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第131話「ステファニー様の陰謀②」

⛤『魔法女子学園の助っ人教師』

◎コミカライズ版コミックス

(スクウェア・エニックス様Gファンタジーコミックス)

☆最新刊『第3巻』

6月27日発売!

ほやほやの新刊です!

書店様で、ぜひお手にお取りください。


※6月29日付けの活動報告に『書影公開』『発売記念フェア開催のお知らせ』等、

『魔法女子』のコミックス第3巻の情報をまとめて掲載しましたので、宜しければご覧くださいませ。

「ディーノ、ご苦労様。今回はいろいろな意味で良くやってくれた」


 いろいろな意味?

 『楓村の救援以外』という意味?

 

 キャルヴィンのねぎらいは、とても含みのある言い方であった。

 ディーノは気になったので、一応確認する事にした。


「はい……まあ、何とか……でも伯爵、いろいろな意味って何ですか?」


「うむ! 楓村の人々を救ってくれたのは、戦う者、つまり王国の騎士としては勿論なのだが……」


「…………」


「私の親友、クロード・オベール辺境伯の愛娘ステフィだよ」


「ス、ステファニー様?」


「うむ、ステフィの困難な戦いを助けた上、彼女を守り、命を救ってくれた事には特に感謝しているんだ」


 キャルヴィンがそう言うのはもっともだ。

 

 カルおじさまに、ステフィちゃん……

 昨日のステファニーとの気安いやりとりを見ても、彼女の父オベール辺境伯は、

 このライアン伯爵とは、よほど親しい友人なのだと、ディーノは思うから。


「はい……それも、まあ何とかなったという感じですね」


「いやいや謙遜けんそんするな。お前はあまり語らないが、凄い風の魔法剣を使ったと村民からは聞いたぞ」


 キャルヴィンは現場責任者として上席であるカルパンティエ公爵へ、

 今回起こった事件の詳細な報告をしなければならない。

 楓村の村民達へも念入りに事情を取材したのは当然である。

 

 話をした村民に箝口令かんこうれいはしけない。

 責めることなどもディーノには出来ない。


「はあ……俺の技が何とか役に立って良かったです」


 ディーノはとりあえず当たり障りのないコメントを戻す。


「奥ゆかしいな、お前は……というわけで、ディーノ、お前を我が王都騎士隊の特別枠入隊という事で、私から上席のカルパンティエ公爵閣下へ推薦しようと思う」


 お前を我が王都騎士隊の特別枠入隊!?

 私から上席のカルパンティエ公爵へ推薦?

 な、何だ、それぇ!


「は?」


「は? ではないぞ、ディーノ」


 というキャルヴィンは笑顔……

 否、満面の笑みを浮かべている。

 

 ディーノは焦り、ぶんぶんと首を横に振った。


「いやいや……ジャストモーメント! というわけでって何ですか、それ? 俺が騎士隊へ入隊なんて、じょ、冗談ですよね、伯爵」


「いやいや、と言うのはこっちのセリフだぞ。冗談を言っているのではない。私は至って本気だ」


「ええっ、本気って何故ですか?」


「うむ! 昨夜ステフィから熱心に頼まれたんだ。私にも全く異存はない」


 ステファニーから熱心に頼まれた!?

 嫌な……予感がする。

 そう、凄く嫌な予感がガンガン攻めて来るのだ。


「ちょ、ちょっと待ってください、伯爵。ステファニー様から熱心に頼まれたって、一体どういう事ですか? 話が全く見えませんけど」


「うむ! お前の言う通り、最初はステフィのジョークだと思っていた。事が事だけにな」


「な、何をですか?」


「何だ? まだ分からんのか? 察しが悪いな」


 キャルヴンは少し不満そうだ。

 せっかくこの私が見込んだお前なのに、少々鈍いぞ!

 そう言っているように、ディーノは感じた。


 だが、察しが悪いって?

 ディーノはピンと来た。

 

 先ほど起こった不安が黒雲のように心の中に広がって行く……


「…………」


「ディーノ、お前……わざとこの話題を避けてはいないか?」


 さすがにキャルヴィンは、ディーノの微妙な気持ちに気付いた?

 しかし……曲解をしているようでもある。

 

「うう……俺にはお構いなく、……仰ってください」


「ならば言おう! 決まってる! お前とステフィの結婚の事さ。そう照れるな」


「げっ!」


 ズバリ!

 核心を衝かれて、ディーノは動揺した。


 そんなディーノを他所よそに、キャルヴィンの話は続いている。

 ハッとして、ディーノが見やれば、再び上機嫌なキャルヴィンへ戻っていた。


「じっくり話してみて分かった。ステフィは……あの子は、お前に本気だ。良かったな」


 いやいや、本気なんて!

 そんなの全然良くないっ!!

 

 思わず叫びたい気持ちを、ぐっとディーノは押さえつける。

 無言となる。


「…………」


「ステフィからいろいろとアドバイスされ、成る程と思った。この方法ならお前は身分など関係なくステフィと結婚出来る」


 ステファニーからのアドバイス?

 そんなの『とんでもない悪知恵』に決まってる!


「ど、ど、どういう方法なのですかっ!」


「うむ! 私の親しい仲間にはな、後継者が居ない貴族が大勢居るのだ」


「後継者が……居ない貴族が大勢……」


「うむ! 彼等からは、文武に優れ、健康な若い男子が居れば、ぜひにと候補推薦を頼まれておる」


「え? 候補って……」


「ディーノ、お前ならば適任、養子として文句なしだ」


「よ、よ、養子~っ!?」


「その通り! お前は貴族家の養子、次期当主となり、跡を継ぐ」


「はああっ!?」


「今回の功績ならばカルパンティエ公爵閣下も文句なく入隊にOKを出すだろう。養子となったお前はめでたく王都騎士隊所属の貴族となり、晴れてステフィと結婚する事が出来るのだ」


「…………」


「念の為、跡取り同士が結婚しても、何の問題もない。どちらの姓を名乗っても、ミドルネームにして、全く新たな家を興すのも構わない」


「…………」


「領地が離れていても全然ノープロブレム。王都に本家を置き、エモシオンへは政務を代行する管理官を置けば良い。子供が複数出来たら分家するのもOKだ」


「…………」


「結果、全てが丸く収まる。我が王都騎士隊はお前という大きな戦力を得て、カルパンティエ公爵閣下はお喜びになる! 親友オベールはお前が貴族ならば納得し、お前とステフィの結婚を許可せざるを得ない」


「…………」


「王都騎士隊、跡取りの居ない貴族家、双方にお前を推薦した私の顔も立ち、結婚したステフィは相思相愛で幸福となる、誰もがハッピー、パーフェクトだ!」


「…………」


「ははははは、本当に良かったな。ステフィは可愛いだけではない。頭も抜群に切れるし優しい良い子だぞ」


「…………」


「子供も大好きで良妻賢母。本来は暴力を好まない、戦いなどもっての外だそうだ」


「…………」


「ステフィと結婚したいお前には大が付く朗報だし、超の付く名案だろう?」


「…………」


 うっわ!

 このライアン伯爵……

 騎士隊の隊長という地位だから強いだろうし、優秀な貴族に違いない。

 そして、オベール父娘とは長い付き合いらしいけど……

 

 絶対に見誤ってる!

 大いに誤解している!

 

 優しい?

 良妻賢母? 

 本来は暴力を好まない?

 戦いなどもっての外?

 ステファニーを表現する言葉に『不適格なモノ』がいっぱい混ざっている。


 油断していた!

 してやられた!

 昨日の「セーフ」は完全にノーカウントとなってしまった。


 お~ほっほほほほほほほほぉ~!

 あ~はははははははははは~っ!


 ディーノの心の中にステファニーの高笑いが響いている。


 ステファニーが凄く負けず嫌いなのを忘れていた。

 彼女は、『やられっ放し』が我慢出来なかった。

 

 ディーノがあずかり知らぬところで、

 密かに怖ろしい陰謀いんぼうは進んでいたのだ。


 片や、同意しないディーノを、訝し気に見るキャルヴィン。

 何故なのか……

 栄誉を手に入れ、美しい貴族令嬢とも結婚する……

 平民の冒険者にとっては、とんでもなく良い話なのに?

  

 ?マークを飛ばすキャルヴィンを、複雑な表情で見つめるディーノは、

 どうやってこの危機を回避しようか、必死に考えていたのである。

いつもご愛読頂きありがとうございます。


※当作品は皆様のご愛読と応援をモチベーションとして執筆しております。

宜しければ、下方にあるブックマーク及び、

☆☆☆☆☆による応援をお願い致します。


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