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第104話「私もお前に託そう」

⛤『魔法女子学園の助っ人教師』

◎コミカライズ版コミックス

(スクウェア・エニックス様Gファンタジーコミックス)

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※6月6日、6月18日付けの活動報告に『書影公開』『発売記念フェア開催のお知らせ』等、

情報を掲載しましたので、宜しければご覧くださいませ。


何卒宜しくお願い致します。

 もしも悪徳領主が手を差し伸べないのなら、村民自身が村を守る自覚を持たねばならない。

 その為に、ディーノ自ら率先して戦う事で、村民の奮起を促した。


 ディーノはこの悪徳領主をこのまま許すつもりはなかった。

 社会的に抹殺する『お仕置き』はもう考えてある。


 だが……

 まずは村での戦いを完結しなければならない。

 

 エミリーに抱き締められながら、軽く息を吐いたディーノは……

 改めて気合を入れ直していた。


 と、その時。

 

『勇者よ……』


「え?」


 謎めいた声がディーノの心に響いた。

 アンセルムとは違う、年かさの行った男性の声である。


 驚いたディーノは四方を見回すが、声の主らしき者は見当たらない。


 ディーノが驚いた様子を見て、抱き着いていたエミリーが訝し気な表情となる。


「あれ? ディーノ、どうしたの?」


「いや……空耳かな……」


 口ごもるディーノへ、謎の声は再び呼びかける。


『良くぞ、我が子供達を救ってくれた』


『え?』


『若き勇者よ、お前に渡したいモノがある』


『渡したいモノ? 貴方はど、どなたですか?』


 しかし……

 謎めいた声は、ディーノの問いかけに答えなかった。


『村にある私の石像まで……来るが良い』


 私の石像?

 と聞き、ディーノにはピンと来た。


 声の主は、流浪の騎士……名も無き英雄と呼ばれ、

 楓村の開祖として慕われる伝説の騎士ブレーズかもしれないと。


 ロランに、アルドワン……

 今やこの世に亡き者達と関わって来たディーノに怖れは全くなかった。


「エミリー」


「何?」


「ちょっと良いかな」


「何、ディーノ」


「ブレーズ様の石像へ行こう。一緒に付いて来てくれないか?」


 何故自分ひとりで行かず、エミリーを誘ったのか、

 ディーノには分からなかった。

 

 彼女を絶対一緒に……

 連れて行かなくてはならない。

 自然にそう思ったのである。


 ディーノとブレーズの秘めた『やりとり』を知らぬエミリーは、

 素直に喜んだ。


 先ほど、ディーノはブレーズの石像に祈りを捧げていた。

 勝利したお礼を告げに、ディーノが行くと考えたようだ。


「うん、いいよ! OK! ゴブリンどもに勝てたのは、ディーノ達の力にブレーズ様の加護が加わったおかげだものねっ!」


「だな!」


「ディーノ」


「ん?」


「手をつないでいかない」


「……いいよ」


 ディーノが手を差し出すと……

 エミリーは彼の手をしっかりと握った。


 それを、めざとく見つけたのがステファニーである。


「あ~~~っ!!!」


 ステファニーが叫んだ時。

 既にディーノとエミリーは歩きだしていた。


 ふたりの背中へ、ステファニーの強烈な怒声が飛んで来る。


「こらあっ! ディーノぉ! 浮気は全て、私への借りだからねぇ!!!」


 思わず苦笑したディーノだったが、歩みを止めない。

 エミリーと共に、ブレーズの石像へと向かったのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 南正門から、アンセルム宅へ行く途中にあるブレーズの石像は……

 相変わらず鎮座していた。


 遥か昔に造られたほぼ等身大らしき人間男性らしき石像……

 苔むし風雨にさらされ、傷み朽ちている……


 ディーノとエミリーは並んで跪き、祈りを捧げた。

 すると……

 またもや、あの謎めいた声が響いて来る。


『勇者よ、良くぞ来た……』


 何度も勇者と呼ばれたので、ディーノは否定する。


『いえ、俺は勇者などではありません。一介の冒険者、ディーノ、ディーノ・ジェラルディです』


『ふ、謙遜だな。お前から発する波動は凄まじい。勇者以外の何者でもない』


『いえ、俺は……それより貴方様は、エミリーのいうブレーズ様なのですか?』


『そうだ……私は、ブレーズ・シャリエ……かつてこの村の為に戦い、勝利し、人生を全うしたものだ』


 やはり謎の声はブレーズであった。

 となれば、ディーノには告げるべき言葉がある。

 誓わねばならぬ約束がある。


『成る程……ブレーズ様! ご安心ください。俺は仲間と共に、ゴブリンどもを討ち果たし、必ずこの楓村を守ってみせますっ!』


『ありがとう、感謝するぞ! 私には分かる……ディーノ、お前は【導き継ぐ者】だな』


『は、はい! 自分にそんな自覚は全く無いのですが、師匠からは確かにそう言われました』


 いきなり、ロランから指摘された『ふたつ名』を再び告げられ……

 ディーノは少し戸惑った。


 そんなディーノをブレーブは笑い飛ばし、且つ励ました。


『ははははは! 大丈夫だ、ディーノ自信を持て! 胸を張れ! お前は間違いなく【導き継ぐ者】なのだ!』


『は、はい。……頑張ります』


『お前は【導き継ぐ者】の名に恥じぬ者……既にこの世に亡き者ふたりと出会い、そのこころざしと力を受け継いだからだ』 


 ブレーズの言う、この世に亡き者ふたりとは……

 兄のように思える師ロラン、そして亡き実の父にも等しい侯爵アルドワンであろう。

 同じくこの世に、魂の残滓であろう存在のブレーズは、

 見事にディーノの『遍歴』を見抜いたのである。


 そして……


『私もお前に託そう……我が志と力を、そして叶わなかった夢も……』


 今の言葉で『全て』が分かった。

 伝説の流浪の騎士ブレーズ・シャリエが、ディーノへ渡したいモノとは……

 ロラン、アルドワンと同じく、己の志と能力……

 そして見果てぬ夢だったのである。

いつもご愛読頂きありがとうございます。


※当作品は皆様のご愛読と応援をモチベーションとして執筆しております。

宜しければ、下方にあるブックマーク及び、

☆☆☆☆☆による応援をお願い致します。


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