第103話「凱旋」
⛤『魔法女子学園の助っ人教師』
◎コミカライズ版コミックス
(スクウェア・エニックス様Gファンタジーコミックス)
☆最新刊『第3巻』発売決定しました! 6月27日発売予定!※予約受付中です!
※6月6日、6月18日付けの活動報告に『書影公開』『発売記念フェア開催のお知らせ』等、
情報を掲載しましたので、宜しければご覧くださいませ。
何卒宜しくお願い致します。
街道には新手のゴブリンどもが現れた。
やはりオルトロスが失策したらしい。
数は……先ほどの倍、200頭近いようだ。
カルメンが「にやっ」と笑い、迫るゴブリン達を指さし、
大きく手を打ち振った。
すると!
「待ってました!」とばかりに、 後方で待機していたタバサの炎弾が放たれ、
ちょうどゴブリンどもの『ど真ん中』でさく裂した。
同時にディーノも不敵に笑うと、
「お先!」
といきなり小さく叫び、抜剣、ゴブリンどもの中へ踊り込んだ。
炎弾の「さく裂」により大混乱に陥ったゴブリンどもは、
ディーノにとって所詮、経験値稼ぎの対象でしかない。
剣をふるう度に、屍が増えて行く。
ディーノの剣技上達の原因は、膂力、体さばきの上昇という、
ルイ・サレオンの魔法指輪の効果だけではなかった。
子供の頃から亡き父を師に、基礎だけはみっちりやっていた事が大きかった。
更にステファニーに付き従い、散々無茶ぶりをされた実戦経験も大きく影響している。
冒険者になってからも、数々の厳しい実戦により、更に剣技が磨かれており……
魔法指輪の効果も加わって、隠されていた才能が開花していたのだ。
しかし『出し抜け』を喰らい、気持ちが収まらないのが、
『取り残されたふたり』である。
「あっ! ズル! ディーノのフライングだあ~!」
「こら、待て、ディーノ! 全部倒すな、少しは残しとけよ!」
ステファニーとカルメンはディーノへ文句を叫んだ後……
顔を見合わせ苦笑、共に剣を振りかざして、
ゴブリンの群れへ突っ込んだのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
結局……
ディーノ達とゴブリンどもの戦闘は何度も何度も繰り返された。
タバサの炎弾、前衛3人の奮闘、マドレーヌの状況判断、
そしてジョルジエットの治癒、回復の繰り返しでもある。
ちょうど10回目の戦闘が終了し、暫し間が空いた。
そして……更に1時間が経った。
絶え間なく来ていたゴブリンどもは、襲って来ない。
そろそろ撤収の頃合いである。
ディーノはそう判断。
大きく頷くと、ステファニーとカルメンへ告げる。
「今、勢子役の戦友達から報告がありました。周囲のゴブリンどもは、先ほどの戦いでほぼ掃討したようです。なので俺達は休養と回復の為、一旦村へ撤収しましょう」
すかさず同意したのは、カルメンである。
「ステファニー様、ディーノに賛成します。少々てこずりましたが、良き戦果を得られました。初戦の目的も達成しております」
「ふうん、そう」
「はい! お聞きください、あの様子なら村民は安堵し、戦意も高まっているでしょう」
カルメンの言う通りであった。
物見やぐらのエミリーから逐一報告が行っていたらしく、
村内からは勇ましい鬨の声が聞こえて来る。
さすがのステファニーも表情に疲れが出ていた。
「分かったわ。作戦はほぼ成功したようだし、一旦村内へ引き上げましょう」
こうして前衛の3人はマドレーヌ達後衛と合流、
エミリーの指示で開いた南門から村内へと戻ったのである。
……村内へ戻ったディーノ達を、
おおおおおおおおおおおおおお~~っ!!!!!
『大勝利』に酔った村民は歓喜の渦で迎えた。
エミリーなど、ディーノに飛びつき、
嫉妬したステファニーから、厳しく一喝されたほどである。
実は……
先ほどディーノは『切り札』の第一弾を使った。
ケルベロスとオルトロスの魔獣兄弟に、役割の途中変更を命じたのだ。
つまり『勢子』から『狩猟者』へと。
それまで『勢子』の役割を担っていた魔獣兄弟は、ただ追い立てるだけ。
戦わない事で、ストレスが溜まり切っていた。
なので、ディーノが役割変更の指示を出した途端、
彼等は怒れる魔獣へ変身した。
ケルベロスは勿論の事……
ミスをした汚名返上の意味もあり、オルトロスは特に奮戦し、
残っていた楓村周囲のゴブリンを、あっという間に一掃した。
掃討後……
兄弟はゴブリンの全滅を、即座に報告して来た。
あとは『巣穴』に居る残存勢力を掃討するだけだとも。
その『巣穴』は……
楓村への道中、ずっとステファニーに「可愛がられ」……
たまらず村外へ逃げ出していたジャンが、既に探り出していた。
更にディーノはジャンへ、ケルベロス達と合流し、
ゴブリンが潜む巣穴の様子を見張っているよう命じた。
何か『動き』があれば、念話で報せよとも。
こうなると、いよいよ、戦いは最終局面を迎える事となる。
ならば!
「ケルベロス達に、ゴブリンを全て倒すよう命じれば」とか
「最初からこの段取りで行けよ!」と思う方が居るかもしれない。
しかし……
ディーノ達は今後ずっと村に留まり、『守護者』となるわけではない。
エミリーが最初に告げた通り、たまたま来てくれた、
所詮は『よそ者の助っ人』なのである。
再び同じような事件が起こる可能性は無きにしも非ず。
もしも悪徳領主が手を差し伸べないのなら、村民自身が村を守る自覚を持たねばならない。
その為に、ディーノ自ら率先して戦う事で、村民の奮起を促したのである。
そもそもディーノはこの悪徳領主をこのまま許すつもりはなかった。
社会的に抹殺する『お仕置き』はもう考えてある。
だが……
まずは村での戦いを完結しなければならない。
エミリーに抱き締められながら、軽く息を吐いたディーノは……
改めて気合を入れ直していたのだった。
いつもご愛読頂きありがとうございます。
※当作品は皆様のご愛読と応援をモチベーションとして執筆しております。
宜しければ、下方にあるブックマーク及び、
☆☆☆☆☆による応援をお願い致します。
東導号の各作品を宜しくお願い致します。
⛤『魔法女子学園の助っ人教師』
◎小説版第1巻~7巻
(ホビージャパン様HJノベルス)
大好評発売中!
◎コミカライズ版コミックス
(スクウェア・エニックス様Gファンタジーコミックス)
☆最新刊『第3巻』発売決定!6月27日発売予定!※予約受付中!
第1巻~2巻も大好評発売中!
※月刊Gファンタジー大好評連載中《作画;藤本桜先生》
☆『6月18日発売』の月刊Gファンタジー7月号に最新話が掲載されました。
超ドライなルウ、ヒロイン達の新たな魅力をお楽しみください。
また「Gファンタジー」公式HP内には特設サイトもあります。
コミカライズ版第1話の試し読みも出来ます。
WEB版、小説書籍版と共に、存分に『魔法女子』の世界をお楽しみくださいませ。
マンガアプリ「マンガUP!」様でもコミカライズ版が好評連載中です。
毎週月曜日更新予定です。
お持ちのスマホでお気軽に読めますのでいかがでしょう。
最後に、連載中である
「帰る故郷はスローライフな異世界!レベル99のふるさと勇者」
「幼馴染と永遠に別れた俺は、辺境小国の王子に転生! 戦い、開拓、恋愛、信長スキルで何でもござれ!」
も宜しくお願い致します。




