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第137話「今度こそ決着を!?」

⛤『魔法女子学園の助っ人教師』

◎コミカライズ版コミックス

(スクウェア・エニックス様Gファンタジーコミックス)

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ほやほやの新刊です!

書店様で、ぜひお手にお取りください。


※6月29日付けの活動報告に『書影公開』『発売記念フェア開催のお知らせ』等、

『魔法女子』のコミックス第3巻の情報をまとめて掲載しましたので、宜しければご覧くださいませ。

 元気に返事を戻したディーノは、足取りも軽く、

 ブランシュと共に、魔導昇降機へ乗り込んだ。


 魔導昇降機の扉が閉まると同時に、「待ってました」といわんばかりに、

 ブランシュが話しかけて来た。


「ディーノ君っ!」


「はい」


「今回は、本当に良く頑張ったわねっ! お姉さん感動しちゃった!」


 お姉さん?


 ……やっぱりそうかと、ディーノは思う。

 まだディーノは15歳……

 年上の女子達から見れば、まだまだ子供なのだ。


 奴隷のように扱うステファニーは論外!!

 ……5歳以上離れたジョルジエットは勿論なのだが、あまり年齢が変わらない、

 クランでは最年少のタバサでさえ、ディーノに対しては弟のように接して来る。


 「あ~あ」とがっかりする。

 早く大人の男へ。

 頼られる対象になりたいと切に願う。


 「つらつら」考えるディーノへ、ブランシュは話を続ける。


「よっく生きて帰ったわ! 超が付く大手柄よ!! 貴方を入れてたった6人で、1万頭のゴブリンに勝つなんて!」


「いやあ……たまたま運が良かったんです」


「何言ってるの! 伯爵から聞いたわよ」


「え? 伯爵」


「そうよ、ライアン伯爵! 今回の楓村案件において、ディーノ君が凄い魔法剣を使ったって報告を、マスターと一緒に聞いたのよ」


 うわ……

 あれだけ、口止めしたんだけど……


 とディーノは困惑した表情を浮かべる。


「あの、……それ、あまり大っぴらには……」


 言いかけるディーノの背を「ぽん!」とブランシュが叩く。


「大丈夫! 伯爵からは重々念を押されたから。このギルドではマスターと私しか知らないわ」


「助かります」


「マスターも私同様に、大喜び! いつものクールビューティさはどこへやらって感じよ」


 ミンミさんが……大喜び?

 どんな感じなんだろう?


 そうこうしているうちに、魔導昇降機は最上階5階へ到着。

 ふたりは歩いて、マスター室の前に立った。


 ブランシュが軽くノックをして、呼びかける。


「マスター、ディーノ君を連れて来ました」


「はい! 待ってたわ! 入って頂戴ちょうだい!」


 「ほらねっ」と同意を求めるように悪戯っぽく笑うブランシュは、

 上司のミンミを焦らすかの如く、敢えてゆっくりと扉を開けたのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 ……キャルヴィン・ライアン伯爵から、報告はあった。

 しかしミンミもブランシュも、ディーノの口から直接、

 今回の事件発生、経過、そして顛末てんまつを聞きたがった。


 当然、ディーノは話を『極力抑え気味』に話して行く。

 魔法剣の表現は控えめにしたのは勿論、

 地の魔法を使ってブレーズの石像を動かした事、

 悪魔メフィストフェレス出現などの『マル秘事項』は伏せている。


 だが……

 生と死の狭間を行き来したともいえる、リアルな戦いの様子を、

 ミンミもブランシュも身を乗り出して聞いていた。

 特にゴブリンシャーマンの魔法障壁を打ち破り、倒した話には、

 大興奮したようである。


 やがて……

 ディーノからの報告は終わった……


 ミンミもブランシュも感嘆して、「ほう」と大きく息を吐いた。


 まず口を開いたのはミンミである。


「ディーノ君、凄いわ。伯爵も言っていたけれど、貴方はランクBに留まる器じゃない」


 当然、ブランシュも追随する。


「そうよ、マスターの仰る通りだわ。まずは私と同じランクAを、そして、マスターを目指し、ランクSへ到達して欲しい」


 ギルドのエース級ふたりからこう言われては、悪い気はしない。

 だけどディーノはあくまでも慎重である。


 「たまたまだ」と己を戒める。

 『導き継ぐ者』により能力を授けられた事に加え、

 ケルベロス達良き戦友に恵まれたのに過ぎない。

 

 自分は真っ当に修業をしていない。

 だから、偉そうに振る舞う気は全くなかった。


 しかし……

 志半ばで果てた、いろいろな人々のこころざしと思いを託され、

 難儀する人々を助けながら生きて行くのが自分の役目であり、

 人生なのだと改めて実感していた。


 自問自答していると……

 心の中へ謎めいた内なる声がささやいてくる……


 お前はまだまだ道半ば……

 もっと上を目指せ!

 志と思いを託したい『待つ者』は、まだまだ数多あまた居る……と。


 そんなディーノの思いは……

 ミンミが呼びかける声で破られた。


「ディーノ君」


「は、はい」


「というわけで、私と戦って貰うわ」


「は?」


「この前の認定試験は引き分け……だから今回は決着をつけましょう」


「こ、今回は? け、決着!?」


 驚くディーノ。

 ミンミは……と改めて見やれば、目がマジだ。


 と、ここで慌ててフォローしたのがブランシュである。


「ジャストモーメント! マスター! あくまでディーノ君のランクA認定の為の参考試合、エキシビションですからね」


「分かってるって!」


「あまりマジにならないでくださいよ! いざとなれば、私が止めます! 絶対に!」


 口調からして、ブランシュも……マジである。


 一体、どうなるのか……

 ランクアップへの期待と、ミンミが本気を出せば、

 一方的にやられるのではという不安が交錯する。


 複雑な気分のディーノは、少しでも緊張を和らげようと、

 大きく息を吐いたのである。

いつもご愛読頂きありがとうございます。


※当作品は皆様のご愛読と応援をモチベーションとして執筆しております。

宜しければ、下方にあるブックマーク及び、

☆☆☆☆☆による応援をお願い致します。


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