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第129話「セーフぅ!!」

⛤『魔法女子学園の助っ人教師』

◎コミカライズ版コミックス

(スクウェア・エニックス様Gファンタジーコミックス)

☆最新刊『第3巻』

6月27日発売!

ほやほやの新刊です!

書店様で、ぜひお手にお取りください。


※6月29日付けの活動報告に『書影公開』『発売記念フェア開催のお知らせ』等、

『魔法女子』のコミックス第3巻の情報をまとめて掲載しましたので、宜しければご覧くださいませ。

『ディーノ……ですか。真名ではなく通り名とはいえ、まあまあの名前じゃないですか』


 メフィストフェレスはそう言うと、またも指を鳴らした。

 今度は『異界門』蒼き火球が現れた。


『ディーノ、この借りは必ず返します。ではいずれ、ごきげんよう!』


 別れの挨拶が告げられた瞬間!

 巨大な蒼い炎がメフィストフェレスの身体を包み込み、

 「ぼっ」と異音を立てた。


 そして『光を愛さない悪魔』は、火球ごと、

 ディーノ達の目の前から忽然こつぜんと消え失せた。


 ……怖ろしい悪魔が去ったのを認識すると、

 緊張が解けたディーノは「ほう」と軽く息を吐いた。


 術を解かれ、元の状態に戻ったケルベロスも、元気一杯である。


『あれほどの大悪魔を追い返すとは、良くやったな、ディーノ』


『……何とかな、あいつに思い切りケンカを売って、去り際に捨て台詞ゼリフを吐かれたが』


『仕方がない。OKすれば騙された上、心をとらわれて、難儀なんぎしたはずだから』


『心を? ぞっとするな。それにここで派手に戦えば、ステファニー様達や楓村も巻き込む事になる』


『うむ、そうだな。賢明な対応だったさ』


『ああ、でもメフィストフェレスの事は、とりあえず内緒にしておこう』


 そこまで話したその時。

 ふたりは1㎞ほど先に、こちらへ向かう数多の騎馬の気配を感じた。


『あれ? これって?』


『むう、この気配は……大勢の騎士達だぞ』


『そうか! 多分、王都の騎士隊だ。楓村の領主は知らんぷりのはずだから……近隣の村の誰かが、たまたまゴブリンを見て通報したんだ、きっと』


『ディーノ、どうする? この場で騎士達を待つか?』


『いや、皆、心配しているだろうし、楓村へ帰還しよう。村で騎士達に説明するのがベストかな』


『ふむ……』


『そうだ! 経緯の説明はステファニー様にして貰おうか。騎士イコール貴族だし、ややこしくならなくて適任だろう?』


『ああ、賛成だ。お前はいつもあの子に尽くしているから、たまには貢献して貰えば良いさ』


『そんな事言うと、絶対殴られるから、言わん。沈黙は金』


『ふっ、良く思うが……』


『何が?』


『お前はいつも、あのお転婆には優し過ぎるくらい優しいな』


『まあ、女子に優しくするのは男の甲斐性だって、死んだ父親が言ってたから』


『成る程』


 と、上手く『おち』がついたところで……

 ディーノとケルベロスは、顔を見合わせ晴れやかに笑ったのである。


 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 悪魔との対峙が終わって、10分後……

 デイーの達は楓村へ帰還した。

 

 ステファニー達女子軍団は勿論、アンセルム以下村民達から、猛烈な歓迎をうけたのは当然であった。

 

 ちなみにブレーズ様の石像は戦いが終わると、

 いつのまにか元の場所へ自ら戻り、物言わぬ石像に戻ってしまっている。


 更にその30分後……

 ディーノとケルベロスが察知した騎士隊100騎余は、楓村へ到着していた。


 先ほどのディーノの推測通り、楓村隣村の猟師達が、おびただしいゴブリンの大群を目撃し、そのまま馬を飛ばして王都へ通報したのである。

 通報を受けた隣村の領主は、報告を聞き、王都騎士隊へ救援要請をしたという次第……


 救援に赴いた一隊を率いるのは、ステファニーの父クロード・オベール辺境伯の旧友だというキャルヴィン・ライアン伯爵である。


 当然ステファニーとも、ステフィ、カルおじさまと、あだ名で呼び合う旧知の仲であった。


 ディーノから頼まれたステファニーが、親しいキャルヴィンへの報告役を了解したのは言うまでもない。


「という事で……大変だったんですよ、カルおじさま」


「むむむむむ……1万頭以上のゴブリンか。それはとてつもない数だ。良くステフィちゃんは助かったな」


「うふふ、日ごろ領内で、私の従士カルメンとしっかり鍛えてますから」


 笑顔のステファニーはそう言うと、傍らに控えるカルメンを指し示した。

 指さされたカルメンも神妙に頷いている。


 キャルヴィンは、カルメンが高名な冒険者で旧友に雇われていると認識していた。

 その指導のたまもので、ステファニーが強くなったと理解する。


「成る程! でも1万とは、我が王都騎士隊総勢でも苦戦する難敵だ。今居る人数ではとても歯が立たん」


「でも論より証拠。この通り私達がバッチリ撃退しましたから! ねぇ、爺さん、じゃなかった村長」


 同意を求められ、アンセルムも笑顔で頷いた。


「はい! 楓村がこうして無事なのはステファニー様達のおかげです」


「ふうむ……だが領村がこれほど難儀しているというのに、領主としての義務を放棄するとは……デスタン伯爵はけしからん」


「その通りですわ。こういった悪政のやからは、おじさまからカルパンティエ公爵様にしっかり罰するよう報告してくださいな」


「うむ、了解だ。ステフィちゃんの言う通り、厳罰に処すよう伝えておこう」


「ついでに公爵様へ他の頼み事もしたいので、会見のお願いを……おじさまにも、上手くお口添え頂ければ、ステフィはすっごく嬉しいですわ」


 さすがはステファニーである。

 雨降って地固まる。

 今回の功績を、自分がオベール辺境伯家を継承する『追い風』とするつもりなのだ。


 その上……ちゃっかりと、


「今回の勝利における最大の功労者は、幼馴染で私の婚約者、ディーノ・ジェラルディで~す」


 と、自分とディーノの深い間柄を強烈にアピールした。

 キャルヴィンを証人として『既成事実』を作ろうとする魂胆こんたんが見え見えである。


 どっか~ん!!

 ステファニーによる『奇襲攻撃』がさく裂ぅ!!

 

 ディーノはびっくりし、必死に否定する。


「な! ステファニー様! 違いますって!!」


 キャルヴィンは旧友つながりで、幼い頃のディーノを見知っていた。


「おお、どこかで見た顔だと思っていたが……お前はディーノか? 大きくなったなぁ」


「は、はあ」


「でも、平民のお前がステフィちゃんの婚約者? 良くあいつが許可したな」


 キャルヴンの言う『あいつ』とは当然、旧友のステファニー父オベール辺境伯である。


 「これはヤバイ!」と感じ、すかさずディーノが、


「いいえ! 正式決定したわけではありません! 婚約者なんておそれ多い! ステファニー様一流のジョークですから」


 と言えば、キャルヴンは納得した。


「ジョークかぁ! だろうな! ステフィちゃんと平民の結婚なんて、クロードが許すわけがない!」


 チャンス!

 ここが勝負どころ!

 ヤマ場!

 といわんばかりに、ディーノは更に強調する。


「伯爵様の仰る通りですよぉ! 私みたいな平民がステファニー様と結婚なんて無理ですよぉ、ありえませんよぉ!」


 婚約の件に関してだけは、話が意図する方向へ行かず……

 ステファニーは渋い顔である。


 だが、ディーノは華麗にスル―して「セーフぅ!!」

 何とか事なきを得たのである。

いつもご愛読頂きありがとうございます。


※当作品は皆様のご愛読と応援をモチベーションとして執筆しております。

宜しければ、下方にあるブックマーク及び、

☆☆☆☆☆による応援をお願い致します。


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