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第123話「ディーノの秘策①」

⛤『魔法女子学園の助っ人教師』

◎コミカライズ版コミックス

(スクウェア・エニックス様Gファンタジーコミックス)

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 少し前までは、ディーノとは何の縁もゆかりもなかった人外の魔獣は……

 今や心をひとつにし、戦友、否!

 文字通り『背中を任せる親友』として新たな戦場へと駆けている。


 先ほどゴブリンシャーマンの波動はキャッチした。

 未だその場所から動いてはいない。

 先ほど豪語したように、ディーノ達など敵ではないと、

 舐め切っているに違いない。


 ゴブリンシャーマンが潜む森への途中にも、ゴブリンが数多点在している。

 ケルベロスは速度を緩め、ディーノは風の魔法剣で掃討しながら進んで行く。

 当然、不死者アンデッドにならぬよう粉々にするのを忘れない。


 ゴブリン達が倒されるごとに……

 首魁ゴブリンシャーマンが放ってくる憎悪の波動が強くなる。

 否!

 既に……

 憎悪を遥かに超えた凄まじき殺意である。


 ふたりはやがて『目的の森』へ到着した。

 ケルベロスは完全に速度を落とし、ディーノを背に乗せたまま、

 「忍び足」で接近していた。


 前方にゴブリンシャーマンらしき気配は確かにある。

 そして護衛らしきゴブリン数百の気配も。

 共に結界らしき魔法障壁に守られていた。


『どうする?』


 ケルベロスが尋ねたのは、当然ディーノが「どう仕掛ける」かだ。


『ああ、試してみたい作戦がある。……地の魔法を使う』


 亡きアルドワンが長年研究し、遂に見出した地の究極魔法。

 地属性の鉱物なら、全てゴーレム化出来る万能な魔法。

 その魔法なら……


『うむ、あの爺さんが遺した……英雄とやらの石像を動かした地の魔法か?』


『そうだ』


『しかしゴーレムを起動し、ゴブリンシャーマンを物理的に攻撃しても、奴の結界を破るのは難しいぞ』


 ケルベロスは既に告げた。

 ディーノが使う風の魔法剣は勿論、物理攻撃でも難儀する、

 強固な魔法障壁であると。


 しかしディーノに、動揺したり迷ったりする様子はない。


『大丈夫、想定内さ』


 きっぱりと言い切ったディーノの心強い言葉を聞き、

 ケルベロスの顔が自然と緩む。


『うむ、分かった! お前の作戦、楽しみにしてるぞ』


『ああ、楽しみに見ていてくれ』


 ディーノはそう言いながら……

 魔法発動に向け、ゆっくりと呼吸を整えていたのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 ディーノ達がゴブリンシャーマンを認識しているように、

 相手もこちらを補足しているようである。


 やがて強力な魔力に囲まれたゴブリンの一団数百が見えた。

 中心に座するひと際大きな個体……

 

 先端にどくろの付いた節だらけの魔法杖をかかえ、

 奇妙なデザインの法衣ローブをまとった者が、

 敵の首魁ゴブリンシャーマンらしかった。


『ハハハハハ、キタカ。オロカナコゾウト、ニンゲンニ、オヲフルカイイヌメ」


『…………』

『…………』


 しかしディーノ達は返事を戻さない。

 無言であった。


『ククククク。ドウシタ? オモイキリ、カゼノマホウヲ、ウッテミセロ。マリョクノムダニナルガナ』


『…………』

『…………』


『カゼデモ、ヒデモ、ナンデモイイカラツカッテミロ。イヌニカミツカセテモ、タイアタリサセテモ、カマワナイゾ。ク~ククククッ』


『…………』

『…………』


『ドウシタ? タタカウマエカラ、オビエタカ?』


 相手と無駄な会話をする必要もない。

 挑発に応じる必要も全く無い。


 かと言って、時は金なり。

 時間は大切且つ重要だ。

 戦闘時なら尚更である。


 ディーノは、伝わって来る波動から……

 じっくりとゴブリンシャーマンの位置と陣形を確認していた。


 ……多分、ゴブリンシャーマンは、

 ディーノ達の精神的な動揺を狙っているのだろう。

 「魔法も物理攻撃も一切通じない!?」という絶望感と無力さを味あわせて。


 と、その時。

 ディーノの推測を裏付ける事象が起こった。


 ディーノの頭上にいきなり巨大な火球が出現し、

 すかさず降下して来たのである。


 しかし百戦錬磨もケルベロスは即座に反応。

 ディーノを背に乗せたまま、跳躍し、火球をかわした。


『ホウ、カワシタカ。 ダガコチラハ、ケッカイノナカカラ、オモウゾンブン、オマエタチヲコウゲキデキル! イッポウテキニナ!』


 ゴブリンシャーマンの言葉に偽りはなかった。

 続々と頭上に火球が出現。

 ディーノ達へ対し、矢のように降り注いだ。


 しかし!

 ケルベロスは再びかわし続けた。


 ゴブリンシャーマンはディーノ達が火球を避ける様子を把握しているのか、

 勝ち誇って笑う。


『ハハハハハッ! イツマデ、サケキレルカナ? テモアシモダセナイ、オマエラヲナブリコロシ、ソノアト、ムラノニンゲンドモヲ、クイツクスッ!!』


 しかしケルベロスの背で火球を避けるディーノの口元には、

 不敵な笑みが浮かんでいる。

 

 すかさずディーノから膨大な魔力が放たれた。


 瞬間!


 ごおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!


 ゴブリンシャーマンどもがこもる魔法障壁の下……

 地下深くから凄まじい音が聞こえた。


 同時に!

 大地が「ぐらぐら」と激しく震動したのである。

いつもご愛読頂きありがとうございます。


※当作品は皆様のご愛読と応援をモチベーションとして執筆しております。

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