第132話「切り返し」
⛤『魔法女子学園の助っ人教師』
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何故なのか……
栄誉を手に入れ、美しい貴族令嬢とも結婚する……
平民の冒険者にとっては、とんでもなく良い話なのに?
?マークを飛ばすキャルヴィンを、複雑な表情で見つめるディーノは、
どうやってこの危機を回避しようか、必死に考えていた。
「…………」
「…………」
無言のディーノとキャルヴィン。
沈黙が、ふたりきりの馬車の車内を支配した。
しばし経って……
先に口を開いたのはディーノである。
「伯爵……」
「何だ、ディーノ」
と、尋ねるキャルヴィンに対し、衝撃の答えが戻された。
「折角のありがたいお話ですが、全ての件を辞退させて頂きます」
「な、な、な、何ぃ~っ!? じ、じ、じ、辞退って!? な、な、何故だあ~~っ!!!」
キャルヴィンが大きく噛むほど、驚くのも無理はない。
もし自分がディーノであれば、こんなに素敵な話はないと、
すっかり信じ切っていたからだ。
しかしディーノは興奮した様子もなく、淡々と告げる。
「はい、全てはステファニー様の為です」
「ス、ステフィの為!? どどど、どういう意味だっ!」
「はい、俺は楓村で、ステファニー様が王都へ来た目的をお聞きしました」
「それは私も聞いた! ステフィがエモシオンからわざわざ王都へ来たのは、ディーノ、お前と結婚する為だろうが!」
「はい、それもあるとお聞きしました」
「何? それもある?」
「はい、ステファニー様が王都へいらっしゃったのは、お父上のオベール様の跡を継ぎ、女子の身で当主になる為だとお聞きしました」
「むうう……そう言えば、確かにその件も言っていた」
キャルヴィンが納得し、同意した。
「ここが肝心!」とばかりに、ディーノは言葉に熱を加味し、力説する。
「はい! 平民の俺なんかとの結婚よりも! ステファニー様が、女性辺境伯になられる方が、本題だと思いますっ!」
「う、ううむ……それは確かにお前の言う通りだな」
「俺には詳しい事情が分かりません。ですが、伯爵の上席でいらっしゃる寄り親のカルパンティエ公爵閣下へお会いして懇願すると、ステファニー様は仰っていました」
「うむ……手続き上、確かにそうなる。ステフィが辺境伯となるには、願いを受けた寄り親の公爵閣下から、陛下の弟君でいらっしゃる宰相フィリップ様へお伝えし、ご了解を取るという形になるのだ」
「で、あれば! 提案致します!」
「て、提案?」
「はい! 楓村における今回の功績全てをステファニー様ご自身のモノとすべきです。俺は単に一兵卒として戦いに参加したという形であれば、宜しいかと思いますっ!」
「ふうむ……」
「若輩ながら一隊を率いてゴブリンの大群と戦い、大功を立てたステファニー様の覚えはめでたく、公爵閣下へお願いもしやすい……オベール家当主となる話が許可される確率も高くなる、という推測です」
「うむ……ディーノ、お前の推測は正しい。……言う通りかもしれん」
「はい! ご報告において! 俺などという余計なバイアスは一切不要です!」
「りょ、了解だ。まあ……ステフィとの結婚話は後回しにするとして……お前自身はそれで良いのか? ディーノ」
「はい! 俺は手柄など不要です。それとやっぱりステファニー様に、俺は全く不似合いです。礼儀作法も知りませんから貴族や騎士になるのも無理ですよ」
「うむむ……」
「今のまま平民で、気楽な冒険者というポジションの方が合っています。結婚相手も相思相愛な、ここ大事だから強調して繰り返します、相思相愛な! 平民の女子を! 自分で探しますっ!」
「むうう……お前にステフィとの結婚の意思が全くない事は良く分かった。しかし、お前の強さを王国の為に役立てないのは……とても残念だ」
「いえ、伯爵とはせっかくご縁が出来ましたから、これ限りというのではなく、今後は、気楽に声をかけてください。何かあれば騎士隊の食客という立ち位置で、誠心誠意、働かせて頂きます」
「それは大いに助かるな……冒険者のお前を騎士隊が雇うという形になるのか……」
「その通りです! ステファニー様へは伯爵から、宜しくお伝えくださいっ!」
「お、おう……」
「念を押させて頂きます。俺は『結婚する意思が全くなし』と間違いなく伝えて頂き、しっかりとステファニー様からあきらめるようご了解を取って頂ければありがたいのですっ!」
「わ、分かった……了解した」
「ご厚意、心から感謝致しますっ、伯爵!」
良かった……
切り返す事が……出来た。
キャルヴィンへ、元気よく礼を述べたディーノは、
笑顔で平静を装っていたが……
心の中ではどっと疲れ、安堵のため息を、大きくついていたのである。
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