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第114話「転移門」

⛤『魔法女子学園の助っ人教師』

◎コミカライズ版コミックス

(スクウェア・エニックス様Gファンタジーコミックス)

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6月27日発売!

ほやほやの新刊です!

書店様で、ぜひお手にお取りください。


※6月29日付けの活動報告に『書影公開』『発売記念フェア開催のお知らせ』等、

『魔法女子』のコミックス第3巻の情報をまとめて掲載しましたので、宜しければご覧くださいませ。

『ブレーズ様、貴方の力、これから思いっきり使わせて頂きますっ! 燃え盛る炎よっ! 我が剣にまとえっ!』


 瞬間!

 魔法剣は発動された、

 

 剣から放射される高熱が、ディーノの頬を強く打つ。


『いっけ~~っ!!! 大量の汚物なんか塵も残さず焼却だ~っ!!!』


 ごおおおおおおおおおおおおおっ~~~!!!!!!


 ブレーズから伝授された魔法剣の威力は凄まじかった!


 ディーノから発せられる心の叫びとともに、構えた剣から放たれた紅蓮の炎が30m近くも伸び……

 まるで竜の息(ドラゴンブレス)の如く、ゴブリンどもの死体を焼き尽くしていた。


 予想以上の猛炎に吃驚したのが、オルトロスとジャンである。


『うっわ、すげ! 俺の火の息(ブレス)以上だ』

『加減という言葉を知らないのかにゃ?』


 ディーノ自身、魔法剣の凄まじい威力に驚いている。


 魔法剣から放たれた灼熱の炎により、ゴブリン達は一瞬にして炭化。

 塵となってしまった。

 その上、背後の木々にまで炎が燃え移っていたのだ。


 あわや山火事になりそうだったので、慌てて魔導消火剤を散布し、

 消したのはご愛敬。


 ゴブリンの死体を焼き尽くし、ディーノは再び空を見上げた。

 地上の地獄絵など関係なく、やはり爽やかな快晴だった。


 ブレーズの生きた遥か旧き時代に、ディーノは思いを馳せる。


 遺してくれた言葉が次々と甦る……

  

 ……『大破壊』という全世界を襲った未曽有の天変地異の中、

 ガルドルド帝国の騎士であり、魔法剣士だったブレーズは、魔物どもに屈し、敗残兵として生き延びた。

 

 周囲が敵だらけの中、彼が生き延びられた原因は、

 この魔法剣を習得していたからだ。

 

 結局、ブレーズの習得した魔法剣は故国ガルドルドを救う事、

 そして家族の命を助ける望みも叶わなかった。


 しかし世界中を流浪し戦い、多くの人々を助け、運命の相手エマと邂逅、

 第二の故郷となった楓村を守り切る事が出来た。


 ブレーズは哀しい運命に抗う事は出来なかった。

 だが、出来うる全力を尽くし、人生を終えた。

 悔いはない!

 

 その想いを今、ディーノははっきりと実感した。

 『導き受け継ぐ者』として確かな魂の絆を紡いだのである。

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


『さあ、残りを掃除しちまおう』


 まだまだ戦いは終わっていない。

 標的と定めたゴブリンどものリーダー、ゴブリンシャーマンは巣穴……

 廃棄された迷宮の最奥へ潜み、多分じっと隠れている。

 ゴブリンシャーマンを倒さなければ、楓村に平穏は訪れない。


 自ら頬を軽く叩き、気合を入れ直したディーノは迷宮の入り口へ近付く。


『魔導発煙筒』の効果により逃げ出して来たものは殲滅した。

だが迷宮の中には、戦闘不能とはいえ、まだ多くのゴブリンが残っている。

 事実……

 目を凝らせば入り口付近には、数多のゴブリンが戦闘不能とされ、折り重なっていた。


「ふっ」


 軽く息を吐いたディーノは、火に続き、風の魔法剣を使う。

 当然無詠唱で、イメージするだけで行使可能だ。


 ディーノはオルトロス、ジャンと共に、迷宮内へ潜入する。

 指輪の力で夜目が効くので、持参した魔導ランプは使わないで済んだ。


 迷宮内へ足を踏み入れて確認出来たが、既に魔導発煙筒から吹き出した煙は消えていた。

 また魔法薬の効果で、ゴブリンどもは戦闘不能になっているはずだ。


 先ほどの『失敗』から、ディーノは思い切り、風を放たず、

 威力を押さえながら、素早く進んで行く。


 しかし火と同様、風の魔法剣も凄まじい威力であった。

 剣から発した風は、少し魔力を込めただけで、

 鋭いやいばのように、ゴブリンどもの柔い身体をあっさり切り刻み、

 ミンチにしたのである。


 ディーノの度重なる攻撃により、四散したゴブリンの血で、

 迷宮はむせかえるように生臭くなった。


 しかし、そんな事に構ってはいられない。

 愚図愚図もしては居られない。


 ディーノは違和感を覚えていた。

 迷宮内に残っていたゴブリンどもが、予想より遥かに数が少ないのだ。


 昨日、ステファニー達と共同で倒したのが約1,000頭。

 巣穴にはその10倍近く居ると思ったのに……

 ばらばらとしか見当たらない。

 

 とても嫌な予感がする。

 まさか、巣穴の外に楓村へ向かう『別動隊』が居るのではと。


 一刻も早く最奥に居るゴブリンシャーマンを倒し、戻らねばと思う。

 念の為、ケルベロスを『援軍』に残して来たから、

 ステファニー達含め、楓村は大丈夫だとは思うが……


 複雑な思いにかられながら……

 ディーノは急ぎ迷宮の深奥へ向かった。


 そして約1時間後……

 迷宮がそう深くなかった事もあり、ディーノ達は戦闘不能に陥ったゴブリンどもを掃討しながら、最下層地下10階、迷宮の最奥へ達していた。

 

 その最奥は……玄室のようになっていた。

 

 遥か昔、迷宮の主がダンジョンコアと共に存在したと思われる場所には、

 人間の作ったものではない不気味な祭壇が設けられ、

 呪術的な雰囲気に満ちていた。


 しかし!

 最奥は……もぬけの殻であった。

 肝心のゴブリンシャーマンが居ないのだ。


 まさか!

 と思う。


 その予感を裏付けるように、最奥の一画が不気味に輝いていた。

 輝きは、円形の形となっている。

 

 まさか!

 これは、転移門!?

 と、ディーノが感じた事と、全く同じ事をオルトロスもジャンも感じていた。


『これは、時空間を移動する転移門だ!』

『オルトロスの言う通りにゃ! 間違いないにゃ! 奴ら、ここからどっかへ行ったんだ』


 ジャンの言うどこかとは……

 まさか、楓村!?

 この転移門を使い、1万近いゴブリンの大群が急に楓村の最寄りに現れたら!


 ステファニー達は勿論、ケルベロスでも対処に難儀するだろう。


 しかし、これは罠かもしれない。

 この転移門が全く違う未知の場所へつながっているとしたら……

 下手をすればディーノ達は、救援が間に合わなくなる。


 どうしよう!

 一か八か、運を天に任せ、飛び込むか?

 安全策で来た道を戻り、地上へ出るか? 


 と、その時。


『ディーノ、俺が先に飛び込もう。もし行き先が楓村なら、すぐ念話で連絡する』


 真剣な表情で、先行を申し出たのは、魔獣兄弟の弟オルトロスである。

 

 しかしディーノは迷った。

 行き先が不明の転移門である。 

 時間の狭間へ落ち、『次元の迷い人』となる大きな危険リスクもある。


『でも……』


『迷ってる暇はねえ! 行くぞ!』


 オルトロスはそう言うと、軽々とジャンプし、

 転移門へ飛び込んだのであった。

いつもご愛読頂きありがとうございます。


※当作品は皆様のご愛読と応援をモチベーションとして執筆しております。

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