5話 ◆◆比喩◆◆
◆◆比喩◆◆
ふと、思った。
ピヨを動物に例えるとなんだ?
豚?いやなにかちがう…
いつも愚民呼ばわりしてたから
あいつの可愛さ(嘔吐)…いや、良いところに
気づいてないのかもしれない。
猫「よし…ちょっと僕の中で
ピヨを美化してみよう…」
ふと顔をあげたら、ピヨがこっちに駆けて来るのが見えた。
雛「あっ!猫―!
もうどこ行ってたの探したよ!?」
連想ゲーム開始。
『可愛い動物を連想するんだ…』
『可愛い…可愛い…あっ、』
猫「うさぎだ!!」
雛「は?」
じっとピヨの顔を見る。
だんだん、うさ耳が生えてきた気がした。
……
だ…誰だお前は!!
僕は声を荒げ醜い兎を蹴り飛ばした。
雛「い…いたぁ!!?なんなの!?」
ピヨがすごい顔でこっちを見る。
猫「あ、ごめん…。
…もっと必殺技っぽく倒した方が良かった?」
雛「狙ってたのかよ!」
猫「まぁ落ち着けよ、豚。そんな事は今どうでもいいんだよ。」
雛「よくないわ!いきなり蹴られて
危うく三途の川渡るとこだったわ!」
ピヨは何かほざいていたが、
僕はピヨを無視し、話を続けた。
猫「ちょっとお前に聞きたい事があるんだけど、いいかな…?」
僕はにっこり笑って見せた。
相変わらずいいスマイルだと思った。
でもピヨは知っていた。
僕が笑ってお願いをするときは、
大抵ろくな事がない事を。
雛「い…嫌だよ…」
猫「質問も聞かずとな?決めつけるな、豚。」
雛「豚じゃねえ…!何も聞かないからね!!」
猫「…そう…。」
僕はわざとしょんぼりし、
声のトーンを少し下げて
猫「ごめん…陽菜って僕の事…
嫌いなんだよね…」
雛「はい!??
いや、そういうことじゃないけど…」
猫「本当ごめん…もう話しかけないから…死んで詫びるから…」
雛「違うって!ああ…もう聞くよ!ごめん!!」
こういう会話が一番楽しい。
僕はころっと表情を変え、冷酷な顔になり、
猫「あ、聞いてくれる?最初から黙ってそうすればいいんだよ雌豚…」
ピヨが、お前は何なんだって顔をしている。
声は出てなかったが。
猫「ま、いいや。そこで床に頬でも擦りつけながら聞いてよ。」
雛「しないよそんなこと!?」
猫「お前って、動物で言うと何…バク?ハクビシン?シーラカンス?」
雛「なぜそんなことを…つかその微妙な動物はなんなの」
猫「やっぱ牛か?」
雛「なんで牛!?黒毛和牛的な!?」
猫「いや中国産悪性牛…薄毛和牛…」
雛「あの、猫が何を言ってるのかわからないんだけど…」
猫「河童…」
雛「あい!?」
河童って、
妖怪だよね。