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第135話「英雄亭宣言」

⛤『魔法女子学園の助っ人教師』

◎コミカライズ版コミックス

(スクウェア・エニックス様Gファンタジーコミックス)

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※6月29日付けの活動報告に『書影公開』『発売記念フェア開催のお知らせ』等、

『魔法女子』のコミックス第3巻の情報をまとめて掲載しましたので、宜しければご覧くださいませ。

「俺、伯爵のご提案を全てお断りしました」


 ステファニーへ衝撃の発言が為された2時間後……


 ディーノ達は英雄亭で、打ち上げ会を行っていた。

 当然今回の『楓村戦役勝利』の打ち上げである。


 メンバーの中に、大荒れしたステファニーとカルメンは居なかった。

 ディーノとの一件で、気分を害し、ボイコットしたわけではない。

 事件直後に運良く、カルパンティエ公爵と、謁見の運びとなったからだ。


 という事で、留守番をしていたニーナが加わり、

 メンバーは楓村のエミリーに、デート組の女子4名とディーノの計6名である。


 全員で乾杯した後……

 今回の戦いの検証と報告が為された。


 生と死の狭間に立ち続けた、想像以上の激戦の様を聞き、ニーナは驚愕し……

 全員無事で帰還した事を大いに喜んだ。


 但し、ディーノの要望で例の魔法剣は極力抑えめの表現となった。

 またブレーズ様の石像が突如動き出した事象に関しては、

 「奇跡が起こった!」という認識で、ディーノ以外の者は一致していた。


 更に最大の話題は……

 ステファニーへ『二度目の絶縁宣言?』をしたディーノの今後、身の振り方である。

 何故ならば、それ次第で女子達も同じく、今後の身の振り方が決まって来るからだ。


 まず最初に切り込んだのは、ニーナとマドレーヌである。


「ディーノさん、結局、ステファニー様とは結婚しないのですね?」


「エモシオンにも行かないって事よね?」


 対して、ディーノはあっさり。


「ああ、ステファニー様とは結婚しないし、エモシオンにも行かないですよ」


 ディーノの答えを聞き、ふたりはきっぱりと言い放つ。


「じゃあ、私もエモシオンへ行かない」

「ステファニー様の家臣になるのも取りやめね」


 意思決定したふたりに続いたのが、ジョルジエットとタバサだ。


「私も同じ」

「私だって!」


 最後にニーナも、


「これで私も踏ん切りがつきました。エモシオン行きをお断りします……だって遥か南で、故郷の楓村からは遠いんですもの」


 しかし、ここでディーノがひと言。


「俺の事はさておき……辺境伯家の家臣って、待遇的にそう悪くないんじゃないかな?」


 ディーノに同意したのが、ジョルジエットである。


「確かに……ステファニー様から提示された待遇なら給金は悪くないし、仕事は比較的楽。辺境の地で魔物はたくさん出るけど、少なくとも明日をも知れぬ冒険者よりもずっとローリスクで安定しているかも、ね」


「ですね。ジョルジエットさんの仰る通りだと思います」


「だけど、ディーノ君」


「はい」


「貴方の方こそ、貴族家の養子話や騎士隊入隊のお誘い等、素敵な話をきっぱり断っているじゃない?」


「確かに……でも人生の分岐点だと認識して、俺も熟考しましたから」


「ふ~ん……熟考ねぇ」


 というやりとりがあった後……


「ディーノみたいにじっくり考える事は必要かも!」


 そんなマドレーヌのひと言で、話に火が点いた。


 こうなると……喧々諤々(けんけんがくがく)

 いろいろと意見交換が為される。


 『愛』だけではなく、エモシオン行きは、

 彼女達の『将来』も大きく左右されるからだ。


 ジョルジエットの言う通り……でもあり、

 冒険者は一生続けられる仕事ではないという思いも、

 クラン鋼鉄の処女団(アイアンメイデン)メンバーにはあった。


 だが、タバサもひと言。


「でも、ディーノがステファニー様と結婚しないんじゃあ、私達が辺境伯家に雇用される約束も、結局は反故にされるんじゃない?」


 確かに!

 と全員が頷いた。


 一体、約束はどうなるのか?

 今の状況では、とても聞きにくい。

 しかし誰かがステファニーへ確認するしかない。


「じゃあ責任上、俺が……」


 と、ディーノが手を挙げかけたが、マドレーヌが止めた。


「気持ちはありがたいけど……ディーノだけは、ステファニー様に聞かない方が賢明だわ」


「まあ……確かに、そうか。話の経緯いきさつからすれば『火に油』となるだろうからなあ」


 申しわけなさそうに、ディーノが引き下がると、


「そうだ! 名案を思い付いた! カルメン姉御だよ! 姉御にお願いして、ステファニー様に聞いて貰おう」


 と、提案したのは知恵者のタバサである。


「結果次第、両にらみで各自が身の振り方を柔軟に考えておこうよ」


 とりあえず、全員一致で「これが一番無難」という事になった。

 カルメンは、オベール家の正式な副従士長であるのだから……

 窓口としては、最適だとの判断である。


 そしてエミリーは、


「私は先ほど、英雄亭で働く事を店主のダレンさんに了解して貰いました。しばらくこちらでお世話になります。ニーナさん、宜しくお願い致します」


「こちらこそ!」


 と笑顔を戻すニーナ。


 ……という事で、最後に己の意思を示さなければならないのは、

 やはりディーノである。


「ええっと……ず~っと考えに考えていたけれど」


 自分の行く末を言いかけるディーノへ、女子達の熱い視線が一斉に注がれる。

 全員が言葉を発せずに、黙って聞いていた。


「「「「「…………」」」」」


 ディーノはもう決めていた。

 何を告げるのかを。

 

「こんなさえない俺なんかに好意を持ってくれる、みんなの気持ちは凄く嬉しい」


「「「「「…………」」」」」


「全員、可愛いし、優しいし……誰かを選べと言われても……情けないけど決められないんだ」


「「「「「…………」」」」」


「申しわけない! だから自分の気持ちを見つめ直す為に……ステファニー様も含め、全員と少し冷却期間を置こうと思う」


 ディーノはそう言うと、深々と頭を下げた。


 冷却期間を置く!?

 これまたステファニーに対しての宣言同様に、相当な衝撃の発言である。


「れ、冷却期間って何ですか!?」

「何、それ!」

「どういう事」

「教えて! ディーノ」


 当然、非難に近い声が、女子達からディーノへ殺到した。

 しかし、ここでは一番年上のジョルジエットが、

 抗議する女子達へ「待った」をかけた。


「みんな! ちょ~っとストップ! 成る程……冷却期間ね。良いかもしれない」


「ジョルジエットさん!」

「良い事って、どういう事、姉!」

「教えてよっ」

「お願いします!」


 対して、両手を大きく広げ制し、ジョルジエットは、

「問合せ殺到!」の雰囲気を和らげる。


「私も含めて……ディーノとは全員が、出会いから今までにドラマチックな事がた~くさんあったじゃない?」


「ドラマチックな事?」


 と、マドレーヌが尋ねれば、ジョルジエットは微笑み……


「ピンチを救ってくれた王子様的な登場とか、生死を共にした男と女……とかさ」


「確かに」

「まあ、そうよね」

「納得」

「それで? 続きを話してください」


「彼を大好きという今の感情は、雰囲気に流された勢いによるところが大きいのかも」


「雰囲気に流された勢いかぁ……」

「そうかもしれないわ」

「うう~ん……」

「言われてみれば」


「人生のターニングポイント、恋愛や結婚に勢いは必要で大事だと思う。だけど一旦、立ち止まって自分の気持ちを見つめ直す事もやってみる価値はある。将来、後悔しない為にね」


「気持ちを見つめ直す、かぁ……」

「う~ん、そうかも……」

「後悔は……嫌だよね」


 と、良い雰囲気にまとまりかけたその時!

 タバサが、結果的に余計なひと言を告げてしまう。


「ジョルジエット姉! 私も同意! さっすが! 年の功だねっ!」


「はあ? 年の功? タバサ、それってどういう意味よ? 私がおばさんって事?」


「い、いや、違うって、ねぇ!」


 険悪? な雰囲気になりかけたその時……

 最後に締めたのは、やはりディーノだ。


「フォローありがとうございます。ジョルジエットさん、凄く助かりました!」


 深く頭を下げたディーノを見て、ジョルジエットの機嫌はすぐに直った。

 

 こうして……

 再び和やかになった、女子達は……

 ディーノを交え、楽しくにぎやかに『打ち上げ』を行ったのである。

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