第117話「英雄降臨!」
⛤『魔法女子学園の助っ人教師』
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エミリーに導かれ、撤退して来た村民達は、もう逃げ場もなく、
ブレーズの石像に身を寄せ、震えていた。
迫り来る数百のゴブリンが迫った瞬間!
奇跡が起こった。
ブレーズの石像が眩く発光したのだ!
神々しく厳かな光であった。
清々しくもあった。
心が洗われると言ったらピッタリかもしれない。
まるで全知全能の創世神が発する『破邪の光』である。
ぐえええええっ!!!
ぶぎゃああああっ!!!
あぎゃううううんん!!!
ゴブリンは夜行性であり、そもそも眩しい光に弱い。
村民をとって喰らおうと迫っていた数百は、情けない悲鳴を上げ、後退し、
金縛りにあったように動けなくなる。
「な、何があ!? い、一体何が起こったのよおおおお!!」
ステファニーは絶叫する。
先ほどから大きな声を出し続けて声が枯れそうだ。
真っ白な光で周囲は全く見えない。
しかし間違いなく何かが起こっていた……
何故かゴブリンどもは襲って来ないのだ。
どうやら……
すぐ死ぬ事はなさそうだ。
未だ真っ白な光に包まれながら、ステファニーは安堵し、
大きく息を吐いた。
徐々に気持ちが落ち着いて来る。
冷静さが戻って来る。
油断してはいけない。
ぬか喜びしてもいけない。
このままでは、戦況は好転しないと思う。
「ディーノはまだ来ないのか」と、焦れて来る。
一方、エミリーも安堵していた。
ディーノを信じ、ブレーズ様の石像まで撤退したのは成功だった。
何とか命を拾う事が出来た。
そしてエミリーは『兆し』を感じるのだ。
このままでは「終わらない」という確信に近い予感である。
その予感はすぐに的中した。
「まっ!!!!」
突如、人間ではない、力強く短い叫び声が!
いきなり周囲に轟いたのだ。
傍らに居たエミリーには、そしてステファニーにもすぐに分かった。
大地を振るわすような叫びは、ブレーズの石像から発せられたのだと。
みしり!
みしり!
みしりっ!!
間を置かず、何かが軋む異音がする。
異音はやはり、ブレーズの石像から聞こえて来る。
もう間違いない。
それは信じられぬ衝撃の出来事だった。
何と!
ブレーズの石像が動き出していたのだ。
だが!
ステファニーには「ピン!」と来た。
『ある推測』が導き出される。
先ほどゴブリンを倒した『風』同様、
ディーノが何か不可思議な未知の魔法を使ったと。
……ステファニーの推測は当たっていた。
実は、亡きアルドワンが遺した至高の『地魔法』をディーノが発動し、
ブレーズの石像が動き出したのである。
ちなみに、ゴブリンを戦闘不能に陥らせた眩しい光だけは効果に入っていない。
だから、不可思議な事ではあったのだが。
しかし、ブレーズの子孫であるエミリーには……
遥か古の時代に生き、楓村を救った英雄が、
絶体絶命の危機に陥った子孫の為に、満を持して降臨したとしか思えなかった。
発光がようやくおさまり、周囲が徐々に見えて来た。
相変わらず眩く輝く石像は「のっしのっし」と歩き出している。
しっかりと大地に足を踏みしめながら。
ゴブリンの攻勢に怯えていた村民達は……
呆然として、動き出した『英雄』を見守っていた。
そのゴブリン達は、先ほどブレーズの石像が発した『破邪の光』が原因なのか、
腰が抜けたように動けなかった。
ぶおん!
『英雄』は素振りをするかの如く、右腕を振り回した。
そして!
「逃がさぬ!」とでもいうかのように、突如信じられない速度で走り出した。
どん!
どん!
どん!
どおん!
大地が揺れ、弾んだ。
英雄はあっという間に、ゴブリン達へ肉薄した。
ごつい拳がゴブリン達へ容赦なくふるわれる。
ぶちゃ!
ぐちゃ!
ばちゃ!
ぐわちゃっ!
一方的な、殺戮が始まった。
何とか動けるゴブリンが反撃するが、彼等の持つ柔な得物では肉体では、
『英雄』にかすり傷さえつける事が出来ない。
「ブレーズ様ああああっ!! 頑張れえええええ~~っ!」
ここでエミリーがあらん限り絶叫する。
奮闘する『英雄』へ「少しでも力をあげたい!」という一念だった。
しかしこれが絶望に陥っていた村民へ、再び活力を与える声となった。
「ブレーズ様あ!!!」
「やっつけてええ!!!」
「ガンガンいけええ!!!」
「ぶちかませえ!!!」
「潰して、やれえ!!!」
天へ還ったブレーズの言葉通りであった。
追い詰められ、気力を失った村民達は、『英雄』の活躍により、
再び前向きに生きようとする力を取り戻したのだ。
これで形勢が逆転する!
ステファニーは確信し、アンセルムへ向かい、叫ぶ。
「爺さあん!!! 村民達へ戦う準備をさせてぇ!!」
村民と共に英雄へ声援を送っていたアンセルムであったが、
ステファニーの指示を受け、反撃のチャンスだと気付いたようだ。
「よ、よおしっ! 皆あ、戦いはまだ終わっとら~ん!! こ、これからだぞおおお!!!」
アンセルムが叫んだその時。
ごおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!
破られた北門の方角で、
またもあの豪風が吹き荒れた。
そして、後続らしきゴブリンどもの悲鳴も。
ぎゃっぴいいいっ!!!
ぎえあああああっ!!!
ぎゃううううんん!!!
すかさずステファニーが再び叫ぶ。
ついに!
ついに『待ち人』が現れたのだ。
「ディーノおおおおおっ!!!」
ステファニーの叫びに反応。
続いて、エミリーも叫ぶ。
「ディーノおおおおおっ!!!」
ふたりの女子は見た。
累々としたゴブリンどもの死骸の向こうに、
ひとりの少年が忽然と立っているのを。
子牛ほどもある狼のような犬を二頭、
そして見慣れぬ漆黒の獣を一頭。
逞しき戦友を都合三頭も引き連れて。
少年は、ディーノであった。
不敵に笑うディーノは、ステファニーとエミリーの無事を確認し、
剣を持った手を思い切り打ち振ったのである。
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