10話 ◆◆病気(上)◆◆
◆◆病気(上)◆◆
僕は病院に行った。
接骨院だ。
前々から足に違和感を感じていて、
痛くて歩けなくなったから
母親に無理やり連れて行かれたのだった。
…ま、それというのも
あの豚女が
雛「猫ママ!祢子ちゃん足怪我してます!大変!病院!!」
とかチクりやがったからなんだけども…。
僕は病院が大嫌いだ。
あの薬品臭いのといい、
おまけにどこの誰かも分からん医者に
自分の肌を触らせなきゃならねえ。
触れるなよ汚物。
とりあえずその嫌な病院で
無理やり足を引っ張られ、
診断された結果が、
―…オスグット病―
これは一種の成長病で、
中高生にはよくある病気なのだが
軽いやつとそうでないものでは、
だいぶ症状が違ってくる。
僕の場合は、重かった。
医者「あまり足を使う運動は駄目ですよ。
下手すると関節おかしくなりますから。」
…ということだ。
猫「安静にしていなきゃいけないのか…」
そんなある日。
僕はクラスの自分の机で
のんびりしていた。
猫『病気だったのか…なんか実感わかねえなー…』
孤「あ、祢子。」
げっ。
孤華が僕の席に近づいて来た。
猫「こ、孤華…」
孤「足、怪我してるんだって?」
あの豚。
あれほど言うなと言ったのに…
後で締める!
猫「ああ…はい…まあ…」
孤「どっちの足?」
猫「…。ひ、左…」
孤「嘘だ。絶対右だね…」
ビクッ。
この人気持ち悪い。
なんでわかるんだ…
猫「だったら、何?」
孤「…祢子、口が悪いぞ?」
思いきり右足を蹴られた。
猫「っい゛…!!?」
痛みに悶え思わずうずくまる僕。
さらにうずくまってる僕の髪を掴み軽く引っ張る孤華。
そこの廊下を、偶然ピヨが通りかかった。
そしてそれを見るやいなや、
急いで僕のところに駆けより、
雛「ちょ…孤華ちゃんだめ!!今回は猫病気なの!」
孤「や、知ってるよ…ちょっと遊んだだけ。」
雛「だめだめ!!猫の病気の間中は虐めたら陽菜が怒るからね!!」
いつもピヨは一緒になってやるくせに、
今回だけはなぜか、あいつが
庇ってきやがった。
猫「…あ…」
雛「大丈夫?」
心配そうなピヨの顔。
僕は無性に嬉しくなり、
猫「別にっ」
と、一言だけ言って
その場を離れた。