯を教えろ?
いろいろと内緒にしている事も多々ある。
普通は教えたりしない。
だが……
この場合は相手が相手、理由も含め、仕方がない。
『はあ……じゃあ、ヴィヴィ様、とりあえず座ってください。実はこんな経緯なんですが……』
というわけで、
ディーノは持っていたハンカチを敷き、ヴィヴィを座らせると、
自分は直に地面に座って、地の魔法を習得した経緯を、話し始めたのである。
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