第122話「背中を任せる親友」
⛤『魔法女子学園の助っ人教師』
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凄まじい憎悪と殺意の波動がディーノを襲った。
同時に人間の声ではない念話も伝わって来る。
『ユ、ユルサンゾォッ! クソナマイキナコゾウメッ! コロシテヤルゥゥゥ!!』
『な!?』
『カナラズ、コロスッ! ワガコタチノカタキハ、ゼッタイニトルゾォッ!!!』
一旦は驚いたディーノであったが……
すぐに落着き、冷静さが戻って来た。
そして確信する。
不敵な笑みを浮かべる。
ふっ、探す手間が省けたぜ。
あっちから、のこのこ気配をさらけ出してくれやがった!
この独特な波動は……間違いない!
ディーノは見つけた。
奴らの本拠、迷宮の最奥では会えなかった、今回起こった大過の元凶をとうとう見つける事が出来た。
その存在を遂に補足したのだ。
すなわち最大の標的『ゴブリンシャーマン』を!
『おい! ゴブリンシャーマン! その言葉、そっくりお前に返してやる、薄汚い捕食者め!』
しかしゴブリンシャーマンは勝ち誇り、嘲笑する。
『ハハハハハハハハッ!!!!』
『何が可笑しい?』
『オロカナコゾウメ! オマエニ、ワタシハコロセヌ!』
『何!』
『オマエノ、マホウハキカヌ!』
『何? 俺の魔法が効かないだと?』
『ワガ、ケッカイハ、ソンナ、ヤワイカゼハ、イッサイウケツケヌワッ!』
『結界?』
ディーノのつぶやきを聞き、顔をしかめケルベロスが同意する。
『おいディーノっ! 悔しいが奴の言う通りだ!』
『な? ケルベロス!』
奴の言う通り?
どういう意味だ?
『俺も索敵して波動をキャッチした。この村から約1㎞の位置に居る。奴め、森の中に潜んでいやがる』
『ここから1㎞先の森の中か……』
『おう! 自慢する通りだよ』
『自慢する通りだと?』
『ああ、奴は自分の周囲に強力な魔法障壁を張り巡らせている』
『自分の周囲に強力な魔法障壁……』
『ああ、その魔法障壁が、奴が自慢する結界なんだろう』
『成る程……』
『どうする? 難儀しそうだぞ。お前の魔法剣も、物理攻撃さえも弾かれる可能性が大だ』
しかしディーノは何故か落胆の色を見せない。
『ふっ、大丈夫さ、手はまだまだある。さあ行こう、ケルベロス! 奴の下へ!』
ディーノはそう言うと、またも不敵に笑った。
釣られてケルベロスも二ッと笑う。
まるで相当先まで読みきるチェスプレイヤーのように、
ディーノは様々なケースを想定し、対応して来る。
人間にしては底が知れない、
ケルベロスはそう思う。
敵に回したらとんでもなく脅威だ。
でも味方にしたら……これほど頼もしい存在はない。
予感がする。
ディーノの行く手行く手には、このような事件が、
今後も頻繁に巻き起こるだろう。
しかしケルベロスはワクワクする。
共に冒険すると思うと心が躍って来る。
『よし! ディーノ、首魁ゴブリンシャーマンを必ず倒そう!』
ケルベロスはそう言うと、先ほどと同じく自然に背を差し出した。
ディーノの『馬』になるぞというアピールだ。
不思議だった。
ケルベロスは誇り高い魔獣なのに、その行為が全く嫌ではない。
むしろディーノに尽くしたいと思うのだ。
かつて旧アルドワン邸でジャンと共に身を挺してディーノを守ったように。
『ありがとう!』
ディーノは簡潔に、だがはっきりと礼を言い、
素早くケルベロスに跨った。
ケルベロスは、今のディーノの心情を察している。
『ディーノ! 相手は強敵だが、俺達はぐずぐず出来んのだろう?』
『おう! 楓村が……ステファニー様達が心配だ!』
『なら、全速で行くぜっ! しっかり掴まってろよっ!』
『おうっ!』
応えるディーノの声が発せられたと同時に、ケルベロスが走り出した。
たくましい足が大地を蹴る。
しなやかな四肢が原野に躍動する。
ケルベロスは瞬時に!
馬の駆ける何倍もの速度に達している。
周囲の景色があっという間に後方へ飛び去って行く。
まさに飛ぶように走っていた。
この分なら、すぐにゴブリンシャーマンと相まみえる事となるだろう。
ディーノは感じる。
遂にこの戦いが「決着する」と。
それはケルベロスも全く同じ。
当然、ディーノの劇的な勝利を信じている。
少し前までは、ディーノとは何の縁もゆかりもなかった人外の魔獣は……
今や心をひとつにし、戦友、否!
文字通り『背中を任せる親友』として新たな戦場へと駆けていたのである。
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最後に、連載中である
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